魔王LIFE
2話 魔王なのは事実
ㅤ次に意識を取り戻したのは暗い森の中。
ㅤ黒い木は不気味な雰囲気を出しているが、何故か魅力的にも見える。
ㅤこの森の全ての植物が暗い色をしていた。
ㅤ一先ず自分の体を確認する。
「っと……ここに胸があって…え?」
初っ端からとんでもない物を見てしまった。
ㅤ黒いシャツの中にDカップ程の胸があり、谷間を作っていた。
ㅤそれに声、女なのに男らしいクールな声。まるで男装する劇団女優なようだ。
「お、おいまてよ……なんで女になってんだ…? 確かに男に転生するとは言ってなかったけど…は?」
訳が分からず、とりあえず胸を揉んで落ち着く。
「これじゃ俺って…男にモテモテになるのか? 男にラッキースケベするのか?」
自分が選んだ技能は俺の欲望を表したもの。ただその欲望は女に対しての欲望であり、ガチムチの男になんかどうでもいい。どうかこの効果は女に対応してますように。
ㅤ空にいるであろう神を拝んで、改めて自分の体を確認する。
ㅤ俺が女になったという事は、当然下半身も女になり、髪も長くなり、美人だということ。
ㅤ頭に触れてみると、サラサラで肩まで伸びた髪。
「おほぉ…女の髪の毛」
自分の髪とはいえ、女の髪を触っているんだ。興奮するだろう?
「す〜〜っ……ふぅ」
何をしたかって? 聞かないでくれ。髪を近くで見ただけだ。
ㅤ股の間にあった汚物が無くなった事で、歩きやすくなった。それに体も軽い。
「何すっかなぁ…」
魔王になったとはいえ、何をしたら良いのか分からない。魔法が使えるらしいんだが、使い方も分からないんだよな。
「ほら、ステータス出てこい」
ラノベに良くあるステータス画面。当然そんな非現実的な画面が出てくる事はなく、自分の力は自分で知るしかない。
「よし……翼生えろ!」
背中に白くて大きな翼が生えるのをイメージして叫んでみた。
バサァッッ!!
っと羽ばたく音が聞こえ、背中に2つ手が生えたような感覚がやってきた。
ㅤその手を前に押し出すと、視界に白い翼が現れた。
「マジで…?」
これこそまさに非現実的。イメージ通りの翼が出てきて驚かない訳がない。
ㅤ軽く上下に羽ばたかせると足元に風を感じ、体が軽くなった気がした。
「っしゃ! このまま空までひとっ飛び!」
拳を突き上げ、思いっきり羽ばたいた。
ㅤ一瞬で雲の上。
「っでぇぇぇぇええええ!?!?」
もの凄い勢いで落下していき、翼をばたつかせるがクルクルと回転するだけだ。
ㅤまずい! このまま落下したら死ぬ!!
ㅤそう思い体をグッと丸くして衝撃に備えた、のだが。
フワッ
「え、フワッ?」
浮遊感に気付き目を開けると、地面スレスレでゆっくりと降下していた。
ㅤ両足を地面に付けると浮遊感が無くなった。
「す、すげぇ…」
心臓がバクバクなっている。この感覚、新しいゲームを買ってメインメニューにやってきた感覚だ。
「そうだ、これから俺の物語が始まるんだ……それもチート級の魔王となって…」
俺は左手で右乳を触り、現実と確かめる。乳首大きい。
ㅤよし、魔王になった今。俺にするべき事はなんだ! そう! 寝泊まりする場所に食事、金を稼いで安定して生活できるようにすること!
