女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

119話 自分の子は特別可愛い



 次の日から、忙しい日々が始まった。
 ルイスのおむつを変える。自分とリグの服を綺麗に畳んで、サタナに綺麗にしてもらう。
 しかし、ほとんどはサタナがしてくれる。料理、掃除など。


 そんな時に、家に誰かが訪ねてきた。


「リグ行ってきてくれ」
「分かった」


 今はサタナと一緒にルイスの手で遊んでるので、動けない。


 しばらくすると、ニヤニヤしたリグが帰ってきた。


「両親来てるぞ」
「えっ!? ちょっ、リグルイスの事見てて」
「ああ」


 すぐに玄関に向かうと、沢山の荷物を持ったミリスとバルジが立っていた。


「心配で様子を見に来たわ」
「そ、そんな心配必要ないけど……まあとりあえず上がって」
「荷物はどこに置いたらいいんだ?」
「とりあえず玄関の中に入れてもらえれば後で取りに来るから」


 2人をルイスが寝ている部屋まで連れてくると。


「あ、貴女は?」
「僕?」


 見たことのない人物が気になるのだろう。


「その人は雇ったメイドさん。ほら、この家大きいから」
「あぁ! どうかよろしくお願いします」
「うん! 僕に任せて!」


 とりあえず邪神と契約してる事は言わずに済んだみたいだ。


「まあ〜……寝顔も可愛いわぁ……」
「そうだな。いつも目閉じてるけど、寝てる時は更に可愛い」
「そろそろ目も開ける頃じゃないかしら」


 2人がルイスを眺めている間、俺は下のキッチンに行ってお茶を注いでくる。


「キュ〜」
『お母さんらしくなりましたね』
「そうでもない」


 どちらかと言うと、子供に大きな俺の背中を見せたいところだ。


「お父さんお母さん、お茶」
「あぁありがとう」
「まあ美味しい」


 お盆をテーブルの上に置いて、リグの横に座る。


 俺の親はどんな気持ちで俺を育ててたのだろうか。俺達みたいに、最初は何もわからないまま2人で頑張って育ててたのだろう。
 俺とリグはちゃんと育てれるだろうか。


「あ、そうそうクロア。友達のソフィアちゃんも出産したみたいよ」
「おぉ! どんな子だった?」
「女の子。ちゃんと産まれてたわ」


 良かった良かった。ソフィアもついにお母さんか。アホそうなお母さんだけど、ちゃんと育てられるか心配だ。
 いままで俺がソフィの親みたいだったからな。ついそう思ってしまう。


「なあリグ」
「なんだ」
「ルイスは5歳になったら18になるまで学園に行かなきゃならないんだよな」
「ああ。だから5歳までに沢山の愛情を注いでやるんだ」


 あと五年もある、とはいえ。ルイスが5歳になってお別れなんて悲しみ気持ちもある。
 それまでどうやって育てたらいいんだろう。


 俺は……魔法の勉強をしたり、本を読んだり。普通の子供じゃしなさそうな事をしてたから参考にならないな。


「私達泊まってもいいかしら?」
「ん、ああいいけど。何するんだ?」
「二人の手伝いよ。5歳になるまで色々と教えるわ」
「俺も娘の夫に教えてやらんとな!」


 おじいちゃんおばあちゃんになった俺の両親も、まだまだ元気そうだ。


ーーーーー


ーーーーー


 それから、俺がルイスを抱っこしていると。


「あぅあ……? ……あ〜」
「っ? ……っっ!! 目が開いてる!」
「「何っ!?」」
「本当?」


 嘘をつくはずがない。ルイスは俺の顔をしっかりと見つめている。


「る、ルイス……私の顔見える?」
「あ〜」
「見えるって!」
「あ〜しか言ってないぞ」
「本当かぁ〜……!」


 皆大騒ぎ。これでルイスとのコミュニケーションの幅も広がった。


「おじいちゃんでちゅよ〜」


 バルジが変顔をすると、1度目を合わせはしたもののすぐに俺の方を向いた。


「そんな……」
「残念だったな」
「この〜……美人が好きなんだな。ミリス変顔してみろ」
「嫌よ。ルイスちゃ〜ん、おばあちゃんだよ〜」
「あ〜うあ」


 どうやらルイスは女が好きみたいだ。俺と反対だな。
 しばらくミリスを見つめた後、すぐに俺の方を見てきた。綺麗な青い瞳に見つめられると、ついつい照れてしまう。


「ニヤけてるぞ」
「リグも抱っこしてみろ。可愛いぞ」
「ああぁぁぁあ!! うあああ!!」


 リグに抱っこさせようとすると、ルイスが大声で拒否した。


「まじで……?」
「こらルイス、お父さんにも抱っこさせてあげて」
「……あう」
「おぉ、よしよし」


 俺の言うことを聞けるなんて随分と頭が良いな。流石俺とリグの子だ。


「クロアみたいに頭が良いわね」
「そうだな〜クロアの子だからな!」
「そうね。母親から知能は受け継がれるっていうもの」
「お前からは受け継がれてないよな?」
「そんな事ないわよ」


 俺の両親も微笑ましそうに話しながら痴話喧嘩をしている。


「んっ、もうクロアに戻りたいか」
「あう〜」
「やっぱり私の腕の中が落ち着くもんね〜」
「あ〜う」
「僕にも抱っこさせてよ〜」
「いいよ」


 サタナに渡すと、ルイスはあっさり抱っこされた。


「あはは〜どうやら僕も懐かれてるみたいだね〜! ……あ」
「悔しい……どうした?」
「いや、何でもないよ。やっぱり赤ちゃんって可愛いね」
「私の子だからな」


 ルイスは女には抱っこされても嫌がらないのか。リグみたいだ。


「おい、今俺見て何考えてた」
「別に?」


 リグみたいに変態な子には育ってほしくないな。

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