魔王LIFE

フーミン

36話 イベント前日に

ㅤその日、ミシェルは俺を殺したと思って反省しているのか、なんでも言う事を聞いてくれた。そこで、夜は俺達の城に泊めさせた。といっても元々は別の人の国なので後々に返すつもりだ。
ㅤ夜、サハルが俺の部屋にやってきた。どんな悪戯をされるのかとソワソワしていたのだが、一向に仕掛けてくる気配がない。


「えっと……サハル?」
「ルト、明後日はイベント開催だよね?」
「そ、そうだけど」
「僕はあまりルトに無理はさせたくない。その事を今日思ったんだ」
「うん」
「これは僕の最後の悪戯だけど、良いかな?」


最後の悪戯か……。俺としては良いけど、何か変な企み持ってそうだな。


「1つ聞いてもいい? 最後の悪戯っていうのは?」
「ルトなら、僕を大人にする事ができるはず。だからーー」
「ちょ、ちょっと待って。……サハルを大人にしてどうするの?」


確かに、《世界の神》とかいう技能なら不可能はないけど……大人になって何をするかが問題だ。


「二日後のイベント。ルトは絶対に優勝すると思うんだ」
「私の技能なら優勝しない事もできるよ……?」
「……それはズルい」


あ、そりゃそうか。


「はぁ……本当に、ルトは僕としてくれないんだね」
「してくれないって……多分アレの事だろうと思うけど、サハルがちゃんと大人になってからじゃないと無理だよ」


俺の初体験が子供相手って……それは流石に悲しすぎるだろう。
ㅤそもそも初体験したいとも思わないし、俺は誰ともするつもりはない。


「だから、最後の悪戯だよ」


そういってサハルが立ち上がった。


「え……な、何?」


サハルが俺の方へと迫ってくる。


「大丈夫。ちょっとルトの反応を楽しむだけだから」
「ま、待って……まだ自分でもしたことないから! したことっ…………んっ…」


ーーーーー
何が起きたかは想像にお任せ
ーーーーー


「はぁ……はぁ……」
「ルトなら抵抗できたはずだけど、抵抗しなかったという事は受け入れたんだね」


違う。抵抗する力が出ないほど頭が真っ白になっただけだ。


「これで僕の気は済んだよ。これが最後の悪戯」
「……二日後のイベント、どうするの」
「予定通り開催するよ。ルトが優勝した場合……まだ決めてないけどね」
「景品なんていらないよ」


とりあえず、俺は自分の肉体美を国民に見せつけることさえできればそれでいい。俺が満足すればそれで。


「ちなみに、いつから新しい拠点を作るんだい?」
「あぁ〜、別に明日からでもできるけど……しばらくはゆっくりしたいからイベント終わってからかな」
「どんな風に作るのか、考えてる?」


どんな風に……か。とりあえず海の上空に巨大な土地を作って……その上にまずは城だな。
ㅤどうやって人を移動させるか……いや、一緒に来たい人だけを連れていって、その数に合わせた建物を作れば大丈夫だろう。


「一応大丈夫かな」
「そうか。じゃあ二日後のイベント、楽しみにしてるよ」
「サハルはもう見てるでしょ」
「水着姿、ね」
「あっ……」


サハルはそう言い残すと部屋から出ていった。
ㅤどんな水着を用意するのか、心配だ。あまりにも際どい水着だった場合、最悪自分で水着作るからな。


ーーーーー


その日の夜は、疲れを癒すために早く眠った。
ㅤ次の日の朝、イベントは明日開催されるが、俺はダラダラしていた。


「ルト様、失礼します」


ソファでぐで〜んとしてるところにリアンがやってきた。


「え、えっと……明日のイベント。私も参加することになりました」
「おっ! ついにリアンの体が見れる訳か〜」
「ですが……私は獣人族なので……点数は低いかと」


獣人族だから点数低い? それは差別だ。
ㅤ獣人族のモフモフの体にクビレ、背中、脚、そして尻尾。全てを見れるなんて……俺にとってはご褒美だ!


「リアンの水着姿楽しみだなぁ〜!」
「ルト様は獣人族の体、大丈夫なんですか?」
「大丈夫も何も、大好きだよ!  そのモフモフの全身をモフモフワシャワシャしたい!」
「……ルト様なら……」


ん?


「ルト様なら別に…………な、なんでもないです」
「ふぅ〜ん?」
「ほ、本当に何でもないですから!」
「分かった分かった。じゃあ明日楽しみにしてるよ」
「あ、ちなみに。イベントではサハル様が誰にも話してない特別な審査……? よく分かりませんが、水着審査以外にも行うらしいです」


へぇ〜。ってことは明日のイベントは長くなりそうだな。


「ありがとうリアン」
「はい、それでは失礼しました」


リアンの水着姿か……おぉいかんいかん。まるで女が好きみたいな……女が……好き? あれ?
ㅤ俺、いままで女性を好きになったことあった? 男しかなかったよね? ……あれ?
ㅤじゃあこの感情は……何?


ㅤ俺は自分の心の変化に戸惑った。


「もしかして……《世界の神》が勝手に俺の心の奥底にある願いを叶えてくれたのか?」


ついに俺も恋愛対象を女性にする事ができるのか!?
ㅤいや、まさかな。今度リアンにあった時に確かめよう。


ㅤなんとなくリアンに会うのが楽しみになった俺だった。

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