女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

147話 ルイス5歳



 俺とリグは、ルイスに通わせる学園の下見見学に行ってきた。
 この魔王の国で最も大きく、比較的差別の少ない学園だ。勉強方法も自由で、許可を貰えば自由に校外に出ることも可能。優秀な生徒は特別扱いされて、他の生徒とは違う一人部屋を用意される等、案外人間の国よりも良さそうだ。
 勿論、この国の全ての学校の学園長はクラウディア。魔王が全ての責任者となっている。その為、面倒なクレーマー等はいない。


 ベリアストロも学園長経験があるのだが、残念ながら学園には来れないようだ。魔王軍の戦闘部隊、今じゃ第1のリーダーを務めて、訓練官をしている。


 学園の下見を終えた俺達は、街にある制服専門店でルイスの制服を購入。サイズは魔法で勝手に調節される制服なので気にすることは無い。色は黒と白のシンプルな色なので、目立つことも無い。
 後はルイスの為に、荷物が色々と入るリュックと護身用の剣を購入。


 そのまま家へ帰宅した。
 購入した物は5歳の誕生日プレゼントにする為、倉庫に隠しておく。


「お母様、最近ソワソワしているようですが……」
「ん? そ、そう?」


 しかし俺のちょっとした変化に、ルイスはすぐに気づいたようだ。5歳誕生日まで、より本格的に指導していってプレゼントの事を悟られないようにしないとな。


ーーーーー


ーーーーー


 毎日の指導もあってか、ルイスは段々と性格まで男らしくなってきた。
 一人称も 『俺』 になって可愛らしい。


「お母さん、お腹空いたから何かある?」
「あ、お菓子が棚の上にあるぞ」
「ありがとう」


 食欲も旺盛。お菓子を食べるルイス……可愛らしい。
 ルイスは何をしても可愛いな。


「んぐっ……あぁ、やっぱりこの感覚慣れない……」
「誕生日来た!?」
「うん。5歳になった」


 そしてついに、誕生日がやってきた。……やってきてしまった。


「ルイスが5歳に……長いようで短かったなぁ……」
「お母さん……なんで誕生日なのにそんな悲しんでるんだよ。俺は学園に行っても大丈夫だから。だから抱きしめないで……苦しい」


 抱きしめていると、ルイスに頭を撫でられた。
 ……ルイスはこんな事まで出来るようになったんだなぁ……もうルイスが彼氏でいいや。


「誕生日プレゼント、もう用意してあるからな」
「本当!?」
「お母さんとお父さん、2人で選んだ」


 その後、リビングに全員が集まって誕生日パーティが始まった。
 俺とリグからの誕生日プレゼント、制服とリュックと剣をプレゼントすると、目を輝かせて喜んでいた。男の冒険心が騒いでるのだろう。
 エリフォラが手作りケーキを用意して、ミリスとバルジは何も用意出来なかったがお金をプレゼントしていた。


 そしてサタナは、何やらルイスを連れ出していった。その後帰ってきたルイスの顔が赤色になっていたので、サタナに何をしたか聞いたら。


「ルイス君も大人の階段を登らなきゃ。少しだけ胸をね」
「触らせたのか……」
「パフッと直接」
「よ〜し。私が冒険者の仕事を始めたら肉壁として活躍させてやろう」
「もっと酷くてもいいんだよぉ?」


 サタナに勝てる気がしない。


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 その日の誕生日パーティは、皆が盛り上がってはしゃいでいた。
 ルイスとリグは腕相撲。直接的な力勝負では流石にリグが勝つ。


 他にも、大人達がはしゃぎまくってルイスは若干引いていたような気もした。


「眠くなったから寝る……」
「そうか。多分明日迎えが来るし、今の内に楽しんだ方がいいんじゃないか?」
「じゃあお母さん一緒に寝よ……」
「っ!」


 4歳になってから今まで、俺はルイスと寝れていなかった。それがやっと5歳になった今一緒に寝れるとなったら、寝るしかない。


「皆、ルイスと寝てくるからおやすみ」
「あれ〜? 寝てくるってどういう意味かな〜?」
「言葉通りの意味だよ」


 サタナはどういう想像してるんだか。


 俺はルイスと一緒に部屋に入った。少しだけ散らかっているが、意外と綺麗な方だ。
 2人で布団に潜ると、ルイスが身を寄せてきた。


「やっぱりお母さん温かい」
「ルイスも温かいよ」


 俺の胸にはパフッと出来るような大きさがないから残念だ。2人で一緒に寝ても邪魔にならない。


「ルイス、改めて誕生日おめでとう」
「ありがとう。俺、1人でも頑張るから」
「うん。無理に周りに合わせようとしないでいい。自分の意思を強く持つんだぞ」


 俺はルイスを抱きながら、その日の夜を過ごした。
 いやらしい意味ではない。

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