女嫌いの俺が女に転生した件。
220話 こんくらいの愛
「知らない間に色んな友人を作ってたんだな」
前世のクロアならこんな事は有り得なかった。そもそもクロアと仲良くなれる存在が俺しかいなかった。だからいつもホモカップルとか呼ばれてたっけ。
「クロア、どのくらいリグリフの事好きなの?」
アリスが不意に気になる質問を投げかけた。俺も気になる。
「な、クロア。どのくらい好きなんだ?」
「お前まで……どのくらいって言われると……うぅ〜ん……」
ほんの少し頬を赤くして、必死に俺への愛の表現方法を考えている。
「えっと……お布団……くらい?」
「お布団……?」
これまた予想していた表現とは全く違う表現。俺は布団なのか。
「あっ、分かりにくいよな。お布団ってのは寝る時なんかほぼ必ず使うだろ?」
「ん〜まあ相当暑くない限りはな」
「身体を温めたり、安心したりする存在でもある。他にも布団の中に潜れば身体は包まれる。守ってくれるでしょ?」
なんか深い意味になってきたな。
「暖かくて安心して、私を守ってくれる。私の人生には欠かせないね。お布団」
「俺じゃないんかい」
「あ、も、勿論お布団よりリグが欠かせない」
なるほどね。俺はお布団か……リグのお布団……なんかお荷物みたいに聞こえてきた。
「大人っぽい話……難しい」
お布団の話はアリスには分かりづらかったようだ。
「アリスちゃんはお布団好き?」
「寝るの好き」
「寝る時ってお布団があると気持ち良いでしょ?」
「うん」
「お布団がないと落ち着かないでしょ?」
「落ち着かない」
「そのくらい大事って事だよ」
アリスに分かりやすく伝えると、少し頭を傾けた後。
「リグリフはクロアがいると気持ち良いの?」
「ちょ〜っと違うかなぁ……ちょっとトイレ言ってくる」
「行ってら〜」
何か下の話になりそうだったから、一旦トイレに行って話を切り替えることにした。
◆◇◆◇◆
「ただいま」
「手洗った?」
「洗ったよ」
やっぱり、いつ見てもクロアは可愛いな。女なのに男っぽくて、でもたまに見せる女の弱々しいところが可愛さを引き立てる。
「あっそうだ。地下に筋トレの施設をイザナミに用意してもらったんだ」
「筋トレの……なんかそんな事してもらえるくらい神様と仲良くなったんだな」
「ま、神様同士の付き合いだしね。リグも筋トレしてみる?」
筋トレか〜……最近筋トレほとんどしてないしな。ちょっと難しい魔物を狩る時に足でまといにならないよう、少しは鍛えてみるか。
「んじゃ、後でちょっとだけ」
「りょうか〜い」
クロアがコップを両手で持って、ゆっくり口元に近づける。そして口の中に流れていくお茶。それによって膨らむ頬。
「やっぱり可愛いな」
「んぐっ……の、飲んでる時にビックリさせないでくれ」
そうやって怒っている顔も可愛い。もう可愛いと何でもOKになりそうだ。
「多分、クロアになら殺されても笑顔で死ねるなぁ」
「私が殺す訳ないだろ」
「そうだな」
いつか2人きりになれる時が来たら、少しハードなプレイも楽しみたいところだ。
その後もしばらく話して、随分と時間が経過した。好きな人と話していると時間があっという間に過ぎ去っていく。
◆◇◆◇◆
「もうすぐ夕方だけど、リグはいつまでこっちに居れるんだ?」
できればこのままずっとリグと一緒に居たいんだけど、それだと訓練じゃなくなるからな。
「このままずっと居たいところだけど、エリフォラとサタナがクロアの話を聞きたがっていたからな。帰って聞かせてやらないと……まあ二人が寝る時なんかに帰るよ」
意外と遅くまで一緒に居られるんだな。
「それだと私はいつまで経っても寝ないぞ?」
寝たらしばらくリグと会えないって分かってるんなら、俺は最後の時間をギリギリまで使いたい。
「それでいいなら良いんじゃないか? 俺が布団になって温めてやるよ」
リグも言うようになったな。
「筋トレは?」
「今日はもういいや」
さて次はいつになるんだか。
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