女嫌いの俺が女に転生した件。
156話 ベリアストロは溜まっている
「そろそろ帰るか」
リグが、俺が倒したオークの牙を取りながらそういった。
「じゃあリョウタはどうする? 家に泊める……ってなると、お金かかるし」
「ベリアストロに預けて慣れさせれば良いだろう。戦闘もな」
ベリアストロに預ける、か。まあベリアストロなら可愛い男も好きそうだな。
「リョウタ、今から帰るんだけど知り合いに預けるよ? 帰る家ないだろ?」
「あ、は、はい……てっきりクロアさん達の家に泊めてもらえるのかと思ってました」
凄く残念そうな顔をするもんだから、罪悪感が襲ってきた。
リョウタもいきなりこの世界に飛ばされた訳で、いきなり魔物に襲われたんだ。何も分からないこの世界で、初めて出会った俺達と別れて知らない人の家に泊められる。……うん、そう考えるとリョウタの人生大変だな。
「まあ……大丈夫。その人優しいから」
「そうですか……分かりました。ワガママなんて言ってられませんよね。ありがとうございます」
リョウタが俺に対して深く頭を下げると、サタナが横にやってきた。
「君もしかしてクロアに惚れちゃったぁ?」
「そっ、そそそ、そんなことなっ、違いますっ!!」
サタナは何を聞いてるんだか。
「とにかく、一旦リョウタを預けに行くよ」
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すんなりと魔王城の施設内に入れた俺達は、すぐにベリアストロの部屋に到着した。
「あらクロアさん! 久しぶりね。また随分と可愛くなって……どうして隣の魔王さんがいるかは分からないけれどね」
「ベ、ベリアストロ。その……転移者のリョウタって人なんだけど、ここに泊めてくるか?」
「わわっ」
いつもと変わらない様子のベリアストロの前に、リョウタを押し出す。
「泊めて、と言われても私の部屋は汚いわよ。貴方、男?」
「は、はい」
「男が女性物の下着が散らかっている部屋に泊まったらどうなると思う?」
いや、魔法でちゃちゃっと片付けれるだろ……。
リョウタはチラリとベリアストロの後ろに広がる光景を見て、目を丸くした。
「泊めるって厳しいか?」
「そうね。私の部屋じゃなくて、クラウディアに話してどこかの部隊に入れば部屋も貰えるわ」
じゃあクラウディアに相談するしかないか。
「ありがとうベリアストロ。クラウディアに話に行くよ」
「クラウディアは今ポチと遊んでるところだから、場所は分かるわよね?」
「ああ、ありがとう」
そのままベリアストロに手を振って去ろうとすると。
突然、後ろから抱きつかれた。
「な、なんだ?」
「お願い……久しぶりに良いでしょう? クロアさんに会えなくてずっと欲求不満だったの」
「はぁ」
背中に当たる柔らかい感触も、抱きしめられる強さも慣れた。ただ慣れないのは耳元で話されたり、息がかかること。その度に腰がゾクゾクする。
「……あっベリアストロ。お願いがあるんだけど、私を鍛えてくれないか?」
「突然ね」
死神べナードに勝つ為には、べナードだけにら頼ってちゃダメだ。特にクラウディアに鍛えてもらう事が大事だろう。
「クラウディアと一緒で良いから、私をクラウディアより強くする方法を……無理だと思うけど頼む」
「そう、考えておくわ。じゃあお願いを聞いてあげるから、触らせてね」
抱きしめていた手が、俺の両胸を包み込んだ。
「なっ……! 何してっ……!」
「良いじゃない」
リグとサタナとエリフォラ、そしてリョウタが見ているというのに……俺はなぜ胸を揉まれなければならないんだ……。
「リョウタ。ベリアストロっていうのはこんな人だ」
「……つまり……」
「ああ。お前も襲われる可能性がある」
「助かった……」
リグはベリアストロの評価を下げない。ベリアストロはただ欲求不満なだけで普段からこんな事……しそうだ。
「も、もういいだろ!」
俺は無理矢理手を解く。
「クロアさんも、リグリフさんにしてもらえなくて欲求不満になったら来るのよ」
「来ないよ! じゃあな」
「ええ、また」
ベリアストロのセクハラから逃げるように、クラウディアの元に向かう。
「ポチってなんですか?」
「クラウディアのペットの名前。可愛いよ」
「へぇ〜ペット……この世界にもいるんですね。楽しみです」
リョウタがキラキラと目を輝かせている。
「駄目だよクロア〜ドラゴンって事ちゃんと伝えないと」
「えっ!? ドラゴン!?」
「言うなよサタナ……驚かせようと思ったのに」
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