魔王LIFE
35話 新たなスタート
「っ……げほっ……げほっ……」
一気に酸素を吸い上げ、むせてしまった。
「ルトッ!」
目の前には心配そうに俺を見つめるサハルとミシェルがいた。
ㅤ俺がどうして助かったのか分からないが、もう1度2人に会えて良かったと思う。
「だ、大丈夫だよ……」
体を起こそうとすると、サハルが「まだ安静にしてて」といって抑えられた。
「ち、違うんだ……僕はルトを洗脳から助けようとして……」
「結果ルトは苦しんで死んだ。僕がいなければルトは2度と戻ってこれなかった」
サハルが俺を助けてくれたのか。
「ん〜……二人ともありがとう」
「2人?」
「そう。サハルとミシェルがいなかったら私は間違った道を進むところだった」
「ど、どういうことだ……?」
まあ2人が不思議に思うのも仕方ない。
「とりあえず、私は洗脳から解放されて無事にここに戻ってきた訳だけど。私はまだサハルの事が大事だと思ってるし、ミシェルの事も好きだよ」
「好きじゃ……なくなったのか」
「いや、サハルはミシェルよりも大事。ミシェルはただの我が儘な好きな人かな」
自然と言葉が脳内で選ばれて、まるでもう1人の俺がここにいるように感じる。不思議と言葉が勝手に出てくる。
「今回の件に関しては、争うよりもお互いが納得するようにして終わらせたいと思う」
「できるのか?」
「やらなきゃいけない。だから二人とも争うのはやめて」
そう簡単に争わなくなるとは思えないけど、少しずつな。
「……分かった。一先ずルトの指示通りに動こう」
「ルトが言うなら仕方ないね」
あれ? 意外にも二人とも納得した?
ㅤまあそれで良いんだけど、何か不思議だな。もしかして《世界の神》技能のお陰か?
「そうそう、言うの忘れてた。一度死んでからボーナス技能を手に入れたの」
「ボーナス技能……?」
そうか、ミシェルは技能とか知らないんだっけか。
「実は私も異世界人なの。それで、人が生まれ変わる時に前世での行いによってポイントが貰えるんだよ」
「そ、そうなのか……異世界人!?」
「そ。だから魔王っていうのは本当。で、ボーナス技能として《世界の神》っていうレア技能を貰ったんだけど……この技能があれば本当の理想郷が作れるかもしれない」
何でもできる。重力を操ることも、新たな物質を作ることも。この世界の真の管理者とも言えるだろう。
「サハル、そこで止まってる人達を戻して」
「分かった」
まずは争いを止めるために、俺を助ける為に集まった人達を説得しないと駄目だ。
「ミシェル、ちょっとお願いがあるんだけど。ーーー」
「ぼ、僕にしろと言うのか?」
「ミシェルにしか頼めない事だよ」
俺とミシェルは、動き始めた人達の前に立った。
「なんだ?」
「何が起きた?」
「魔王は?」
混乱している人達に、まず俺が声を発する。
「皆さん静かに聞いてください。私はこの国で王女をしていたルトと言います」
その言葉に、人々はうんうんと頷いた。ここまでは説明されてるのだろう。
「そして私は魔王です」
次の言葉に、人々は驚いた。
ㅤそれもそうだろう。勇者が助けようとしていた女性が実は魔王だった。つまり勇者は魔王の味方と思われる。
「私の目的は、この世界の全ての人々が平和に、自由に、不自由のない最高の生活を送れる理想郷を創ることです」
「んなことできるのか……?」
小さな声でそんな声が聞こえた。
「私なら出来ます。何故なら私は異世界人でありこの世界の神でもあるからです」
俺がそういうと、人々は呆れたようにこんな事を口に出した。
『証拠はあるのか』『くだらない嘘はつくな』。そこで早速、《世界の神》の能力を実際に使う必要がある。
「じゃあミシェル、武器を構えて」
「わ、分かった」
ミシェルは俺に向けて剣を構えた。
