女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

209話 イザナギの目標



「やっと話終わったか。あいつの話長いだろ?」
「ん? そうでもないけど?」


 今度はイザナギだ。今は能力が封じられている為、襲われる心配はない。


「それで、嫁になってくれるか?」


 まだ言うか……。


「無理。私には既に夫がいるから」
「じゃあ今日から俺はクロアを落とす」


 イザナギにできるだろうかね。


「覚悟しろ」


 俺よりも低い身長のイザナギが、俺の顎を触ってきた。顎クイのつもりだろうか。


「顎クイはこうするもんだよ」


 イザナギにお手本の顎クイをしてみせる。といっても顎クイなんてした事ないんだけど、身長差があるだけで印象も違うだろう。


「おっ……おうふ……」
「イザナギとツクヨミのせいで苦労する事になったんだし、イザナギの口から謝ってもらおうか」
「ご、ごめんなさい」


 あっ、ちょっと押されると負けちゃうタイプだ。妹には強がって見せてるけど、普通の女性相手には弱い典型的な童貞。
 典型的な童貞とか知らないけどな。


「なあ、よかったら俺も一緒の家に住んでいいか?」
「無理だ。私とアリスでいっぱいだし、妹が嫉妬するよ」
「嫉妬か……まあそれは面倒臭いな。分かった。じゃあ遊びにいくのは?」


 遊びに……何をしに来るのかも問題だが。


「迷惑かけないなら問題ない」
「よし、絶対に惚れさせてやる」


 それが迷惑って言うんだけど……まあいいか。適当に流せば問題ない。


◆◇◆◇◆


 兄妹の話も終わり、イザナギとイザナミに見送られて目を覚ました。


「筋肉痛治ってないか……休もう」


 未だに訓練後の筋肉痛が治っていないので、寝室でアリスと寝ることにした。あの兄妹のせいで疲れも取れてないしな。


 寝室に行くと、アリスは起きていた。


「おかえり」
「おか……ただいま」


 そういや訓練終わってから、ただいまって言ってなかったな。


「遅くなってごめんな」
「うん。一緒に寝よう」


 アリスは優しいなぁ……もう妹にしたい。いや、一層の事お姉ちゃんだな。


 ベッドに横になると、アリスがぎゅっと抱きついてきた。


「訓練、どう?」
「ん〜……しばらく訓練は休もうかなって思ってるんだ。明日から一緒にのんびりしような」
「……大丈夫なの?」
「1人で訓練してても進展ないんだし、それなら休んでた方が良いだろ?」


 そういうと、アリスは少しだけ笑顔になって顔を俺の胸に押し付けた。


「明日はずっと一緒」
「ああ、でも食事はちゃんと下で食べるからな」


 いつもベッド横のテーブルに置いてるだかだからな。それよりは一緒にリビングで食べる方が美味しい。


「分かった」
「よし」


 頭を撫でると嬉しそうな顔をする。母性本能がくすぐられまくっている。


「アリスは可愛いなぁっ!!」


 ぎゅっと抱きしめると、アリスもぎゅっと抱き締め返してきた。
 可愛い物に抱きついて守って上げたくなる感情。もうアリスにはそれが全開だ。


「このまま寝るか」
「うん」


 明日は家でゴロゴロしよう。

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