女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

248話 戦闘経験の少ない騎士



 皆で、ダンジョンの第2階層にやってきた。


「階層を降りていく毎に、少しずつ難しくなってくるからね」


 それは面白いシステムだな。


「まさかボスとかいたりするのか?」
「いるところもあれば、無いところもあるね」


 冗談で聞いたつもりなのだが、本当にボスがいるらしい。意外と楽しくなってきたぞ。


「よし、じゃあこの階層もちゃちゃっと攻略しよう」


◆◇◆◇◆


 1層の時のように、簡単に進めると思っていた。
 しかし、そんなに現実は甘くなく、武器を持った骸骨達に苦戦していた。


 動きは素早い。攻撃は防御される。攻撃してバラバラになっても、すぐに元の姿に戻る。


 まるで不死身のようにキリがないのだ。


「くっ……サタナ! これどうしたらいいんだ!」


 同時に四方向から剣を切りつけられ、なんとか受け止めながらサタナに聞いた。


「骨の重要な部分を砕くといいよ!」


 サタナを見ると、バラバラになった骸骨の背骨や腰を踏み潰して砕いていた。


「皆! 皆も骸骨の骨を砕け!!」


 他の転移者、冒険者達に声をかけるが、かなり苦戦しているようで返事は帰ってこない。


 こいつらを倒すには、一々踏み潰さなきゃならないのか。実に面倒臭い。
 骸骨達、普通に剣の扱いが上手い。それに魔法が聞かない分、とにかくバラバラにして踏み潰すしかないのは俺にとっては厳しかった。


 ま、それでもこの剣を思いっきり叩きつければ、こいつらの骨は簡単に砕けるけどな。


 とりあえず俺は骸骨達の数を減らす為に戦い続けた。


◆◇◆◇◆


「ふぅ……終わった……か?」


 辺りを見渡すと、骸骨達の姿はもうない。


「あれ? 何か人数が減ってないか……?」


 少し前まで居たはずの人達が、居なくなっている事に気づいた。


「多分今の骸骨達に致命傷を受けたんだろうね。今頃野営地で治療を受けてるよ」
「っ……皆は大丈夫か?」


 残っている転移者と冒険者達に声をかける。


「俺達はなんとか大丈夫です。ベリアストロさんに鍛えてもらってますから」
「このくらいの戦闘なら余裕だよね!」


 転移者達は余裕そうだ。流石チートな能力を持った人間達。


 しかし、冒険者達は怪我をしている者や、かなり苦しそうな人が数名いた。


「今から私が治療するから、怪我をしている人は手を挙げてくれ」


 先に進む前に、俺は皆を治療してやった。


◆◇◆◇◆


「ありがてぇ……この恩は忘れねぇぜ、クロア」
「騎士クロア、本当にありがとう」


 良い事をして感謝されるってのは、本当に気持ちが良いな。


「それじゃあ先に進むよ。僕達ならまだまだ進めるはずだから、気を引き締めて行こう」


 それからまた、俺達は迷路のような道を進んでいった。
 骸骨達が更に大人数で現れたり、ゴブリン達は更に賢くなってきた。
 魔法を使うゴブリンが現れて、武装したゴブリン達と戦っていると、遠くから火の玉や氷の槍が物凄い量飛んでくる。


 俺の能力は魔法を防ぐ力はない。その為、背後から飛んでくる魔法に反応することができず。


「あぁっ!?」


 肩に大きな火傷を負った。


 それに気づいたサタナが、俺に気を取られてしまいダメージを受ける。
 流石に同時に色んな場所から攻撃を受けると、神様だろうと厳しい物がある。


「サタナ! 私は自分で治療するから気にするな!」
「わ、分かった! ちょっと本気出すよ!」


 サタナは全身の魔力を高めて、今までよりも素早い動きでゴブリンを切り殺し、骸骨を砕いていった。
 俺も攻撃を避けつつ、火傷を負った肩の治療に集中する。


 俺が苦戦してどうする。戦闘経験が薄いから熟練の冒険者達のように周りを見ながらなんてできない。それでも、俺が劣っていてどうする。


 火傷を完全に治療した後、身体の40%を光魔法と同化させる。周りを感電させないように魔力の結界を張りながら、俺は先に魔法を撃ってくるゴブリン達を仕留める。
 遠くにいた7〜8匹のゴブリン達の背後を取り、全員の頭を切り落とす。


「後は弓を撃ってくる奴らだ」


 矢はかなり細く、魔法のように光って目立つことは無い。冒険者達や転移者達でも、矢を受けて傷つく者がいる。


 矢を放つゴブリンと骸骨達の後ろにやってきて、また同じくゴブリンは頭を切り落とす。
 その後、確実に骸骨達の骨を砕く。


「これで少しは楽になったか……今度は治療だ」


 傷を負いながら戦う者達の元に助けに行き、すぐに回復してやらないと人数が更に減る。
 する事が多すぎて大変だ。

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