女嫌いの俺が女に転生した件。
135話 魔王エリフォラ
いよいよ魔王が来る日になった。
魔王に会えるよう、ルイスにはなるべく静かに寝てるようにお願いして、俺と両親とリグとサタナとアノスはリビングで待っていた。
そして、インターホンが鳴ってミリスが迎えに行った。
「緊張するなぁ……」
リグがソワソワしている。なんせ初対面の魔王。もし怒らせてしまったらどうなるか分からない。
玄関の方からミリスがやってきた。そして──
「皆さん初めまして。お隣のグルコ大陸の魔王、エリフォラと申します」
どうやら隣の大陸の魔王も女性だったようだ。
赤黒いドレスを着た長い赤髪の女性──エリフォラを見た瞬間に全ての緊張が解けるほど、温かい笑顔を見せていた。
「エリフォラは優しいから、そんなに緊張する必要は無い」
後から現れたクラウディアにそう言われて、少しだけ肩を下ろす。
「初めまして、クロアの母のミリスです」
ミリスが椅子から立ち上がって、エリフォラに挨拶をした。
「まぁ、貴女がクロアのお母様ですか。クロアの事はよく見てます、お母様もとても美しいお方で」
あれ……よく見てる? 俺この人と会ったことないんだが……。
横にいるリグに疑問の目を持たれたが、俺は首を振った。
「お、俺……私はクロアの父のバルジです。初めまして」
「初めまして。とても良いお顔をされて、とても素晴らしい両親に恵まれていますね」
バルジの挨拶が終わり、サタナが立ち上がった。
「僕サタナ。一応メイドとして働いてるよ」
「……なるほど……」
両親にはサタナの事は雇ったメイドだと伝えている為、契約した邪神とは言えない。が、エリフォラはすぐにそれを理解したのか笑顔を見せた。
「では、残った貴方がクロアの夫……ですね?」
「あっ、はい!」
リグが咄嗟に立ち上がった。
「初めまして。宜しければ後でクロアの事を沢山聞かせてほしいです」
「お、俺で良ければ……はいっ」
リグ、鼻の下伸びてるぞ。
「こんにちはクロア」
「っ、こんにちは」
エリフォラが俺のすぐ横にやってきたので、立ち上がって挨拶をする。
「いつも見られてるの、気付きました?」
「い、いえ……」
「では……」
エリフォラがドレスのスカートを捲ると、中から黒いカラスが現れ、そのままエリフォラの頭に乗った。
「あっ、それ……」
「私の使い魔のカーカーです」
「カ、カーカー……なら1度見ました」
リグとデートした時、建物の上にいた。
「ふふふ、この子はとても頭が良いんですよ」
「そうですか……」
「エリフォラ、そろそろ本題に入らないか?」
「そうでした」
クラウディアの促しによって、エリフォラはもう1度俺の目を見た。
「ずっとクロアに会いたかったのです」
「は、はぁ」
「もし宜しければ、2人きりでお話をしませんか?」
2人きりか。まあ特に問題は無さそうだけど……。
クラウディアの方を見ると、少し笑っていた。怪しい。
「どこで話します?」
「良い場所を用意してありますの」
そういってエリフォラが俺の方に触れた瞬間、世界が変わった。
真っ黒な世界。俺とエリフォラの間に唯一テーブルとイス、そして紅茶が入っている。それ以外には何も無い空間。
「ここは……?」
「私の作った世界です。ここは私と招待したお客様以外は誰も入れませんの。ごゆっくりと話をしましょう」
「わ、分かりました」
エリフォラが椅子に座ったので、俺も手前にある椅子に座る。
エリフォラの動作は、一つ一つがとても綺麗だ。指の動かし方、頭の角度。腰の角度。全てにおいて美しい。
「まだ緊張なさってますか?」
「少しだけ……はい」
「では、解してあげましょう」
俺の方に手の平を向けてきた。
「これを見つめてください」
「はい」
綺麗な手を見つめていると、段々と全身が温かい空気に包まれたような感覚がした。
緊張が嘘のようになくなり、いつもの調子がやってくる。
「どうです?」
「凄いですね……これって、何かの能力なんですか?」
「あ、敬語は使わなくても大丈夫ですよ。はい、確かにこれは私の能力です」
まるでレヴィに似た……相手の無意識を操るような能力だ。それとはまた少し違うのだろうけど、俺の物理攻撃を防ぐよりもなかなか使える。
「それで、話ってなんです……なんだ?」
「ふふっ……敬語を使わないというのは難しいですね。話というのは沢山ありますが、付き合って頂けますか?」
「寝室に2歳の子供が寝てるので、遅くならないまでなら」
ルイスは俺がいないと寂しがるからな。
「大丈夫です。この世界にいる限り、あちらでは時間の経過などありません」
そりゃ便利だ。
