女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

173話 さて、訓練内容は

 カーテンから差し込む光に照らされながら、ベッドの上で幸せそうに見つめあっているリグとクロア。
 その間には、いままでよりも固い信頼と愛が出来ていた。


 離婚という危機に晒された事により、お互いの必要性を改めて考えた。クラウディアの計画通りだったという事だ。
 今度クラウディアにお礼を言わないとな。


「リグ……これからはリグが満足できるようなプレイに、なんでも付き合うからな」
「なんでもって言ったな……じゃあ今度は可愛いお姉さんを演じてくれ」
「…………変態かよ」
「はっはっは……クロアと結婚できてるってだけで満足だよ」


 本当に……男ってのはバカだな。バカすぎて付き合う妻の身にもなってほしい。


「リグはもう……私以外を見るな」
「ああ。寂しい思いは絶対にさせない」


 そうして俺達は、朝から眠りについた。


ーーーーー


ーーーーー


「おい、コラ起きろ」
「えっ? エリフォ……じゃなくべナード?」
「訓練だ。行くぞ」


 寝ている俺の元にべナードがやってきた。


「ま、待ってまだ横でリグが寝てる」
「じゃあ行ってきますの挨拶と服を着て下に降りてこい」
「ああ、待っててくれ」


 べナードが下に降りたのを確認して、リグを起こす。


「リグ」
「……ん、あぁ……良かった……」
「何か夢でも見た?」
「ああ。クロアが自殺した夢を……な」
「縁起でもない……訓練に行ってくるからね」
「じゃあキス」


 仕方ねぇな。


 俺は軽く唇同士を当てて、顔を離した。


「帰ってきたら続きしような」
「っ……ああ」


 そして俺はソファの上に投げ捨てられた服を着て、下に降りる。


「準備できたか。今日はちょっと厳しい訓練になるからな」
「さっさと行ってさっさと終わらせよう。速く行こう」
「そう急ぐな」


 べナードと一緒にクラウディアの元に転移して、つい昨日の事を思い出してしまう。
 クラウディアとのディープキス。今はそんなに恋愛的には見ていないが、その事実があるせいでドキッとしてしまう。


「今日は来たようだな」


 クラウディアがやってきた。


「クロア、昨日は上手くいったようだな」
「ああ、ありがとう。クラウディアのお陰だよ」


 もしクラウディアに相談していなかったら、今頃リグとの関係は更に悪化していただろう。本当に感謝している。


「今日の訓練はちょっと大変かもな」


 べナードがニヤニヤしながら、俺とクラウディアを死神界へと転移させた。
 やってきたのは広くて何も無い高野。生き物も何も見当たらず、建物すらもない。こんなところで何をするのだろうか。


 何やら一つの瓶を取り出した。中に白い煙の様なものが入っている。


「今日の訓練内容は、自分の分身と戦ってもらう」


 そういうと瓶の蓋を開けて、俺の方に向けてきた。


「んっ!? ゲホッゲホッ!」


 煙が俺の口や鼻から体内に入ってきて、むせてしまう


「安心しろ。その煙は吸い込んだ人物の能力全てコピーして実体化する物だ。しばらくすると尻から出てくるから大丈夫だ」
「尻から!?」


──ぷぅ


 少し力むと、お尻からぷぅとオナラが……。


「い、いいいいいい今の私じゃないから!! べ、べナード何オナラし、してるのかな〜?」
「今のはクロアだ。尻から煙が出てきただろ」


 後ろを見ると、白い煙がお尻から……。


「うわぁぁぁぁぁあああ!! 恥ずかしいっ! 見ないでくれっっ!!」


 あまりの恥ずかしさにその場でしゃがんで顔を隠すと。


──ぷふぅ、ぷっ


「ああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!! 止まってぇぇぇぇぇええええっ!!!」


 クラウディアやエリフォラにオナラ見られてる、と考えて余計に恥ずかしくなってしまい、顔が熱くなる。
 嫌な汗とオナラが止まらない。


──ぷっ、ぷぅ〜〜


 自殺したい。

「女嫌いの俺が女に転生した件。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く