「空飛んで街探すか!」
今度は力加減をして翼を羽ばたかせ、この暗い森から上空へと飛んだ。
ㅤ遠くの方に大きな城が見える。一先ずそこまで行くか。
ーーーーー
城下町上空。俺は今街の景色を見下ろしているところだ。
ㅤラノベで良く見る中世風の町並み。ケモミミ女にケモミミ男、イケメンに美人。あそこにもイケメンが…。
ㅤあれ…? 俺なんでイケメンにドキドキしてるんだ? まさか女の本能で男を好きになっちゃう、なんて事無いよな…ない無い、そう信じよう。
ㅤとりあえず城下町の外にある門、人が並んでいる場所から少し離れたところに降りて、門の前へ向かう。
「おぉっ、でっけえ門だな」
つい言葉を漏らすと、並んでた人達が俺の方を向いた。
ㅤ皆リュックだったり水筒だったり。更には剣なんかも持っている。俺場違い感半端ない。
ㅤ男達のイヤらしい目に寒気を覚えた。あの男達の脳内で俺があんなことやこんなことをされていると考えると…気持ち悪い。やっぱり男は好きになれんな。
「そこの女、こっちにこい」
門番が俺に手招きした。
「え? 前に並んでるのに大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。こい」
俺が言われたとおり前に進むと、男の舌打ちが聞こえた。
ㅤすまない、美人の特権だ。…いや美人なのか知らないけどな。
「何も持たずにどこからきた?」
どこから……って言われると黒い森としか言えないよな。
「よく分からないけど、植物が黒い森の方からです」
「なっ! そこは魔の森と呼ばれているところだ。どうやってここに来れた?」
「あ……っと、歩いて」
流石に飛んできたとは言えないだろう。
「そんな筈無いだろう。魔の森は一度入ったら魔物に襲われるか遭難するかしかないと言われてるんだぞ」
「そ、そう言われても…事実は事実ですし」
「っ…そうか。そうだな。通ってよし」
「っしゃ〜!」
門番の人、仮面で顔は見えなかったがきっと赤くしていただろう。なんせ俺は美少女! 自分で見た事はないが、確実に美少女だ。言いきれる。
ㅤ開かれた門を潜り、ついに中世風の町並みの中に入ることができた。
「おっほぉ〜! すっげぇな!」
このまま真っ直ぐ行ったところに、とても大きなお城が建っている。天辺は雲の上まで。俺ならひとっ飛びで行けるが目立ちたくないのでな。
ㅤしかし、ケモミミ少女! エルフ美少女! 色んな娘が居てワクワクするな!
「こんにちはお嬢さん」
突然後ろから話しかけられ、振り返るとそこにはイケメンが……ドキッ。
「は、はい何でしょう」
「この国に来るのは初めてですか? よろしければ私が案内いたします」
とても綺麗なお辞儀を見せたこのイケメンは、胸に紋章が入っていることから考えると貴族だろう。
ㅤしかし俺がイケメンに怒りとは違う感情を抱くとは…女の本能か。
「じゃあお言葉に甘えて」
「分かりました。この国はとても広いのではぐれないように手をお繋ぎいたします」
「あっ……」
優しく手を握られ、顔が熱くなる。
ㅤやばい…俺の中の何かが……何かが熱く燃えている。これが恋なのか…!?
ㅤ慣れない感情でドキドキしながら、貴族の男に付いていく。
「おい! あれグラニュート家の息子だぞ!」
「あの女は誰だ? ミシェル坊ちゃんが彼女作るなんて珍しいな」
「キャー! ミシェル様〜!!」
俺達が通る道が自然と開けていく。人々に注目されている、それほど凄い人なのだろう。
「おっと自己紹介が遅れました。私はグラニュート家長男のミシェル・グラニュートと申します」
「あ、それは御丁寧にどうも…」
緊張して上手く話せない。
「よければお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「あ、名前……えっと…」
どうしたものか。俺の前世の名前は今世の俺には似合わないしな……。
「失礼しました。二人きりになれる場所に行きましょう」
名前が言えないのを緊張しているから、と思ったのか何やら豪華な建物の中へと入っていった。
ㅤ連れられるがままに連れてこられたのは、高級ホテルのVIPルームのような部屋だった。
ㅤイケメンにこんな場所に連れてこられて更に緊張しているんだが…。
「先程は失礼しました」
「あ、いえ……」
「お名前をお聞きしても?」
名前……どうしようか。前世の名前は 『山田悠人』。そこからどうにか名前を……。
「言えない事情でも?」
「あ、いえ…ちょっと考えてます」
「考えて?」
「な、なんでもないです」
悠人…はると、ハルト。ルトでいいや。
「よし…。あ、名前は『ルト』っていいます」
「ルト……とても良い名前ですね。その名前を付けてくださった親を尊敬します」
俺なんだが。
「率直に言わせていただきます」
「はい…」
「私は貴女に一目惚れしてしまいました。それも人生で初めての」
その言葉に、全身が熱くなるのを感じた。
ㅤきっと今顔が赤くなっているのだろう。凄く恥ずかしい。
「勿論、すぐに返事をくれとは言いません。考える時間はいくらでもあります。答えが決まったら、その時返事をしてくださいますか?」
そんな事を言われても…男と付き合う訳には…でも好きになっちゃったし…あぁでも心のどこかにある男の心が拒絶しているっ!
