女嫌いの俺が女に転生した件。
234話 テンションの差
リグ達が帰ってきたのは、外が赤くなり始めた頃くらい。沢山の硬貨を持ってきて、高めのテンションだった。
リビングでミリスと一緒にぼ〜っとしていた俺の前に、お金の入った袋が置かれた。
「クロアが帰ってきてくれたお陰で絶好調だ」
「私は気絶することが無くなりました。きっとクロアさんのお陰です!」
エリフォラのは違うけど……皆良い戦績だったらしい。
「おかえり〜、楽しそうだね」
「他の冒険者達と一緒に行くと楽しいんだ。な、サタナ」
「ん? まあね。僕がいるから一緒に行くっていう冒険者もいるし、楽しいよ」
俺もアリスが生き返ったら……皆と一緒にダンジョンに行きたいな。
目の前の金貨を見つめていると、サタナが後ろから両肩に触れてきた。
「まだ元気ないの?」
どうやら暇そうにしていた俺の様子が、元気の無いように見えたらしい。
「ん〜ん、そんな事ないよ。大丈夫」
「本当に?」
「大丈夫だってば」
俺が笑いながらそう答えると、リグが笑った。
「サタナが一番クロアの心配してたんだ。それなのにいつもの調子で魔物倒していくんだから凄いよな
「別に心配はしてない……さっ、夕食にしよ! 僕お腹空いたよ」
サタナの分かりやすい照れ隠しで、夕食になった。
◆◇◆◇◆
「ご馳走さま〜先に寝るね」
「早いな」
夕食を食べてすぐに寝室に向かう俺。アリスとの生活を思い出して、ほぼ寝たきりの生活になってきているのだろうか。
寝室で布団の中に潜ると、焦っているような不安がやってきた。
いつアリスは生き返るのだろうか。ソワソワして落ち着かない。
「なんか最近元気でないなぁ……」
「やっぱり元気無いじゃん」
俺のぼそっとした呟きに答える声がして、布団の中から頭を出す。
「あ、サタナ。いつの間に……」
「心配で僕もすぐに食べて来たよ」
サタナに迷惑をかけてしまった。そんなに深刻な事じゃないし、時間が解決する問題だ。
「サタナは気にしなくていいよ。ただ、ちょっと皆のテンションについていけないだけ」
「まあクロアは元々明るい性格じゃないもんね。無理に合わせようとしなくていいよ」
アリスが来れば俺のテンションも少しは元に戻るだろう。
サタナが横になって俺に抱きついた。こんなに積極的にコミュニケーションを取るサタナを見るのは初めてだ。
「ほら、落ち着くでしょ」
「……あ、本当だ」
身体に不思議な魔力を流されて、暖かい気持ちになった。新しい魔法だろうか。
「この魔法、他の冒険者とダンジョンに行く時に不安を消してあげるために作ったんだ」
「サタナは優しいんだな」
「邪神なのにね」
その後、俺はサタナと一緒に話しながら眠った。心が暖かくなると、自然と眠くなってくる。
◆◇◆◇◆
俺はまた、イザナミとイザナギの場所に来ていた。今は2人に会うことが一番重要だ。
「もうすぐアリスが生き返る」
そう、これが聞きたかった!!
「いつだ!? すぐに会いたい!」
「明日の朝までには生き返るから、クロアちゃんが起きたらお兄ちゃんが連れていくよ」
明日の朝か。じゃあ早起きしないとな。
「話はそれだけか?」
「焦りすぎだよ〜。もっと話そうよ」
いや、俺は早く明日の朝を迎えたい。とっとと眠って朝になってほしい。
「そうだクロア、明日俺がアリスを連れてくるからついでに家に上げてもらえるか?」
「別にいいけど……なんで?」
何故わざわざそれを言うのだろうか。
「クロアをいつか嫁にするなら、仲良くならないとな」
「今の夫のリグと?」
「ああ」
まあ……リグも面白半分で仲良くしてくれるだろう。イザナギがいくら努力したところで、俺の嫁にはなれない。
そこで睨んでる妹とイチャイチャしてるといい。
「ん……? そういえば、イザナミは処女なのか?」
「なっ……なな、何を、何を!?」
イザナギと同じく妹もか、なんとなく聞いてみて良かった。
「じゃあイザナミはお兄ちゃん以外に好きな人とかいる?」
「そりゃもう……クロアちゃんだよ」
やっぱりそうなるのか。
「男の神様は考えないのか? じゃないと子孫作れないぞ」
「だったら……クロアちゃんの近くにいるサタナキアで妥協するけど」
そういやサタナ中身は男だったな。イザナミとサタナのコンビ……うん、それは良くない。
「もっと真剣に男性と付き合う事考えた方がいいよ」
「おっ、人妻の余裕」
「私はお兄ちゃんがいいも〜ん。お兄ちゃん子作りしよっ?」
このままだと、イザナミはイザナギをレイプしそうだ。いや、する。確実にする。
「イザナギ、厄介な妹を持ったな」
「サタナで妥協って線は、俺もあるのか?」
「いいんじゃない? サタナがOKするかは不明だけど」
イザナギとサタナの組み合わせはちょっと見てみたい気もある。明日2人があってどうなるか、だな。
「もう寝ていい?」
「う〜……まだ話したいけど、いいよ」
「明日待ってろよ!」
「ああ、待ってる」
明日の朝を楽しみに待って、俺は眠りについた。
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