魔王LIFE
29話 優勝したら負け
〜イベント開催まで残り5日〜
「大変ですっ!!」
筋トレしているところ、リアンが凄い勢いで部屋に入ってきた。
「何事?」
「先程入った情報によりますと、審査基準は肉体の美しさに女らしさ、そしてエロさが必要との事です!」
「ん〜? それって……」
俺に女らしさなんて物はないし……いや少しはあるけど、少しは少し。点数にはならないだろう。
ㅤそしてエロさか……エロさねぇ……。
「国民達はどんな準備してる?」
「エロい衣装を準備したり、胸を揺らしたり……他には股を開いたりだとかです」
「……マズいなぁ……このままだと負けるぞ」
肉体美は完璧として、女らしさに欠けている。エロさはサハルの水着で何とか……なってほしくないけど仕方ない。
「リアン……」
「はい」
「女らしさって何かな……」
俺はリアンに女らしさについて教わることにした。
ーーーーー
ㅤ前世が男だった俺は、男らしさしか持っていない。そこに女らしさを加えるとなると、かなり大変だ。
「ルト様はとても堂々とした立ち方、歩き方ですよね。まずは孅い女性を演じてみましょう」
「それに何か意味が?」
「男というのは、本能的に女を守ってあげたくなるそうです」
なるほど……俺はそうでもないけどな。
「ど、どうすれば孅く見せれるんだ?」
「まずは両手の指を腰元くらいの高さに、前で組んでください」
言われた通りに組んでみると、胸が横から押されて強調されるのが分かる。
「それから……顔を少し下に…………そのまま両足をくっつけて……背筋を伸ばして……」
命令されるがままに、俺の体を動かしていく。
「ーーで、次に両手を前に! ……そのまま『はぁっ!』 と叫んでください!」
「……絶対遊んでるだろ!!」
俺はかめ○め波なんて撃てないよ!
「すみません、なんだか楽しくなってきちゃって。ルト様が思い通りに動くって新鮮なので」
「もう……リアン以外の人に教えてもらう……」
「っっ! る、ルト様!! それです! その感情に雰囲気!」
「え?」
突然リアンが興奮しだした。俺何かしたか?
「もう1回さっきのように落ち込んでください!」
「こ、こう……?」
若干悲しい雰囲気を出しつつ、肩を下ろす。
「おぉっ!! 私、なんだかルト様を守ってあげなくなりました!」
「本当か!? じゃあ女らしさは……!」
「まだです! その雰囲気を出しつつ、肉体美の強調。そしてエロさを引き出すのです!」
リアンが俺の肩を掴み、まるで母のようにああだこうだと話し出した。母性本能か。
ーーーーー
「ーー完璧ですっ!!」
「ふはははははははははは!!!」
俺は自慢げに笑った。
ㅤ肉体美、女らしさ、エロさ。全てを同時に発動できるようになったのだ。
ㅤ肉体美はポーズで。女らしさは雰囲気で。エロさは水着と仕草で。それら全てをリアンから教えてもらい、優勝は確実に目の前だ。
「これならきっと優勝できます!」
「っしゃあ! 私がこの世界で最も美しいって事を、知らしめてやる!」
「素敵ですっっ!!」
リアンが抱きついて、俺の全身の筋肉をくまなくお触りしていく。
ㅤふっ……男国民達の喜ぶ姿が目に浮かぶ……。もしかするとサハルも俺にメロメロになるかもな。
「リアン、残りの5日間。更に美しさを磨くために、よろしく頼むよ」
「よろしく頼まれました! ルト様が美しくなるのなら死力を尽くして頑張らせていただきます!」
リアンの尻尾がバタバタと暴れ、鼻息を荒くしている。まるで発情した犬のようだ。
ㅤそれに俺の体の隅々をまだ触っている。
「リアン、一旦休もう。何か飲み物を持ってきて」
「はい、すぐにお持ちします」
すぐさま部屋から出て走り去っていった。
「……ふぅ……」
その間、俺は汗をかいた体をタオルで拭く。
ㅤ鏡に写る美しい体を見て、俺は自分の髪に触れた。
「伸びてきたなぁ」
前は肩までの長さだったが、今は脇まで伸びている。
ㅤ髪を結んだ方が良いだろう。リアンに使わないヘアゴム貰うか。
ㅤ汗で濡れた髪をかきあげて、ニヤッと笑う。
ㅤやっぱり俺が優勝するのは間違いなしだな。
ㅤもし前世にこんな女性がいたなら、確実に一目みただけで理性を失い、犯罪を犯してしまいそうだ。それぐらい美しい。
ㅤ別にナルシストって訳じゃない。事実、俺は美しいのだ。
ㅤ同じイベントに参加する女性には悪いが、優勝は貰った……。
「大変です! 優勝景品がっ!!」
「ん?」
リアンがまた息を切らしながらやってきた。
「優勝景品は……サハル様直々に……」
「サハル直々に……?」
「優勝者とサハル様で……子作りとのこと……」
「こづ……子作り!?」
そりゃ一体どういう事だ。俺はサハルとそういう行為はまだしたくないから、このイベントに出たというのに……。優勝景品がサハルとの間に生まれる子供!?