「こ、こち…ら……」
「こちら…?」
「…………ごめんなさい!」
少し考えたが、やっぱり男と付き合うわけにはいかない。体は女でも中身は男、俺はホモじゃないんだ…。
「そう…ですよね。分かってました。
ㅤですが、もし心が変わったら…付き合うチャンスを下さい」
「……はい。その時は…その……お願いします」
としか言うことができなかった。
ㅤ初めての一目惚れ。それがごめんなさいの一言で砕け散った。そんな悲しい事、あっていいはずがない。俺が言うことじゃないけどな。
ㅤ罪悪感をこれ以上増やすわけにはいかない。
「では、自己紹介も終わりましたし城下町の案内しますよ、ルトさん」
「ありがとうございます、ミシェルさん」
俺が礼を言うと、ミシェルは顔を赤くしつつも俺の手を取り、立ち上がった。
ㅤそして部屋から出ようとする時。
「お、おわっ!!」
「わっ!!」
ミシェルがカーペットで足を滑らせ、俺の方へと倒れてきた。
「いたたた…大丈…ぶ…?」
「い、痛い……」
「ああぁぁぁあ!!! ごめんなさい! 本当に申し訳ありません!!」
ミシェルの手が俺の両乳をガッシリと掴んでいた。
ㅤすぐに離れて土下座を決めるミシェル……。
ㅤラッキースケベってこっちかよぉぉぉぉおお!!!
ㅤ黒い木は不気味な雰囲気を出しているが、何故か魅力的にも見える。
ㅤこの森の全ての植物が暗い色をしていた。
ㅤ一先ず自分の体を確認する。
「っと……ここに胸があって…え?」
初っ端からとんでもない物を見てしまった。
ㅤ黒いシャツの中にDカップ程の胸があり、谷間を作っていた。
ㅤそれに声、女なのに男らしいクールな声。まるで男装する劇団女優なようだ。
「お、おいまてよ……なんで女になってんだ…? 確かに男に転生するとは言ってなかったけど…は?」
訳が分からず、とりあえず胸を揉んで落ち着く。
「これじゃ俺って…男にモテモテになるのか? 男にラッキースケベするのか?」
自分が選んだ技能は俺の欲望を表したもの。ただその欲望は女に対しての欲望であり、ガチムチの男になんかどうでもいい。どうかこの効果は女に対応してますように。
ㅤ空にいるであろう神を拝んで、改めて自分の体を確認する。
ㅤ俺が女になったという事は、当然下半身も女になり、髪も長くなり、美人だということ。
ㅤ頭に触れてみると、サラサラで肩まで伸びた髪。
「おほぉ…女の髪の毛」
自分の髪とはいえ、女の髪を触っているんだ。興奮するだろう?
「す〜〜っ……ふぅ」
何をしたかって? 聞かないでくれ。髪を近くで見ただけだ。
ㅤ股の間にあった汚物が無くなった事で、歩きやすくなった。それに体も軽い。
「何すっかなぁ…」
魔王になったとはいえ、何をしたら良いのか分からない。魔法が使えるらしいんだが、使い方も分からないんだよな。
「ほら、ステータス出てこい」
ラノベに良くあるステータス画面。当然そんな非現実的な画面が出てくる事はなく、自分の力は自分で知るしかない。
「よし……翼生えろ!」
背中に白くて大きな翼が生えるのをイメージして叫んでみた。
バサァッッ!!
