女嫌いの俺が女に転生した件。
293話 未来のアドバイス
サハル様の部屋にやってきて、何を話すのかとソワソワしていると。
「ここに座ってよ。メイドとしてではなく、クロア個人と話をしたいんだ」
「分かりました……」
サハル様の向かい側のソファに座って、緊張しながら目を見る。
「と、クロアと話す前にサタナキアとも話したいんだった。今話す事はできるかい?」
「え、えぇ一応。……」
サタナを自分の身体に呼んで話をさせる。
「はいはい、サタナだよ」
「……前も思ったけどその喋り方どうにかならない? 気になるんだけど」
「そんな事言われてもねぇ? だって僕はこれがデフォルトだもの」
サハル様はサタナの事が苦手みたいだ。私は楽しくて良いと思うんだけどなぁ。
「まあいいや。早速質問してもいいかな?」
「うんいいよ」
「君は記憶を持ってるんだよね?」
「勿論」
未来の事が知れるのなら気になる。自分の事についてももっと詳しく知りたい。
「じゃあ、未来ではこの国はどうなってるんだい?」
「地下以外は滅んでるね。この国の魔王を継ぐ人がいないから、そのままゆっくりとね」
魔王を継ぐ人がいないと、この国は現状を維持できなくなってしまうらしい。滅ばない為には次の魔王を探さなきゃいけない、と。
「それでだ。ルトに子供を産ませようと思う」
「ふ〜ん、良いんじゃない? 誰と?」
サタナが容赦無く質問して、サハル様は少しだけ固まった。
「ルトの気持ちを優先してあげたい、とは思ってるんだ。勿論相手はミシェル」
やっぱりルト様はミシェルさんが好きだったんだ……! な、なんだか更にドキドキしてきた!
「でも、それには様々な問題があるよね?」
「そうだね」
「サタナキアはそういう経験はあるのかい?」
「っ……」
今度はサタナが固まった。サタナは子供とかって作った事あるのかな。
「そ、その〜……ね。子供を育てる知──」
「無いんだね」
「……うん。でもクロアが子供を作って、一緒に生活してたから知識はあるよ」
私がっ!? 私子供なんていたの!? 記憶がないから分かんないけど……不思議な感覚だなぁ。夫は誰なんだろう。
「色々と教えてくれるかな?」
「分かった。紙とか書く物はあるかな〜?」
そうしてサタナによる子育ての大変さ、必要な物、環境なんかの説明が始まった。
◆◇◆◇◆
「──って感じ。でも一番は経験した事がある人に聞いた方が良いんだけどね」
「礼を言うよ。本当は僕以外の男と子作りさせるのは嫌なんだけどね。いつまでも我が儘言ってられないからねぇ……」
確かにサハル様って子供っぽい雰囲気だもんね。
「でもさぁ、ルトの様子だと自分からガツガツ行けないタイプだよね?」
「よく分かったね。子作りさせる決心を付けさせるのが大変なんだ」
すると、サタナはニヤりと笑った。
「これは僕の出番だね〜」
◆◇◆◇◆
「クロア様、失礼します」
「は〜い」
ルト様が帰ってきて、私の真似をしたサタナが部屋に入る。
ダメだと何度も言ったのに身体を返してくれないんだ。魔力を扱えるようになったら無理矢理返してもらう事ができるって言われたけど、魔力って何なの……。
「一つお伺いしてもよろしいですか?」
「うん? そんなに改まってどうしたの?」
「ミシェルさんと子作りする予定はありますか?」
すると、ルト様の顔が一気に赤くなった。今にも破裂しそうにプルプル震えてる。
「こ、ここ……子作り? 無理無理無理! だって私そもそも生理来てないから!」
「…………え?」
その言葉に、サタナと私は思考停止した。恐らく外で話を聞いているサハル様もそうだろう。
「ど、どういう事ですか?」
「なんだろうね。私にも原因は分からないんだけど、まあ別に良いかなって」
別に良い、で済ませられる話なの? 結構重大な事なんだけど。
「それはサハル様には伝えてるんですか?」
「いや? ミシェルにしか伝えてないよ」
これは流石のサタナも予想外の状況になったようだ。
──ガチャッ
「クロア、話は聞いたよ」
「サ、サハル!? えっ何?」
突然現れたサハル様に、ルト様は動揺が隠しきれていない。
「僕が正常にしてあげる」
「えっ、いや! 私はこのままでっていうか、このままが良いって! 生理辛いんだよね!?」
その後、サハル様の不思議な力で生理が来たルト様は、出てくる血に驚いて発狂していた。
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