女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

125話 懐かしの場所へ



 適当にルイスが読みそうな魔法の本を買って店から出た。


「他にどこ行く?」


 昼食はもう食べたし、特に買いたい物も無いしな……。


「何も無いな」
「僕さ、街の裏路地なんか気になるんだけど。行ってみな〜い?」
「裏路地?」


 裏路地って言ったら怖い人が多いイメージがある。


「行かないよ」
「じゃあもう何も無いよ〜?」


 それもそうだが、ルイスはどこか行きたい場所は無いのだろうか。
 街のどこに何があるか、なんて知らないルイスに聞いても無駄だろうけど。


「どこか生きたい場所ある?」
「あそこ!」


 そういってルイスが指を指したのは、城の方向。
 クラウディア達がいる場所だ。


「おぉ、じゃあリグ。久しぶりにクラウディア達に会いに行こう」
「分かった」


ーーーーー


ーーーーー


 城の前に来ると、改めてその大きさに驚く。


 城の庭を門の外側から覗くと、ベリアストロとレヴィアタンが紙を持って話していた。


「ここから声届くか……?」
「ルイスの耳を塞げ。俺なら届く」


 ほぉ?


「ベリアストロさん! レヴィアタンさん! お久しぶりで〜す!!」


 お、おぉ流石。大気が震えるほど大きい声を出したな。
 これも狼の能力だろう。


 俺達に気づいた2人は、一瞬で転移して門の外側にやってきた。


「久しぶりじゃない! それは子供? 名前は?」
「クロアちゃ〜ん!」


 二人共リグが呼んだにも関わらず、俺にしか話しかけてこない。


「と、とりあえず落ち着いて。久しぶり」
「ええ、久しぶりね。今度会いに行こうと思っていたところなの」
「ほんと久しぶりだよ〜いつでも遊びに来ていいんだよ〜?」


 二人共いつもと変わらない様子だ。


「あっ、私とリグの子供。ルイスっていうんだ」
「まあ可愛い……流石クロアさんの子」
「知的な雰囲気だね〜」


 まあこの2人に話しても問題ないだろう。


「ルイス、転生者なんだって」
「転生者……」
「ありゃ」
「それでも思考は年相応だし、特別な能力を持っているとはいえ私とリグの子供だ。大事にしてるよ」
「大変でしょう?」
「あはは、まあね」


 サタナがほとんどしてくれるからかなり楽だけどな。


「今日は何しに来たの?」
「ちょっと買い物ついでに挨拶、かな。まだ時間はあるし」
「じゃあ久しぶりにゆっくりしていきなさい。変わってないわよ」


 どうするか。
 ルイスを見ると、城を見て目を輝かせている。……いや、ベリアストロの胸を見て目を輝かせているな。さすがフェロモンをむんむん漂わせる女だ。


「リグもサタナもいいか?」
「俺はいいぞ」
「僕も問題無いよ〜」
「じゃああの部屋に転移しましょう」


 ベリアストロとレヴィアタンと一緒に、懐かしのあの部屋に転移した。


「おぉ〜変わって……ない……?」


 いつも通り。そう、家具や雰囲気はいつも通りなのだ。
 だが、この部屋には今ベリアストロしか住んでいない。その為床には下着やらが沢山散らばっている。


「すぐに片付けるわ」


 ベリアストロが地面をトンと蹴ると、下着が全て魔力になってベリアストロの身体に吸い込まれていった。


「懐かしいなぁ〜……ルイス、ママは昔ここに住んでたんだよ」
「僕がうまれるまえ?」
「そう」
「この部屋知ってる」
「まあルイスは転生者だし見慣れた部屋なのは分かるよ」


 ルイスでもこの部屋は懐かしいと感じるんだな。


「本当……可愛いわね……クロアさんが」
「なんで私……そこはルイスだろ」
「リグリフさんが羨ましいわ。いつでもクロアさんの身体を好き放題できるんでしょう?」
「いっ、いつもは出来ないです……子供産んでからは全く」


 ベリアストロも相変わらず変態だ。
 しかし本当に何も変わってないな。そりゃ1年しか経ってないから当然だけど、本当に懐かしい。


「ここで子供産んだんだよな」
「そこで私は寝てるのよ」
「あ、ああ……そうか」
「ちなみにソフィアさんもここで子供を産んで、クラウディアが用意した家に行ったわ」
「ソフィの赤ちゃんは見た。可愛かったな」


 そんな話をしている中、後ろでサタナが何かをしている。
 振り返ると、レヴィアタンの胸を触ったりして遊んでる。


「サタナ、それセクハラ超えてる」
「女の子同士だからいいじゃ〜ん?」
「……見た目が女なだけだろ……」
「いいよいいよ〜サタナは昔から女の子が好きだったからね〜」


 どうやらここに居る人達は皆欲求不満らしい。

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