女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

118話 さあマイホーム!



「それじゃあ、二人共気をつけてね」


 リグは荷物。俺は眠っているルイスを抱っこして、皆に見送られている途中だ。


「暇な時に様子を見に行くわ」
「ああ、いつでも来てくれ。よしクロア、行くぞ」
「うん……またな!」


 ベリアストロ、クラウディア、ソフィ、ワタル、レヴィ、その他戦闘部隊の人達に手を振って、城の敷地外へ出た。


「寂しくなるな」
「いつもベリアストロだったりソフィがいたからな……まあ、私がいるし大丈夫だろ?」
「それもそうか」


 クラウディアに用意された家に向かう途中、イチャイチャ話してるとルイスが目を覚まして泣き始めた。


「あ、あぁ〜どうしよう。ここじゃ飲ませれないぞ」
「とりあえず急いで家に行こう。ここから近い」
「ちょっと我慢しててね!」


 なるべく衝撃を与えないように、早歩きでリグの後ろについていく。


ーーーーー


ーーーーー


「着いた!」
「鍵鍵っと……よいしょ」


 二階建てで木製、かなり綺麗に作られている瓦の屋根。更には庭付きで、綺麗な芝生と石造りの道がある。
 リグの一緒に家の中に入ると、日本人には見慣れた段差付きの玄関。横には靴置きの棚があって、その上に物が置けそうだ。


「し、寝室!」
「多分上だ。行こう」


 荷物を限界に置いたまま、廊下の先にある階段を登り。更に二階の廊下の奥にある部屋に行くと、綺麗なベッドとそれなりの家具が置いてあった。


「じゃあ私はここでルイスを寝かせるから。荷物とかよろしく」
「ああ」
「ほっ! 僕も来たよ!」


 突然上から降ってくるように現れたサタナ。その見た目はもう人間と変わらない。


「あぁっ! ルイスの泣き声が大きくっ……サタナ騒ぐな」
「あはん♡ 分かったよ。とりあえずリグリフ、君の手伝いをする」
「そ、そうか……久しぶりだな……まあいい。下の荷物をこの部屋に運んでくれ」
「あいよっ!」


 2人が部屋から出ていったのを確認した俺は、ベッドに座ってルイスにおっぱいをあげた。
 まだ目が開いていないルイスは、ちょっとした物音にも敏感に反応するからな。周りが静かにしてくれるといいんだけど……。


「痛っ! この荷物運びにくいよ〜!」
「神様なら頑張れ!」
「人間の身体って痛みに弱いね〜」


 部屋の外が騒がしい。
 なんとかルイスは落ち着いているようだが、部屋の中に来てまで騒がれると流石に怒る。


 二人が荷物を持って部屋に入ってきた。俺は睨みながら口元で人差し指を立てる。
 すると二人は面白いくらいゆっくり歩き始めた。


「もう少し早くてもいいけど……」
「この身体、胸が大きいし体重もあるから音が出ちゃうんだよ……」
「この家の床は軋まないから、早くして」
「分かりました〜」


 ルイスがおっぱいをのみ終わった後。しばらく抱っこしてゲップするまで背中をトントンとリズムよく叩く。


「けぷっ」
「ふふっ……」


 ゲップしただけなのに、異様に可愛く見えてつい笑ってしまう。
 抱き抱えてると温かいので、ついついルイスが眠るまで抱っこしていた。


「そ〜っと…………」


 ルイスをベッドに寝かせて、俺も二人の手伝いをする事にした。


「アノス、ちゃんと見ててくれ」
「キュ〜」


 部屋から出ると、丁度2人が大きなバッグを持ってきていたところだった。


「ちょっ!?」
「危なっ!」


 そのままリグとぶつかり、倒されてしまった。


「いっつ…………」
「ふ、ふぅ……クロアに胸があって助かった」
「痛いし重いからどいてくれ」
「すまん」


 顔面を胸に押し付けるというラッキースケベを発動させたリグは、すぐに起き上がって落としたバッグを拾った。


「クロアも寝てていいんだぞ?」
「それじゃ悪いかと思ってな。何か手伝えることはないか?」
「妻に力仕事させるなんて悪い。ルイスと一緒に居てやってくれ」
「……そう」


 こういう時に女扱いされると良い気分じゃないよな。そりゃ確かに、身体能力半減しているっていうデメリットを背負ってるけども、手伝うくらい良いじゃないか。
 俺の心は男なんだからな。……最近それすらも怪しいけど。


「んぎゃあ゛あ゛ああ!」
「な、なんだ!?」


 ルイスの声が聞こえて部屋に戻ると、アノスが焦ったように翼をバタバタしている。


「キュ、キューッ!」
『すみません! 触っていたら起こしてしまったみたいです!』
「なんだ……まあいいや」


 どうやら、俺の仕事はルイスの様子を見る事らしい。


ーーーーー


 部屋に荷物を運び終わって、今度は全部の部屋に何があるか見て回る事になったようだ。


「おぉ〜っ! ここ倉庫か!」
「色んな物があるね」


 二階の部屋にいても、一階の声が聞こえてくる……。


「あ、ほら。これルイス君のオモチャに良いんじゃない?」
「おぉ流石神様。よく見つけたな」
「とりあえず使えそうな物は部屋に運ぼうか」
「なぁこの本なんだ?」
「ん? ……ただの絵本だよ。遊んでないで仕事しなよ」
「あ、ああ……悪い」


 あれ……リグってこんなに頼りない男だったっけ? サタナに怒られてやんの。


 その後も、二人は色んな部屋を見て回って荷物や家具の整理を続けた。
 その間、ルイスは気持ちよさそうに眠っていたので、釣られて俺も眠くなってしまった……。


「アノス……何かあったら起こしてくれ」
「キュッ」
『任せてください。私は神ですから』


 不死のドラゴンの身体を持つ時空神クロノス。今は確か時を操る事はできないんだっけ。それでも、空間を操れる不死のドラゴンというのはかなり強い。
 安心して眠っていいだろう。


 俺はルイスの寝顔を見ながら、眠った。

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