女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

112話 まさかの事態

「……リグさっきから落ち着きないぞ?」
「ちょっとトイレ行ってくる」


 動物の体って本能強くて大変だな。


「ただいまクロアさん、どうだったかしら?」
「ベリアストロ……」


 全てこうなる事を理解していたベリアストロが帰ってきた。


「お陰でソフィとワタルに見られたよ」
「あら……それは想定外だわ。記憶消してきてあげしょうか?」


 なんて怖い事言うんだ。


「……出来るのか?」
「出来ないわ」


 無責任な……。


「あれ……クロアさんもしかして……」
「なんだ?」
「いえ、気のせいだとは思うけれど、もしかして中出しされた?」
「まあな……」


 これもベリアストロが想定していなかったせいだ。


「今お腹の中に生命が生まれようとしてるわ」
「……えっ……」
「おめでとう」


 嘘だろ……? 俺、妊娠したのか……? まだ18でもうすぐ19だぞ?


「あ、ベリアストロさん……」
「リグリフさん聞いて、クロアさんのお腹の中に生命が生まれようとしてるわ」
「……っ」
「おい! 逃げようとするな」


 玄関の方に走り出そうとしたリグを、いつの間にか転移して俺が捕まえていた。


「責任……取れるよな?」
「が、頑張って育てようか……」
「まあ私が手伝うから、頑張りなさい」


 頑張りなさい、じゃない。そもそもベリアストロがら仕組まなかったらこんな事にはならなかったんだ。


ーーーーー


ーーーーー


「──という訳で、妊娠したらしいです」


 俺はリグとベリアストロと一緒に、クラウディアに報告しに行った。


「妊娠……お前ら……本当か?」
「ベリアストロがそういうんで……本当だと」
「そうか、おめでとう!」


 俺としてはめでたくない。


「ケイ! 来てくれ!」
「はいなんでしょう」


 早速クラウディアの執事の仕事をこなしているケイが来た。


「クロアが妊娠したみたいだから、しばらく手伝ってやってくれ。ベリアストロだけじゃ心配だ」
「妊娠……おめでとうございます、クロア様」


 なんで俺が妊娠なんて…………。


ーーーーー


ーーーーー


 クラウディアやレヴィに報告した後、俺達は部屋に帰った。


「私がすぐに気づいてよかったわね」
「これからどうしたらいいんだ……」


 頭を抱えていると、リグが横に座って背中を撫でた。


「2人で頑張ろう」
「なんでこういう時だけ頼れるんだよ……クソ……」


 そういいつつも、俺はリグに寄り添う。


「今日からクロアさんは、しっかりした食事をする事。好き嫌いはダメよ? そして激しい運動もしない事。後は……体調や体の変化に耐えることね」


 確か妊娠すると太るんだっけ? 嫌だ……今のままがいい……。


「全部ベリアストロが仕組んだ事だ。今日から家事は全て任せるけど」
「ええいいわよ。こうなる事をまだかまだかと待ちわびていたの。どんな子が産まれるか楽しみね」


 とにかく、妊娠した以上しっかりと産んで育てないとな。
 大人になったし、それくらいの責任と苦労は経験しておいた方が良いだろう。


「ただいま〜」
「こんにちは〜」


 ソフィとワタルが帰ってきて、俺はすぐに隠れたくなった。


「二人とも、良い知らせがあるわ」
「何〜?」
「な、なんでしょう」
「クロアさんが妊娠したわ…………あれ……ソフィアさん……」


 おや? ベリアストロの様子が……。


「えへへ、実はワタル君としちゃった……」
「ごめんなさい……クロアさんとリグリフさんのを見て、ソフィアちゃんが……したいって……」


 ソフィがワタルの腕に抱きついた。


「まさか、ソフィはワタルの子を妊娠するって事……?」
「そうみたいね」
「でもクロアちゃんの事は大好きだよ!」


 妊娠する事の大変さを知らないアホは、マヌケそうに笑ってる。


「ワタルさんは……ソフィでいいんですか?」
「ええ……まあこうなった以上は、責任取らないとですから」


 流石正義感溢れる勇者だ。


「楽しくなってきたわね」
「なんでそんなに楽しめるんだよ……」
「だって、私は子供なんて作れないもの」
「……どういう事だ?」


 ベリアストロに子供が作れない?


「もし子供を作ったら私の力は失われるの。それが魔女よ。もしそうなったら皆を守れないわ」


 じゃあ今までそういう事はしてこなかったって事になるのか……。


「じゃあ……私とソフィの子を自分の子と思って育ててくれ。任せた」
「ええ、サポートするわ」


 大変な事になってきたな。

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