「世界一美しい女性とサハル様の子供を、この国でサハル様とルト様の次に偉い人にするとの事です……」
「そんな事どうでもいい……」
優勝景品が子供……。
「リアン、私はこのイベント。絶対に優勝しない!」
「えぇっ!? 子供ですよ?」
「サハルもまだ子供! 子供と子供を産むなんて無理! 非現実的! 不思議! 色んな意味で有り得ない!」
絶対に優勝してやるもんか! どんなに俺が美しいからって、優勝を逃すくらい簡単! せめて10年後に子作りするってなら良いけど……。でも違うのなら嫌だ。
「じゃ、じゃあ……今日からは……」
「特訓は無し! ぐーたら食って寝て遊ぶ!」
「勿体ない!」
「仕方ない! 優勝しないったらしないんだい!!」
「あぁルト様っ!」
俺はベッドに潜り込み、ニートとなった。
「出てきてくださいぃぃ〜……」
「嫌だ! 優勝したら負けかなと思ってる!!」
「優勝は優勝ですよ!」
「はぁ……リアンはただ私の筋肉触りたいだけでしょ?」
「うぐっ……」
やっぱりそうだった。変に執着してくるなと思ったら、ただ触りたいだけか。
ㅤ俺は布団を開いて、リアンが入れるスペースを作った。
「触るくらいなら良いから、ね?」
「わ、分かりました……仕方ないですね……」
そういうリアンの顔は嬉しそうにニヤついていた。
「大変ですっ!!」
筋トレしているところ、リアンが凄い勢いで部屋に入ってきた。
「何事?」
「先程入った情報によりますと、審査基準は肉体の美しさに女らしさ、そしてエロさが必要との事です!」
「ん〜? それって……」
俺に女らしさなんて物はないし……いや少しはあるけど、少しは少し。点数にはならないだろう。
ㅤそしてエロさか……エロさねぇ……。
「国民達はどんな準備してる?」
「エロい衣装を準備したり、胸を揺らしたり……他には股を開いたりだとかです」
「……マズいなぁ……このままだと負けるぞ」
肉体美は完璧として、女らしさに欠けている。エロさはサハルの水着で何とか……なってほしくないけど仕方ない。
「リアン……」
「はい」
「女らしさって何かな……」
俺はリアンに女らしさについて教わることにした。
ーーーーー
ㅤ前世が男だった俺は、男らしさしか持っていない。そこに女らしさを加えるとなると、かなり大変だ。
「ルト様はとても堂々とした立ち方、歩き方ですよね。まずは孅い女性を演じてみましょう」
「それに何か意味が?」
「男というのは、本能的に女を守ってあげたくなるそうです」
なるほど……俺はそうでもないけどな。
「ど、どうすれば孅く見せれるんだ?」
「まずは両手の指を腰元くらいの高さに、前で組んでください」
言われた通りに組んでみると、胸が横から押されて強調されるのが分かる。
「それから……顔を少し下に…………そのまま両足をくっつけて……背筋を伸ばして……」
命令されるがままに、俺の体を動かしていく。
「ーーで、次に両手を前に! ……そのまま『はぁっ!』 と叫んでください!」
「……絶対遊んでるだろ!!」
俺はかめ○め波なんて撃てないよ!
「すみません、なんだか楽しくなってきちゃって。ルト様が思い通りに動くって新鮮なので」
「もう……リアン以外の人に教えてもらう……」
「っっ! る、ルト様!! それです! その感情に雰囲気!」
「え?」
突然リアンが興奮しだした。俺何かしたか?
