女嫌いの俺が女に転生した件。
193話 お宝探し
しばらく家でゴロゴロしていると、家にべナードが訪ねてきた。
「色々と面倒な事になってるみたいだな」
「なんで地下にアリスが封印されてたのさ」
とりあえずアリスについて質問した。
「それは分からない。地下は魔力感知が届かないっぽいからな。たまたま見つけない限りはアリスは見つからなかっただろうよ」
ほぉ〜魔力感知が届かない、か。まあこれはべナードの弱点には入らないな。
「で、その目はどうした」
「いやぁ〜じつはセシルって神様がスキルをくれてね。ついでに首輪もちぎっていったよ」
そういうと、べナードは興味ありげに近づいてきた。
「どういうスキルだ?」
「【女神の魔眼】 っていうスキルなんだけど、イマイチ使い方が分からないんだよな」
べナードなら何か知っているだろうか。
「そうか。確か二階の書庫に、様々なスキルの条件が書かれた本があったはずだ。それを読むといい」
「えぇ〜沢山本がある中から見つけろって……? 一緒に探してくれるか?」
命令に聞いてくれるだろうか。
「いいだろう……と言いたいところだが、悪いな。今日はただ話に来ただけだ」
くっ……一瞬驚いたじゃねぇか。
「それで話って?」
「サタナとリグリフが喧嘩している」
「……はぁ、そう。それで仲直りは?」
「まだしていないな。リグリフはずっとイライラしているし、サタナは意地張って嫌がらせを続けている」
ったく、あいつら俺がいないと本当にダメダメだな。
少しため息を吐いて、べナードに話を聞く。
「それをわざわざ話に来たという事は、解決策でも欲しいのか?」
「そうだ」
仕方ないなぁ……べナードも万能じゃないんだな。
「まあ結局、アイツらは私がいないと駄目な訳だ。つまり私が会いに行かないと喧嘩は止まらない」
「そうか。それなら仕方ない、俺が1人で解決する」
くっそぉ〜……ガードが硬いな。
「解決策は……リグは単なる欲求不満。サタナはいつも通りってところだ」
「それを早く言え。じゃあな」
な、なんだあいつ。偉そうな捨て台詞吐いて転移で帰りやがった。
「クロア、あいつ破壊してもいいよ」
「それができるなら是非お願いしたいところだけど、アリスの命優先だからやめた方が良い」
「そっ、おやすみ」
アリスは暇そうに欠伸をしながら寝室に向かって行った。
俺も書庫に行ってスキルについて調べるか。自力で本を探し出し、そして読む。本好きにとって最高の時間だな。
「宝探しの始まりだ」
書庫に入り、財宝の山の中から一つの本を探し始めた。
◆◇◆◇◆
「ない……べナードの言ってた事本当なんだろうな……」
沢山ある本棚の中から一つ一つ確認して見ているのだが、それらしき本が全く見つからない。
「はぁ……疲れた……」
本の山の上に横になり、天井を見上げる。
こうして諦めかけた時に本を見つけるってのが鉄板なのだが、天井にあったのは屋根裏に続く入り口だった。
「屋根裏にあるのか……」
俺は山になった本を積み上げて、屋根裏に入る入り口をパカッと開いた。
中は予想以上に綺麗で、魔道具によって明かりも確保されている。そして一つの宝箱があった。
ギシギシと軋む屋根裏を進んで、宝箱の前に着いた。
「お宝……」
屋根裏に隠されたお宝だ。どんな物が入っているのだろうか。
ゆっくりと大きな蓋を開ける。
「ご〜ま〜だ〜れ〜」
中から出てきたのは2冊の本と、眼鏡。
本の表紙には 『スキルの条件』 『信者と信仰心』 と書かれている。完璧に俺専用に用意されたとしか思えない程必要な本だった。
眼鏡は……必要ない。宝箱の中に戻して、2冊の本だけを手に取り宝箱を閉じる。
──バキッ
「あっ」
その時、バキッという音と同時に視界が急降下した。
ボフンと柔らかい場所に落下し、なんとか無事に着地したのだが。
「どこだここ……」
何か柔らかい肌色が両方から顔を包み、口元にはほんの少しのアンモニア臭……。
勢いよく身体を起こし、俺はお尻の下にいる存在に目をやる。
「アリス、ごめん」
「……屋根裏からお尻が落ちてきた……」
不機嫌そうな顔で俺の尻を押して、もう1度眠りについたアリスであった。
ま、まぁ……お互い怪我が無くて良かったな!
天井に穴が空いたけど……それは今度修理するとして、俺は近くの椅子に座って本を読むことにした。
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