っと羽ばたく音が聞こえ、背中に2つ手が生えたような感覚がやってきた。
ㅤその手を前に押し出すと、視界に白い翼が現れた。
「マジで…?」
これこそまさに非現実的。イメージ通りの翼が出てきて驚かない訳がない。
ㅤ軽く上下に羽ばたかせると足元に風を感じ、体が軽くなった気がした。
「っしゃ! このまま空までひとっ飛び!」
拳を突き上げ、思いっきり羽ばたいた。
ㅤ一瞬で雲の上。
「っでぇぇぇぇええええ!?!?」
もの凄い勢いで落下していき、翼をばたつかせるがクルクルと回転するだけだ。
ㅤまずい! このまま落下したら死ぬ!!
ㅤそう思い体をグッと丸くして衝撃に備えた、のだが。
フワッ
「え、フワッ?」
浮遊感に気付き目を開けると、地面スレスレでゆっくりと降下していた。
ㅤ両足を地面に付けると浮遊感が無くなった。
「す、すげぇ…」
心臓がバクバクなっている。この感覚、新しいゲームを買ってメインメニューにやってきた感覚だ。
「そうだ、これから俺の物語が始まるんだ……それもチート級の魔王となって…」
俺は左手で右乳を触り、現実と確かめる。乳首大きい。
ㅤよし、魔王になった今。俺にするべき事はなんだ! そう! 寝泊まりする場所に食事、金を稼いで安定して生活できるようにすること!
「空飛んで街探すか!」
今度は力加減をして翼を羽ばたかせ、この暗い森から上空へと飛んだ。
ㅤ遠くの方に大きな城が見える。一先ずそこまで行くか。
ーーーーー
城下町上空。俺は今街の景色を見下ろしているところだ。
ㅤラノベで良く見る中世風の町並み。ケモミミ女にケモミミ男、イケメンに美人。あそこにもイケメンが…。
ㅤあれ…? 俺なんでイケメンにドキドキしてるんだ? まさか女の本能で男を好きになっちゃう、なんて事無いよな…ない無い、そう信じよう。
ㅤとりあえず城下町の外にある門、人が並んでいる場所から少し離れたところに降りて、門の前へ向かう。
「おぉっ、でっけえ門だな」
つい言葉を漏らすと、並んでた人達が俺の方を向いた。
ㅤ皆リュックだったり水筒だったり。更には剣なんかも持っている。俺場違い感半端ない。
ㅤ男達のイヤらしい目に寒気を覚えた。あの男達の脳内で俺があんなことやこんなことをされていると考えると…気持ち悪い。やっぱり男は好きになれんな。
「そこの女、こっちにこい」
門番が俺に手招きした。
「え? 前に並んでるのに大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。こい」
俺が言われたとおり前に進むと、男の舌打ちが聞こえた。
ㅤすまない、美人の特権だ。…いや美人なのか知らないけどな。
「何も持たずにどこからきた?」
どこから……って言われると黒い森としか言えないよな。
「よく分からないけど、植物が黒い森の方からです」
「なっ! そこは魔の森と呼ばれているところだ。どうやってここに来れた?」
「あ……っと、歩いて」
流石に飛んできたとは言えないだろう。
「そんな筈無いだろう。魔の森は一度入ったら魔物に襲われるか遭難するかしかないと言われてるんだぞ」
「そ、そう言われても…事実は事実ですし」
「っ…そうか。そうだな。通ってよし」
「っしゃ〜!」
門番の人、仮面で顔は見えなかったがきっと赤くしていただろう。なんせ俺は美少女! 自分で見た事はないが、確実に美少女だ。言いきれる。
ㅤ開かれた門を潜り、ついに中世風の町並みの中に入ることができた。
「おっほぉ〜! すっげぇな!」
このまま真っ直ぐ行ったところに、とても大きなお城が建っている。天辺は雲の上まで。俺ならひとっ飛びで行けるが目立ちたくないのでな。
ㅤしかし、ケモミミ少女! エルフ美少女! 色んな娘が居てワクワクするな!