「もう1回さっきのように落ち込んでください!」
「こ、こう……?」
若干悲しい雰囲気を出しつつ、肩を下ろす。
「おぉっ!! 私、なんだかルト様を守ってあげなくなりました!」
「本当か!? じゃあ女らしさは……!」
「まだです! その雰囲気を出しつつ、肉体美の強調。そしてエロさを引き出すのです!」
リアンが俺の肩を掴み、まるで母のようにああだこうだと話し出した。母性本能か。
ーーーーー
「ーー完璧ですっ!!」
「ふはははははははははは!!!」
俺は自慢げに笑った。
ㅤ肉体美、女らしさ、エロさ。全てを同時に発動できるようになったのだ。
ㅤ肉体美はポーズで。女らしさは雰囲気で。エロさは水着と仕草で。それら全てをリアンから教えてもらい、優勝は確実に目の前だ。
「これならきっと優勝できます!」
「っしゃあ! 私がこの世界で最も美しいって事を、知らしめてやる!」
「素敵ですっっ!!」
リアンが抱きついて、俺の全身の筋肉をくまなくお触りしていく。
ㅤふっ……男国民達の喜ぶ姿が目に浮かぶ……。もしかするとサハルも俺にメロメロになるかもな。
「リアン、残りの5日間。更に美しさを磨くために、よろしく頼むよ」
「よろしく頼まれました! ルト様が美しくなるのなら死力を尽くして頑張らせていただきます!」
リアンの尻尾がバタバタと暴れ、鼻息を荒くしている。まるで発情した犬のようだ。
ㅤそれに俺の体の隅々をまだ触っている。
「リアン、一旦休もう。何か飲み物を持ってきて」
「はい、すぐにお持ちします」
すぐさま部屋から出て走り去っていった。
「……ふぅ……」
その間、俺は汗をかいた体をタオルで拭く。
ㅤ鏡に写る美しい体を見て、俺は自分の髪に触れた。
「伸びてきたなぁ」
前は肩までの長さだったが、今は脇まで伸びている。
ㅤ髪を結んだ方が良いだろう。リアンに使わないヘアゴム貰うか。
ㅤ汗で濡れた髪をかきあげて、ニヤッと笑う。
ㅤやっぱり俺が優勝するのは間違いなしだな。
ㅤもし前世にこんな女性がいたなら、確実に一目みただけで理性を失い、犯罪を犯してしまいそうだ。それぐらい美しい。
ㅤ別にナルシストって訳じゃない。事実、俺は美しいのだ。
ㅤ同じイベントに参加する女性には悪いが、優勝は貰った……。
「大変です! 優勝景品がっ!!」
「ん?」
リアンがまた息を切らしながらやってきた。
「優勝景品は……サハル様直々に……」
「サハル直々に……?」
「優勝者とサハル様で……子作りとのこと……」
「こづ……子作り!?」
そりゃ一体どういう事だ。俺はサハルとそういう行為はまだしたくないから、このイベントに出たというのに……。優勝景品がサハルとの間に生まれる子供!?
「世界一美しい女性とサハル様の子供を、この国でサハル様とルト様の次に偉い人にするとの事です……」
「そんな事どうでもいい……」
優勝景品が子供……。
「リアン、私はこのイベント。絶対に優勝しない!」
「えぇっ!? 子供ですよ?」
「サハルもまだ子供! 子供と子供を産むなんて無理! 非現実的! 不思議! 色んな意味で有り得ない!」
絶対に優勝してやるもんか! どんなに俺が美しいからって、優勝を逃すくらい簡単! せめて10年後に子作りするってなら良いけど……。でも違うのなら嫌だ。
「じゃ、じゃあ……今日からは……」
「特訓は無し! ぐーたら食って寝て遊ぶ!」
「勿体ない!」
「仕方ない! 優勝しないったらしないんだい!!」
「あぁルト様っ!」
俺はベッドに潜り込み、ニートとなった。
「出てきてくださいぃぃ〜……」
「嫌だ! 優勝したら負けかなと思ってる!!」
「優勝は優勝ですよ!」
「はぁ……リアンはただ私の筋肉触りたいだけでしょ?」
「うぐっ……」
やっぱりそうだった。変に執着してくるなと思ったら、ただ触りたいだけか。
ㅤ俺は布団を開いて、リアンが入れるスペースを作った。
「触るくらいなら良いから、ね?」
「わ、分かりました……仕方ないですね……」
そういうリアンの顔は嬉しそうにニヤついていた。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
1168
-
-
147
-
-
157
-
-
141
-
-
755
-
-
841
-
-
55
-
-
4405
-
-
20
コメント