女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

255話 旅行計画



「折角出してもらった料理だし、まずは食おう」
「あ、これ美味しそう」
「おぉ〜……すげぇな」
「サタナさんとリグラフさんが用意したんですよ」


 四人はまず、もぐもぐと出された料理を食べ始めた。
 あぁ……俺も食べたい……。


「ん? 君も食べる?」
「えっ?」


 魔王の1人であり、バルディリスの姉であるセルフィリアが俺に唐揚げを1つ渡してきた。


「食べていいよ。まあ客人の私がそんな事言うのはおかしいけどね」
「あ、ありがとうございます」


 セルフィリアさんは優しいなぁ……俺もこんなお姉ちゃんが欲しかった。
 唐揚げを1つ食べると、更にお腹が空いてきた。が、ここは我慢だ。歴史的な瞬間を邪魔してはいけない。


「セルフィリアとバルディリス、最近の調子はどうだ?」


 お、ついに話が始まる。


「私の国はここ数十年食糧不足かな……後で魔素だけで育って噂の野菜買って帰るよ」
「俺の方はいつも通りだ。近くの国とも仲良くしている」


 食糧不足は大変そうだな。確か、本によるとセルフィリアの国は毎日雪が降ってるんだっけ? 色々と大変そうだな。


「クラウディアとエリフォラは?」
「俺の国は見ての通り問題ない。が、何年前だかは忘れた悪魔が襲ってきた事はある」


 それを聞いたセルフィリアとバルディリスは目を大きくした。


「ええっ、それやばいじゃん」
「ああ。だがそこのクロアのお陰で封印できた」


 皆の視線が俺に集まる。


「あ……もしかして君神様なのっ!?」


 セルフィリアが俺の右手を見て驚いていた。


「い、一応神の端くれ……ですけど」


 うぅ〜緊張する。地下でアリスと寝てようかな。


「誰かと契約してる?」
「い、いえ……」
「そっかそっか。悪魔退治って凄いね」
「ありがとうございます」


 褒められて素直に嬉しい。


「あ、じゃあさ。今度私の国に来て手伝ってくれない?」
「手伝い……ですか?」


 俺に何かできる事はあるだろうか。


「畑作業なんだけど……旅行感覚で来ていいからさ。ここにいる皆招待するよ」


 ほお、雪国旅行か。
 どうするか迷ってリグを見ると、リグは少し考えてからこう言った。


「良いんじゃないか? 皆で行こう」
「ほんとに!? 助かるよ〜君は?」


 セルフィリアがリグに握手をした。


「クロアの夫のリグリフです」
「夫!? え、神様と結婚!? 凄ぉ……」


 セルフィリアはリアクションが大きいな。若干俺の苦手なタイプに入る。


「じゃあ決まり! 良い旅館貸し切ったりとか準備するから、準備できたらまた来るね」


 他の魔王3人は黙々と料理を食べていた。かんぜんにセルフィリアのペースだ。


◆◇◆◇◆


「おぉ〜すぅぅぅ〜…………今来ても良いタイミング?」
「帰れ」


 イザナギが窓から勢いよく入ってきた。空気を綺麗にする為に開けていたのだが、閉めていた方が正解だったようだ。


「うん? 友人さん?」
「ど、ども……イザナギです」


 美人を前にガチガチになるイザナギ。自分からやって来といてそれは恥ずかしいぞ。


「あ、イザナギって神様? じゃあ君の分も予約しないとね」
「な、何を……?」
「旅行」


 イザナギ、なんか突然巻き込まれたけど大丈夫だよな。


 それから、しばらく何も無い平凡な会話が進んだ。


「よし、それじゃあ私は帰るね」
「じゃあ俺も」


 ……え? これで終わり?


「こっちで準備終わったらまた来るから、待っててね。それじゃ」


 セルフィリアは、そう言い残して転移で帰っていった。


 ……会議とはなんだったんだ……。

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