魔王に会えるよう、ルイスにはなるべく静かに寝てるようにお願いして、俺と両親とリグとサタナとアノスはリビングで待っていた。
そして、インターホンが鳴ってミリスが迎えに行った。
「緊張するなぁ……」
リグがソワソワしている。なんせ初対面の魔王。もし怒らせてしまったらどうなるか分からない。
玄関の方からミリスがやってきた。そして──
「皆さん初めまして。お隣のグルコ大陸の魔王、エリフォラと申します」
どうやら隣の大陸の魔王も女性だったようだ。
赤黒いドレスを着た長い赤髪の女性──エリフォラを見た瞬間に全ての緊張が解けるほど、温かい笑顔を見せていた。
「エリフォラは優しいから、そんなに緊張する必要は無い」
後から現れたクラウディアにそう言われて、少しだけ肩を下ろす。
「初めまして、クロアの母のミリスです」
ミリスが椅子から立ち上がって、エリフォラに挨拶をした。
「まぁ、貴女がクロアのお母様ですか。クロアの事はよく見てます、お母様もとても美しいお方で」
あれ……よく見てる? 俺この人と会ったことないんだが……。
横にいるリグに疑問の目を持たれたが、俺は首を振った。
「お、俺……私はクロアの父のバルジです。初めまして」
「初めまして。とても良いお顔をされて、とても素晴らしい両親に恵まれていますね」
バルジの挨拶が終わり、サタナが立ち上がった。
「僕サタナ。一応メイドとして働いてるよ」
「……なるほど……」
両親にはサタナの事は雇ったメイドだと伝えている為、契約した邪神とは言えない。が、エリフォラはすぐにそれを理解したのか笑顔を見せた。
「では、残った貴方がクロアの夫……ですね?」
「あっ、はい!」
リグが咄嗟に立ち上がった。
「初めまして。宜しければ後でクロアの事を沢山聞かせてほしいです」
「お、俺で良ければ……はいっ」
リグ、鼻の下伸びてるぞ。
「こんにちはクロア」
「っ、こんにちは」
エリフォラが俺のすぐ横にやってきたので、立ち上がって挨拶をする。
「いつも見られてるの、気付きました?」
「い、いえ……」
「では……」
エリフォラがドレスのスカートを捲ると、中から黒いカラスが現れ、そのままエリフォラの頭に乗った。
「あっ、それ……」
「私の使い魔のカーカーです」
「カ、カーカー……なら1度見ました」
リグとデートした時、建物の上にいた。
「ふふふ、この子はとても頭が良いんですよ」
「そうですか……」
「エリフォラ、そろそろ本題に入らないか?」
「そうでした」
クラウディアの促しによって、エリフォラはもう1度俺の目を見た。
「ずっとクロアに会いたかったのです」
「は、はぁ」
「もし宜しければ、2人きりでお話をしませんか?」
2人きりか。まあ特に問題は無さそうだけど……。
クラウディアの方を見ると、少し笑っていた。怪しい。
「どこで話します?」
「良い場所を用意してありますの」
そういってエリフォラが俺の方に触れた瞬間、世界が変わった。
真っ黒な世界。俺とエリフォラの間に唯一テーブルとイス、そして紅茶が入っている。それ以外には何も無い空間。
「ここは……?」
「私の作った世界です。ここは私と招待したお客様以外は誰も入れませんの。ごゆっくりと話をしましょう」
「わ、分かりました」
エリフォラが椅子に座ったので、俺も手前にある椅子に座る。
エリフォラの動作は、一つ一つがとても綺麗だ。指の動かし方、頭の角度。腰の角度。全てにおいて美しい。
「まだ緊張なさってますか?」
「少しだけ……はい」
「では、解してあげましょう」
俺の方に手の平を向けてきた。
「これを見つめてください」
「はい」
綺麗な手を見つめていると、段々と全身が温かい空気に包まれたような感覚がした。
緊張が嘘のようになくなり、いつもの調子がやってくる。
「どうです?」
「凄いですね……これって、何かの能力なんですか?」
「あ、敬語は使わなくても大丈夫ですよ。はい、確かにこれは私の能力です」
まるでレヴィに似た……相手の無意識を操るような能力だ。それとはまた少し違うのだろうけど、俺の物理攻撃を防ぐよりもなかなか使える。
「それで、話ってなんです……なんだ?」
「ふふっ……敬語を使わないというのは難しいですね。話というのは沢山ありますが、付き合って頂けますか?」
「寝室に2歳の子供が寝てるので、遅くならないまでなら」
ルイスは俺がいないと寂しがるからな。
「大丈夫です。この世界にいる限り、あちらでは時間の経過などありません」
そりゃ便利だ。
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