女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

250話 ラスボス出現



 気づけばオーガ達は残り数匹。しかし、こちら側もかなりの人数いなくなっている。
 冒険者は1人も残っておらず、転移者達は残り2人。それ以外には俺とサタナ。そして精霊のおじさん。


 オーガは約6体。そいつらを5人残ったまま倒せるだろうか。


「2人とも、あのおじさんの近くにいて」
「分かった」
「もしもチャンスができたら援護します」


 流石ここまで残った2人だ。だが。


「いや、とにかく生き残る事を優先に動いてくれ。オーガ達は私とサタナで殺る」
「っ……分かりました」


 残ったオーガ6体は、全員近接の武器を持っている。俺は同時に四方向から攻撃を受けなければ、負けることは無い。


「サタナ。あっちの3体は任せる」
「じゃあどっちが早く倒せるか、スタート!」
「あっ、ズルッ!!」


 サタナがいきなりゲームを開始して、オーガ3体に突っ込んでいった。
 俺も遅れる訳にはいかないと思い、身体を光魔法と100%同化させる。


 味方か減った事で、俺の魔法に巻き込まれる危険性は無くなった。もう好き放題に攻撃可能だ。


 大きな雄叫びをあげながら、2匹のオーガが武器を振り回してきた。巨大な鉈と刀。それらが大気を切りながら俺めがけてやってくる。
 しかし、今の俺の速度はそれを上回る。刃の上で三回回って犬の真似すらできるだろう。


「後1匹」


 瞬きをした瞬間。いや、目が半分閉じようとしてる時には既に、オーガ2体の首は飛んでいた。
 飛んだ首が完全に意識を失う頃には既に、最後の1匹のオーガの背後に移動していた。


「どこを見てるんだ?」


 状況を理解しようとしているオーガが、背後の存在に気づいて振り返る。が、既に遅い。
 俺の刀は既に振り切っている。


 オーガが武器を構えようと身体を動かすと、首がズルりと地面に落下した。


「ふぅ……終わったか」


 サタナを見ると、やっと今3体目を倒したところだった。


「サタナ〜! 悪いが私の勝ちだ!」
「えぇっ!? 僕クロアに勝ってにお願い事聞いてもらおうって思ってたのに!」
「残念だったな!」


 俺とサタナは、武器を収めて残った転移者2人と精霊のおじさんの元に戻る。ダンジョン攻略か。


「サッ、サタナさん後ろ!!」
「っ!?」


 転移者の1人が叫んだ。
 俺が振り返ろうとした時、サタナの身体は前方に勢いよく飛んでいった。


 後ろを向くと、そこには今までの奴らよりも倍の大きさはあるオーガがいた。


「サタナッ! 大丈夫か!!」


 すぐにその場から離れ、吹き飛ばされたサタナの元に転移する。


「かはっ…………大丈夫……このくらいなら自分で治せるから……かっ……」
「ま、待て。私も手伝う」


 口から大量の血を吐き、肩は外れていた。


「大丈夫……時間がかかるから、今はあの2人を──」


 サタナが……消えた。
 いや、このダンジョンのシステムだろう。時が過ぎると死んでしまうような致命傷を受けた者は、近くの野営地に自動的に転移される。


「……くそっ……」


 突然現れたオーガのかしらのせいで、サタナが離脱してしまった。
 ここまで来たからにはなんとしてでも、クリアしなければならない。


「皆、とにかく私の事は気にせずに遠くに離れていてくれ」


 転移者2人に、そうお願いした。


「で、でも! いくらクロアさんがサタナさんより強いからって、サタナさんがたったの一撃でやられたんですよ!」
「大丈夫だ。私は無傷で倒す」


 オーガの頭、ここは敢えてラスボスと言おう。
 ラスボスの武器は拳のみ。鎧は頭から足先まで、全て頑丈に装備している。


 観察していると、ラスボスの右手に魔力が集まり出した。


「魔法も使えるのかっ! 2人ともおじさんを連れて逃げろ!」


 ラスボスの右手に大きな水の塊が現れ、そこからマシンガンのように水滴が俺めがけて飛んできた。
 ただの水かと思うが、その威力はダンジョンの床を破壊する程の威力。もしまともに受ければ、それこそ身体に風穴が開くだろう。


「遠距離からちょこちょこと……正々堂々来いよっ!!」


 その場に伏せて、地面に魔力を流す。


「この一撃で仕留める」


 俺は自分の持つ魔力を最大限使って、ダンジョンの壁に魔力を送った。

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