女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

202話 探索、セーブ&ロード



「おはよう。今日も行ってくるよ」
「頑張って」


 アリスに見送られながら、俺は再び向かいの山へ向かった。
 キマイラがいる洞窟探し。昨日は見つける事ができずに帰ってきたが、今日こそは見つけ出してやろう。


 ハートマークを思い浮かべて、昨日帰った場所に転移する。


「……よし、完璧だな」


 無事に山の中に到着したので、描いたハートを消した。
 この転移方法はかなり便利だな。色んな記号を場所毎に書いて手軽に転移ができる。まるでゲームの中間地点みたいな感じだ。


 そういえば、前世でリグと最後に遊んだゲームにも中間地点沢山あったな。あのゲームよりはこの世界はヌルゲーだ。探索を続けよう。


 気合いを入れて、未知な山の中の探索を再開した。


◆◇◆◇◆


「おっ、あったあった」


 やっと今日最初の洞窟を発見。
 昨日確認したところ、一応生き物はいるみたいだから魔物もいるかもしれない。警戒する意味はある。


 剣を電気で発光させたまま構えることにより、明かりにもなるし武器の強化にもなる。
 そのまま暗い洞窟の中をゆっくりと進んでいく。


──バサササッ
「うひゃあっ!?」


 突然目の前から大量のコウモリが飛んできて、ついみっともない声を上げてしまった。
 こういうのって周りに誰もいないのに恥ずかしくなるんだよな。


「ふ、ふぅ〜……行き止まりか」


 結局この洞窟も行き止まり。ただ驚かされただけだった。


 また洞窟の外に出て洞窟を探さなければならない。こんなに大変な作業を、俺はかなりの時間続けていった。


◆◇◆◇◆


 今日のかなりの時間探索したが、キマイラがいる様子はない。そうやって、ほんの少し諦めかけていた頃だった。


 たまたま見つけた洞窟の入口に、明らかに人工的に作られた木の枝のオブジェがあった。
 オブジェを作る程度には知能のある魔物、もしくは魔獣。キマイラの可能性はゼロではない。


「これは……ついに発見か?」


 念の為、オブジェの横に星マークを描いてセーブする。
 セーブ。この言い方いいよな。次来る時はロードって感じで、ゲーム感覚で探索できるし。


 確実に中に何かが潜んでいる事は確かだ。剣を構えて、警戒しながらゆっくりと洞窟の中に入っていった。


 中はジメジメしていて、少しだけ獣の臭いがする。壁には大きな爪の引っ掻き傷。
 さて……キマイラはいるのか。それとも別の場所に移動しているのだろうか。


「どこからでもかか──」
──バキッ
「えっ?」


 突然足元に大きな穴が空いて、俺はそのまま落下してしまった。


「いたた……痛くないけど」


 上を見るとそれなりに深い穴のようだ。木の板や土、石で穴を隠すように作られた落とし穴か。
 落下した場所の横にも、大きな穴がある。ここに行けば良いのか。


「なんかチクチク……うわっ!」


 地面や手足に黒い大量のヒルがくっついていた。服の中にまでヒルが入っていて、血を吸われている。


「うぇっ……」


 すぐに電気を放出してヒルを落とす。


「うわぁ……血が止まらない……」


 やはりヒルは大嫌いだ。気持ち悪いし、血は吸われるし。というより、虫全般が嫌いだな。


 なんとか魔法で止血する事に成功したが、服は血がかなり付いてしまった。帰ったら洗わないといけないな。


──フッ……フッ……フゴ……


 ……ん?
 どこからか豚のような声が聞こえる。それに変な匂いが近づいて……。


 すぐ近くの横穴から、大きなオークが顔を見せた。
 どうやら血の匂いに反応してやってきたようだ。


 ここはオークの洞窟だったか……やはり無駄足だった。


「女の敵め」


 とりあえずオークの心臓を潰して、洞窟の外に転移する。


 また到着探しの始まりだ……。

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