「こんにちはお嬢さん」
突然後ろから話しかけられ、振り返るとそこにはイケメンが……ドキッ。
「は、はい何でしょう」
「この国に来るのは初めてですか? よろしければ私が案内いたします」
とても綺麗なお辞儀を見せたこのイケメンは、胸に紋章が入っていることから考えると貴族だろう。
ㅤしかし俺がイケメンに怒りとは違う感情を抱くとは…女の本能か。
「じゃあお言葉に甘えて」
「分かりました。この国はとても広いのではぐれないように手をお繋ぎいたします」
「あっ……」
優しく手を握られ、顔が熱くなる。
ㅤやばい…俺の中の何かが……何かが熱く燃えている。これが恋なのか…!?
ㅤ慣れない感情でドキドキしながら、貴族の男に付いていく。
「おい! あれグラニュート家の息子だぞ!」
「あの女は誰だ? ミシェル坊ちゃんが彼女作るなんて珍しいな」
「キャー! ミシェル様〜!!」
俺達が通る道が自然と開けていく。人々に注目されている、それほど凄い人なのだろう。
「おっと自己紹介が遅れました。私はグラニュート家長男のミシェル・グラニュートと申します」
「あ、それは御丁寧にどうも…」
緊張して上手く話せない。
「よければお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「あ、名前……えっと…」
どうしたものか。俺の前世の名前は今世の俺には似合わないしな……。
「失礼しました。二人きりになれる場所に行きましょう」
名前が言えないのを緊張しているから、と思ったのか何やら豪華な建物の中へと入っていった。
ㅤ連れられるがままに連れてこられたのは、高級ホテルのVIPルームのような部屋だった。
ㅤイケメンにこんな場所に連れてこられて更に緊張しているんだが…。
「先程は失礼しました」
「あ、いえ……」
「お名前をお聞きしても?」
名前……どうしようか。前世の名前は 『山田悠人』。そこからどうにか名前を……。
「言えない事情でも?」
「あ、いえ…ちょっと考えてます」
「考えて?」
「な、なんでもないです」
悠人…はると、ハルト。ルトでいいや。
「よし…。あ、名前は『ルト』っていいます」
「ルト……とても良い名前ですね。その名前を付けてくださった親を尊敬します」
俺なんだが。
「率直に言わせていただきます」
「はい…」
「私は貴女に一目惚れしてしまいました。それも人生で初めての」
その言葉に、全身が熱くなるのを感じた。
ㅤきっと今顔が赤くなっているのだろう。凄く恥ずかしい。
「勿論、すぐに返事をくれとは言いません。考える時間はいくらでもあります。答えが決まったら、その時返事をしてくださいますか?」
そんな事を言われても…男と付き合う訳には…でも好きになっちゃったし…あぁでも心のどこかにある男の心が拒絶しているっ!
「こ、こち…ら……」
「こちら…?」
「…………ごめんなさい!」
少し考えたが、やっぱり男と付き合うわけにはいかない。体は女でも中身は男、俺はホモじゃないんだ…。
「そう…ですよね。分かってました。
ㅤですが、もし心が変わったら…付き合うチャンスを下さい」
「……はい。その時は…その……お願いします」
としか言うことができなかった。
ㅤ初めての一目惚れ。それがごめんなさいの一言で砕け散った。そんな悲しい事、あっていいはずがない。俺が言うことじゃないけどな。
ㅤ罪悪感をこれ以上増やすわけにはいかない。
「では、自己紹介も終わりましたし城下町の案内しますよ、ルトさん」
「ありがとうございます、ミシェルさん」
俺が礼を言うと、ミシェルは顔を赤くしつつも俺の手を取り、立ち上がった。
ㅤそして部屋から出ようとする時。
「お、おわっ!!」
「わっ!!」
ミシェルがカーペットで足を滑らせ、俺の方へと倒れてきた。
「いたたた…大丈…ぶ…?」
「い、痛い……」
「ああぁぁぁあ!!! ごめんなさい! 本当に申し訳ありません!!」
ミシェルの手が俺の両乳をガッシリと掴んでいた。
ㅤすぐに離れて土下座を決めるミシェル……。
ㅤラッキースケベってこっちかよぉぉぉぉおお!!!
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