女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

163話 大量虐殺



 リグの先導によって鉱山の近くまでやってきたが、オーガらしき魔物は見当たらない。
 山を少し登ればいるだろうか。


「多分、採掘場にでもオーガが住み着いたんだろうな」


 それは厄介だな。ってことは、かなり商業的にも影響が出ている訳か。


「よ〜し。登山開始」
「言っとくけど、オーガって一般冒険者からしたら手も足も出せない鬼だからな?」
「神達が集まってるんだし、リグは心配いらない。それに私は昨日の訓練で強くなったからな!」


 実践的に魔法を使えば予習にもなる。登山というより遠足だな。
 ちょっと昨日の訓練を思い出して、ゆっくり全身を舐め回すように魔力を動かしてみたが、しっかりと動いてくれる。


 自分で命令はしてないが、魔力が勝手に意思を感じ取って動いてくれるのだ。まるで本当に意思を持ったみたいだな。


ーーーーー


ーーーーー


 登山開始から少し時間が経って、採掘場らしき広い場所に到着した。
 フェンスで囲われた穴の中に、オーガ達が何匹か見えた。横穴もあって、そこにもオーガの気配を感じる。


「もう完全にオーガ達の住処になってるな」
「リグ戦ってみる?」
「俺は無理だ……死んでもいいなら突撃するぞ」


 まあ、この中での主戦力は俺とサタナくらいだし、2人で戦うさ。


「じゃあサタナ、中に入ったら……この半分から左は私が。右側をサタナが倒してくれ」
「りょうか〜い」
「必ず角は持ってくるんだぞ。余裕があれば横穴の中も見ていこう」


 依頼達成ついでに、余分な角を持っていけば更にギルドから金が貰えるからな。


「横穴は2人で一緒に行った方がいいよ〜? 暗くて危ないし、それにもし何かあったら助けれないよ」
「サタナがそこまで言うなら分かった。じゃあ行こう」


 俺とサタナは、オーガに気づかれないように穴の近くまでやってきた。


「よし。行こう」


 俺と合図と共に穴の中に飛び込む。俺は全身の100%を雷に変えて、いつものように風魔法で音を消し、オーガ達に気づかれる前に一瞬で首を切断していく。
 丸い穴の左半分にいたオーガ4体は一瞬で死体となり、右側のオーガ3体はサタナがスパスパと首を切り落としていっている。


 いくら転移が使えるとはいえ、俺よりは遅いな。


「はい。私の勝ち〜!」
「別に勝負なんてしてないでしょ〜」


 さてと、後は横穴だ。
 穴は2つ。どちらともオーガ達の気配はするが、どちらの穴の方が数が多いのか。


「暗くてよく分からないね〜」
「どっちに行く?」
「じゃああっち」


 サタナが適当に指さした穴の方に行くことに決めた。どちらとも大して変わらないのだが、二つあればどっちか迷うのは当然だ。


 2人で入れるほど広い穴に入ると、鼻が痛くなるほどの匂いがした。


「ほっ」


 適当なイメージで雷の塊。光の玉を前方に飛ばして周囲を確認する。


「ほぇ〜その魔法凄いね」
「訓練の成果だな」


 たった1日の訓練でこれだけ世界が変わるとはな。流石、クラウディアとべナードに教えて貰っただけある。


 光の玉が進んでいくと、段々穴の奥が見えてきた。


──バチッ
「ガウゥッ!」


 光の玉に近づいたオーガが感電して死んだようだ。


「サタナ、ちょっと私の後ろに隠れてて」
「は〜い」


 今度は壁に触れても跳ね返る光の玉を6個ほど別方向に飛ばした。
 周囲の確認の為でもあり、ついでにオーガを倒す為でもある。


 何度もバチバチと感電する音が聞こえて、焦げくさい肉の匂いがしてきた。光の玉が穴の中を飛び回るその光景は、美しくも怖い光景だ。


「オーガ達にとったら地獄だな〜近づいたら死ぬんだし」
「逃げた先には僕達がいて殺される。残酷だね〜」


 段々と感電するおとが無くなってきたので、光の玉を消して炎の玉を空中に浮かべる。
 それを複数、穴の中全体を照らすと、穴の中にはオーガの死体しか残っていなかった、


「よし、角回収したら一旦外に出てリグに渡しに行こう」
「僕って来る必要あった?」
「一人で角回収は時間かかるよ」


 まあほとんど俺がオーガ殺したし、サタナがそういうのも無理はないか。


 角を回収しながら、俺は隣の穴にいるオーガの異様な気配を感じていた。もしかすると、隣の穴にこのオーガ達の中で最も強いボスがいるのだろう。

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