「皆さん見ていてください。私が本当の神ならば、少しも動かずに無傷で受けることができます。
ㅤお願い」
「い、いくぞ……」
俺は自分の体が、物質をすり抜ける身体に変えた。
「はぁっ!」
「「ひぃっ」」
ミシェルが剣を振り下ろし、人々は咄嗟に目を閉じた。
「……」
場に静かな空気が流れる。
ㅤ人々の中に、そっと目を開いた男が俺を見て悲鳴を上げるまでに3秒。
「おおぉぉぉおっ!!」
その声に、他の人々まで目を開いて俺の姿に驚いた。
ㅤミシェルが剣を俺に刺し、様々な方向へと動かしているが俺は無傷。それどころか服に傷が入っている様子すらない。
「ただ、これでは信じれないでしょう」
「いや! 俺は信じるぜ!!」
「俺も信じる!」
「アンタは神様だ!」
「本物だ!!」
あっさりと信じた人々達。……《世界の神》とかいうチート技能が便利すぎてこの人生ベリーイージーモードだな。
「……ミシェルありがとう」
「いや僕もビックリだよ。急に色んなことが起きて、正直これは夢なんじゃないかって思うほど」
「夢じゃないよ」
「なんだろう……こうしてルトと一緒に話せる日が来て……凄く嬉しい」
「なんで今更……ふふ」
俺とミシェルがイチャついていると、背後から鋭い視線を感じた。
「あ、そうだ。サハルも敵意はないから」
その事を人々に伝えると、分かった。なんて言っている。ちょろいちょろい。
「これからどうするんだ? 理想郷を作るって言ってるけど……」
「まずは上空に都市を作ろうか」
「な、なんか現実的じゃないな」
「ベリーイージーだよ」
サハルはあくまでも魔王らしく生きたいらしいから、理想郷の国王はサハル。王女が俺で良いだろう。
「サハル、理想郷のトップはサハルだよ」
「良いの?」
「勿論」
「じゃあ、いままで通りルトと接しても良いかな?」
「逆に変えられると色々と困るかな」
「分かった……じゃあそいつとイチャイチャしてる事だし、今夜は悪戯しようかな」
悪戯……それを忘れていた。
ㅤでもまあ、なんとかこれから先の道が見えてきたな。本格的に、俺とサハル、そして全ての生き物が平和に暮らせる世界を創りあげる。
ㅤやっと……やっと俺の人生が始まった気がする。
一気に酸素を吸い上げ、むせてしまった。
「ルトッ!」
目の前には心配そうに俺を見つめるサハルとミシェルがいた。
ㅤ俺がどうして助かったのか分からないが、もう1度2人に会えて良かったと思う。
「だ、大丈夫だよ……」
体を起こそうとすると、サハルが「まだ安静にしてて」といって抑えられた。
「ち、違うんだ……僕はルトを洗脳から助けようとして……」
「結果ルトは苦しんで死んだ。僕がいなければルトは2度と戻ってこれなかった」
サハルが俺を助けてくれたのか。
「ん〜……二人ともありがとう」
「2人?」
「そう。サハルとミシェルがいなかったら私は間違った道を進むところだった」
「ど、どういうことだ……?」
まあ2人が不思議に思うのも仕方ない。
「とりあえず、私は洗脳から解放されて無事にここに戻ってきた訳だけど。私はまだサハルの事が大事だと思ってるし、ミシェルの事も好きだよ」
「好きじゃ……なくなったのか」
「いや、サハルはミシェルよりも大事。ミシェルはただの我が儘な好きな人かな」
自然と言葉が脳内で選ばれて、まるでもう1人の俺がここにいるように感じる。不思議と言葉が勝手に出てくる。
「今回の件に関しては、争うよりもお互いが納得するようにして終わらせたいと思う」
「できるのか?」
「やらなきゃいけない。だから二人とも争うのはやめて」
そう簡単に争わなくなるとは思えないけど、少しずつな。
「……分かった。一先ずルトの指示通りに動こう」
「ルトが言うなら仕方ないね」
あれ? 意外にも二人とも納得した?
ㅤまあそれで良いんだけど、何か不思議だな。もしかして《世界の神》技能のお陰か?
