女嫌いの俺が女に転生した件。
263話 ほろ酔いの友達
「この状況……そう。下着を付けていない浴衣姿の女の子がほろ酔い状態。今なら色々と楽しい事ができそうじゃないか?」
「あのなぁ……俺はお前と違ってする事はしてるんだ。わざわざこの場でするような男じゃない」
そういうと、イザナギは悔しそうな顔をした。
そしてサタナの方を向いて口を開く。
「サタナちゃ〜ん、美味しい?」
「ん〜? 美味しいよぉ?」
「ほら、これも美味しいよ。あ〜ん」
「え? あ〜む」
ったく、イザナギは女が酔ってるからって好き放題しやがって。
「んん〜美味しい。ありがと〜」
「隣に来て一緒に食べようよ」
「分かった〜」
いつの間にイザナギとサタナはこんなに仲良くなったんだ?
「あれれ〜? サタナってイザナギの事好きなのぉ?」
クロアがすぐに声をかけた。が、クロア本人も酔っ払っているので、何を言い出すか心配だ。
「好き? ……僕を虐めてくれるなら好きになるよ〜」
「ま、マジ?」
イザナギが本気で驚いた顔をしている。
「が、頑張ろうかな……」
「おい」
付き合える可能性があると分かった途端大人しくなるとか、もう少し積極的になれ。
「なぁ相棒……アドバイス……くれね?」
「本気か?」
「本気……だと思う」
まあ、イザナギがそこまでサタナと付き合いたいっていうなら手伝うけども……。
「イザナミは大丈夫なのか?」
「それは分かんねぇけど……まあ何とかなる。俺はこのチャンスを逃したくないんだ」
「分かった。とりあえず数日は積極的に接する事だな」
イザナギとサタナがなぁ……本当に有り得ないカップルだけど、成功するのだろうか。
とりあえず、食事を残さず食べてから考える事にした。
◆◇◆◇◆
お腹いっぱいになったクロアが、俺の元にやってきて膝枕で横になっている。
「えへへ〜」
「く、苦しい……」
俺も腹一杯なのに、腹を圧迫されて苦しい。
それにクロアの浴衣の帯が少し緩んでいて危ない。
「エリフォラ、助けてくれ」
唯一まともなエリフォラに助けを求める。
「ごめんなさい。アリスちゃんが寝てるから動けないです」
くっ……とりあえず従業員を呼ぶか。
「すみませ〜ん!」
すると、しばらくして女性の従業員が部屋にやってきた。呼べばすぐに来てくれるのか。有難い。
「そろそろ寝るので、これお願いします」
「分かりました」
俺とイザナギを見てニコッと微笑んだ後、すぐに料理の器を持って帰っていった。
「よしクロア。寝るから布団を出すぞ」
「寝るの〜? 私ここで寝る」
はぁ……大変だ。
◆◇◆◇◆
なんとか布団を敷いて、寝る場所を確保して横になったのだが。俺の横にはクロアがずっとくっついている。
イザナギの上にも、酔ったサタナが布団になって寝ている。
「おい、イザナギ」
「ん?」
「サタナをちゃんと寝せてやれ」
「いやいや、サタナちゃんはお布団として扱った方が喜ぶんだよ」
イザナギの胸の上で、サタナは笑顔で眠っている。
幸いな事にアリスは眠っているから、小さな子供に大人のこういう姿を見せなくてすんだ。
横にいるクロアも、さっきまで寝たくないとか言っていたが、あっという間に眠りについていた。
「寝るか……」
部屋の電気を消して、早く寝ることにした。
◆◇◆◇◆
寝れない。
クロアの手足が俺の身体に乗ってきて、寝心地が悪いのだ。
「イザナギ……はぁ」
イザナギを含む全員は眠っているというのに、俺だけ全然眠れないでいる。
クロアの手足を退けようとするが。
「ぁん……」
手足に触れる度に、変は声をあげるのだ。そのせいで動かせないでいる。
それにクロアの足が危ない。もう下からだと丸見えじゃないかと思う程足が上がっている。
完全に帯も緩んで、胸元は危険領域と化している。
「リグ……好き…………」
「っ……」
可愛い。しかし、今は寝なくてはならない。
夕食を食べている時、明日はお土産を買いに街に行こうってクロアが言っていた。寝坊する訳にはいかない。
──ふにっ
クロアが手足を完全に身体に巻き付けてきて、いつの間にかめくれて現れた俺の素足に、クロアの柔らかい太ももが挟み込んでくる。
結局、その日は外が明るくなりはじめる頃まで、一睡もする事ができなかった。
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