女嫌いの俺が女に転生した件。
297話 ルイス、いよいよ悪魔界へ
「ルイス、本当に行くんだな……?」
「はいお父さん。お母さんを救って帰ってきます」
準備が完全に整い、私はパパとクラウディアさん達に別れを告げる。といっても、さっさとママを連れて帰ってくるだけの単純なお仕事。
「それでは、神界に連れてってください」
家にいる1人の神様に頼んで、神界へ送ってもらう。
光に包まれてやってきた神界は、地形がボロボロに崩れている。空には無数の悪魔達が飛んでおり、様々な場所に魔法を放っている。
「っと、ゲートは……あったあった」
遠くにある真っ暗で丸い渦のような場所を見つけ、私は気配を消しながらそこへ向かった。
渦の目の前にやってくると、何匹かの悪魔が出入りしているのが見える。
「……なんだ?」
「っ!」
あっぶない! しっかり気配と姿を消して岩陰に隠れてたのに、1人の悪魔がこっち向いた! 流石悪魔……でも、私だって能力では負けてないんだから。
「どうした?」
「分かんね。まあいいや」
そういいながら、その悪魔はこちらに向けて魔法を放ってきた。
なんとか転移で別の場所に移動して、さっきまで私がいた場所を見る。
……そこは跡形も無く巨大なクレーターが出来ていた。
「やっぱ何かいるなぁ。あぁめんどくせえ……ここらはん全部吹き飛ばすぞ」
「ゲートは壊すなよ」
その悪魔は何やら口に魔力を貯め始めた。
その魔力量は普通の魔法とかいうレベルじゃない。下手したら私も跡形も無く消え去るだろう。
まあ、全ての攻撃を無力化する結界を2秒だけ張れるからそれで耐えよう。
いつくる……?
悪魔が口を下に向けて大きく開いた。
「…………っ!」
来るっ!
その瞬間、鼓膜が破れそうな程の大きな爆音と真っ黒な光が辺り全体を包んだ。
視界に光が戻ってきて目を開けると、周りは完全な更地となっていた。
「やっぱり居たな」
「あっ、見つかった」
周りに何も無くなったせいで、気配を察知しやすくなったのだろう。既に何匹かの悪魔に囲まれている。
「ルシファー様の生贄に……どこ行った?」
「ゲートだ!」
奴らと戦ってる暇なんてない。見つかってしまったのなら無理矢理にでも強行突破!
私はジェットパックのような感じで、身体から大量の魔力を放出して悪魔界を低空飛行する。これはかなりの魔力を消費するから流石の私でも10分が限界だ。
ゲートを潜った先ですぐに見えたのは、巨大な城。そして目の前には城への道が真っ直ぐ続いている。
チラリと後ろを振り返ると、私よりも早い飛行速度。悪魔の翼を使ってこちらを追いかけてきてる。
よし、あれパクろう。
会った生物の能力。つまりは身体を変形させて魚のように水中呼吸する事もできるし、猿のように尻尾を生やして木に捕まることもできる。
勿論、悪魔の翼も背中に生やして一気に加速する事も可能だ。
「速い速い!」
悪魔達から一気に距離を引き離し、背後から飛んでくる魔法を防ぎながら城へ向かう。
嬉しい事に、ほとんどの悪魔は神界に向かっている為ここらへんの悪魔は少ないようだ。
◆◇◆◇◆
「いっ!」
「また指切ったわね。いつになったら成長するのかしら?」
「うぅ……すみません」
人参を切る時に、また指を切ってしまいチヒロさんに怒られてしまった。
ちゃんと気を付けて手を動かしてるんだけど、動かしにくいんだよなぁ。
「……もしかしたら右手で持ってるからかしら」
「……? どういう事です?」
チヒロさんが何かを思い出すように顔を上に向けた。私も顔を上に向けて、何を考えているのか考える。
「そう。クロアさんって包丁は左利きなのよ」
「左利き? そうなんですか?」
試しに包丁を左手で持って、人参を切ってみる。
「あっ、切りやすいです」
「やっぱりね! 私流石よっ!」
チヒロさんがガッツポーズしてる。私も包丁をちゃんと使えるようになって嬉しい……。
「リアンさん! 私ちゃんと包丁使えるようになりました!」
「えっ!? 見せて見せて〜!!」
自慢しようと何かの骨を噛みながら遊んでたリアンさんを呼ぶ。
サクサクと包丁を動かして次々と人参を切っていくと、リアンさんは手を上にあげて喜んだ。
「やった〜!! 凄いですよクロアさん!」
「ふっふ〜ん! 私だってこれくらいできるんです!」
「あっこら、それでもちゃんと手元みないと──」
──ザクッ
調子に乗った罰で、また指を切ってしまった。
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