「そうそう、言うの忘れてた。一度死んでからボーナス技能を手に入れたの」
「ボーナス技能……?」
そうか、ミシェルは技能とか知らないんだっけか。
「実は私も異世界人なの。それで、人が生まれ変わる時に前世での行いによってポイントが貰えるんだよ」
「そ、そうなのか……異世界人!?」
「そ。だから魔王っていうのは本当。で、ボーナス技能として《世界の神》っていうレア技能を貰ったんだけど……この技能があれば本当の理想郷が作れるかもしれない」
何でもできる。重力を操ることも、新たな物質を作ることも。この世界の真の管理者とも言えるだろう。
「サハル、そこで止まってる人達を戻して」
「分かった」
まずは争いを止めるために、俺を助ける為に集まった人達を説得しないと駄目だ。
「ミシェル、ちょっとお願いがあるんだけど。ーーー」
「ぼ、僕にしろと言うのか?」
「ミシェルにしか頼めない事だよ」
俺とミシェルは、動き始めた人達の前に立った。
「なんだ?」
「何が起きた?」
「魔王は?」
混乱している人達に、まず俺が声を発する。
「皆さん静かに聞いてください。私はこの国で王女をしていたルトと言います」
その言葉に、人々はうんうんと頷いた。ここまでは説明されてるのだろう。
「そして私は魔王です」
次の言葉に、人々は驚いた。
ㅤそれもそうだろう。勇者が助けようとしていた女性が実は魔王だった。つまり勇者は魔王の味方と思われる。
「私の目的は、この世界の全ての人々が平和に、自由に、不自由のない最高の生活を送れる理想郷を創ることです」
「んなことできるのか……?」
小さな声でそんな声が聞こえた。
「私なら出来ます。何故なら私は異世界人でありこの世界の神でもあるからです」
俺がそういうと、人々は呆れたようにこんな事を口に出した。
『証拠はあるのか』『くだらない嘘はつくな』。そこで早速、《世界の神》の能力を実際に使う必要がある。
「じゃあミシェル、武器を構えて」
「わ、分かった」
ミシェルは俺に向けて剣を構えた。
「皆さん見ていてください。私が本当の神ならば、少しも動かずに無傷で受けることができます。
ㅤお願い」
「い、いくぞ……」
俺は自分の体が、物質をすり抜ける身体に変えた。
「はぁっ!」
「「ひぃっ」」
ミシェルが剣を振り下ろし、人々は咄嗟に目を閉じた。
「……」
場に静かな空気が流れる。
ㅤ人々の中に、そっと目を開いた男が俺を見て悲鳴を上げるまでに3秒。
「おおぉぉぉおっ!!」
その声に、他の人々まで目を開いて俺の姿に驚いた。
ㅤミシェルが剣を俺に刺し、様々な方向へと動かしているが俺は無傷。それどころか服に傷が入っている様子すらない。
「ただ、これでは信じれないでしょう」
「いや! 俺は信じるぜ!!」
「俺も信じる!」
「アンタは神様だ!」
「本物だ!!」
あっさりと信じた人々達。……《世界の神》とかいうチート技能が便利すぎてこの人生ベリーイージーモードだな。
「……ミシェルありがとう」
「いや僕もビックリだよ。急に色んなことが起きて、正直これは夢なんじゃないかって思うほど」
「夢じゃないよ」
「なんだろう……こうしてルトと一緒に話せる日が来て……凄く嬉しい」
「なんで今更……ふふ」
俺とミシェルがイチャついていると、背後から鋭い視線を感じた。
「あ、そうだ。サハルも敵意はないから」
その事を人々に伝えると、分かった。なんて言っている。ちょろいちょろい。
「これからどうするんだ? 理想郷を作るって言ってるけど……」
「まずは上空に都市を作ろうか」
「な、なんか現実的じゃないな」
「ベリーイージーだよ」
サハルはあくまでも魔王らしく生きたいらしいから、理想郷の国王はサハル。王女が俺で良いだろう。
「サハル、理想郷のトップはサハルだよ」
「良いの?」
「勿論」
「じゃあ、いままで通りルトと接しても良いかな?」
「逆に変えられると色々と困るかな」
「分かった……じゃあそいつとイチャイチャしてる事だし、今夜は悪戯しようかな」
悪戯……それを忘れていた。
ㅤでもまあ、なんとかこれから先の道が見えてきたな。本格的に、俺とサハル、そして全ての生き物が平和に暮らせる世界を創りあげる。
ㅤやっと……やっと俺の人生が始まった気がする。
「魔王LIFE」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
614
-
1,144
-
-
614
-
221
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
14
-
8
-
-
2,534
-
6,825
-
-
164
-
253
-
-
1,301
-
8,782
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
42
-
14
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
23
-
3
-
-
86
-
288
-
-
51
-
163
-
-
218
-
165
-
-
1,658
-
2,771
-
-
220
-
516
-
-
34
-
83
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
62
-
89
-
-
42
-
52
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
408
-
439
コメント