女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

237話 美味しい朝食



「よろしくな、アリス」
「よろしくね〜」
「アリスさん、よろしくお願いします」


 アリスが3人に挨拶を受けると、ビックリしていた。大勢は苦手か……?


「よ、よろしくお願いします」


 コクッコクッと頭を下げながら、緊張した挨拶を返した。実に可愛い。もう一人の子供ができたみたいだ。……俺とリグの子供のルイスは元気にしてるだろうか。


「朝から冷えるだろうし、暖かいコーンスープを作ったぞ」


 アリスがコーンスープとパンを見ると、目を輝かせていた。
 アリスを俺の膝の上に座らせて、頂きますの用意。


「お父さんとお母さんは?」
「まだ寝てる。無理に起こすのは体に良くない」
「あぁそっか。じゃあ頂きます」
「「頂きます」」


 皆で手を合わせて、暖かい朝食が始まる。


「ほら、こうやってパンを小さくちぎって中に入れると味が染み込んで美味しいんだよ」
「食べる」


 スプーンを持ったアリスが、スープに浸されたパンを掬って口に運ぶ。


「……おいひい!」
「うん。どんどん食べていいからな」


 俺も自分の分を食べながら、皆の食べる様子を眺めていた。


 ん〜っ……パンを口の中で潰すと、美味しいコーンのスープが口全体に広がって凄く美味しい。


◆◇◆◇◆


「ご馳走さま」
「わ、私もご馳走さま」


 俺が食べ終わると、アリスもすぐに食べ終えて手を合わせた。


「相変わらず食べるの早いね〜。僕の分も食べる?」


 サタナがスープとパンをアリスに渡すと、ほんの少し食べたそうにしていたが、チラリと俺の方を向いてから首を振った。


「大丈夫です。ありがとうございます」
「食べたいなら食べてもいいんだぞ? 私はどこにも行かないし」


 すると、少し間が出来た後にゆっくりとスープを手に取った。


「じゃあ……頂きます」


 少し恥ずかしそうに、サタナが渡したスープを飲み始めた。それをサタナは嬉しそうに眺めている。
 こういうのって、ペットが餌を食べてくれた時と同じ感覚なんだろうなぁ……。


「サタナはもういいのか? おかわりあるぞ」


 リグがそういうと、サタナは自分のお腹を抑えて首を振った。


「もうお腹いっぱい。それにアリスちゃんと仲良くなりたいしね〜」


 なるほど、それが狙いか。しかしアリスは自分の事を話しているとは知らずに、夢中になってスープを飲んでいた。


 その時、家のインターホンが押された。


「あっ、僕が行ってくるよ」


 サタナがすぐに玄関に向かった。


「珍しいね、人が来るなんて」
「そうだな……誰だ?」
「クラウディア達だと思いますよ。そんなにここに来る人いませんし」


 そんな話をしていると、本当にクラウディアとベリアストロがやってきた。
 エリフォラの予想は的中だ。


「久しぶりだな。元気にしてたか?」
「あら? クロアさん、もしかして二人目? 」


 クラウディアの第一声は分かる。で、なんでベリアストロは最初に俺に声をかける。そしてなぜ二人目という考えになる。


「えぇっと、久しぶり。クラウディアとベリアストロ」
「クロアはもう帰ってきたのか」
「あ、あぁ〜うん。ちょっとべナードがね……」
「……? 何かあったのか。後で話を聞く。今日は暇だったから来たんだが、邪魔してもいいか?」


 リグ見ると目が合った。全部俺が答えろってか。


「ん〜まあ、今日は皆特に予定ないし大丈夫だと思う。大した持て成しはできないけど、いいか?」
「持て成しなんて必要ない。ありがとう」
「クロアさん、後で一緒にお話しましょうね。2人きりで」


 ベリアストロの、美しさとイヤらしい目で見てくるのはいつも変わらない。さすが魔女。


「アリス、この2人は私がお世話になった人。2人とも優しいから大丈夫だよ」
「よろしくお願いします」
「あらあら……賢い娘ね」
「だから私とリグの子供ではないからな?」


 ふとリグを見ると、ほんの少し顔を下に向けて何かを考えていた。イヤらしいことを考えてるっていうのは、長年の付き合いだから分かる。


「リグ……本気?」
「んっいや! な、何も考えてないぞ!」


 まあいいや。俺はクラウディアに話すことが色々あるからな。


 しばらく皆が朝食を食べ終わるのを待つことにした。

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