女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

99話 アーガス対策の作戦会議

 ベリアストロがクラウディアに事情を説明しに行っている間、俺はレヴィアタンの部屋にクロノスを連れて戻しに行った。


「あぁ〜可愛い〜」
「もう行くの〜?」
「ああ」


 軽く頭を撫でるとクロノスの声が聞こえた。


『身体から出れないです!!』
『……? どういう事?』


 普通、入った身体はいつでも抜け出したりできるような物なんだが。


『どうやら、身体から出ると死んだ扱いとなって強制的に身体に戻されるんです』
『へぇ〜……まあ良かったじゃん。帰ろう』
『良くないですよぉ〜!』
「じゃあレヴィアタン、またね」
「また会いに行くからね〜!」


 ネクロドラゴンのクロノスを俺の部屋に連れていこうとしたのだが……大きすぎて部屋から出れない。


『大丈夫です……この位転移で外に出れますよ』
『ん〜今度から転移使わなきゃいけないって面倒だし、クロノスは外で待機だ』
『そんなぁ〜!』


 ドラゴンを室内で飼うと、爪とかで傷つくからな。


『我が儘言うな。ドラゴンだろ』
『神ですよ! 契約の代償で時は操れなくなりましたけど、時空なら操れます! 手の平サイズになればいいんですね!』
『なれるのか』


 クロノスの周りの空間が歪んで、見る見るうちに縮んでいく。


「……」
『どうですか?』
「可愛いぃぃいっ!」


 あまりの可愛さに思わず抱き上げた。
 こんな可愛いドラゴンが俺の物……最高だ。


「部屋に戻ろね〜クロ〜」
『ペットみたいに言わないでください! 私はクロノスですよ』
「今日からクロはペットだよ〜」


 クロの話を聞かずに、俺は部屋に戻った。
 すると、ベリアストロとクラウディアが部屋の真ん中にちょこんと座っている。


「なぜネクロドラゴンが小さくなっているかは後で聞くとして、とりあえず座りなさい」
「あ、はい」


 ベリアストロの横に正座して、クラウディアを見る。


「さて、クロアが来たことだし話そうか」
「何を……?」
「アーガス対策だ。俺は一応アーガスと戦える程度には強い」


 神級の悪魔と戦える……のか。もう次元が違うな。
 俺は膝の上のクロを撫でながら二人の話をしっかりと聞いた。


『うわぁ……クロ羨ましい。僕も撫でて?』
『身体持ってきたら膝枕してやるよ』
『やった〜!』
「クロアさん話を聞いているかしら?」
「き、聞いてます」
『サタナ今は黙ってろ!』
『はい!』


 もっと暇な時に出てきてほしい。というかなんでサタナはそんなにも余裕を持ってるんだ。


「もしアーガスが攻めてきた場合、かなり大きな被害が出るだろう」
「1人でも?」
「ああ。魔法を使えば更に大きな被害だろうな。ベリアストロの能力が頼りだ」


 ベリアストロの能力でも完全に無力化できない能力を持っているのか? まあ悪魔だし……可能性はあるか。


「まず、アーガスと戦う時は必ずベリアストロと俺がいなければならない。奴の戦闘能力を下げれるところまで下げた後、俺が戦おう」
「勝てるのか?」
「分からない。神達の力を使ったとしても……致命傷にはならないだろう」


 確か傷一つ入らないって言ってたし、致命傷にはならないけど傷が入るくらいならかなり凄いだろう。


「被害が出ないよう、他の部隊たちは避難させる」
「レヴィは?」
「あいつは……一応神だし、一度俺の身体に戻ってもらう」


 なるほど。


「どうやって勝つのか、策はあるのかしら?」
「一応はある。完全に倒す事は出来ないが、封印という形ではな」
「封魔の剣を使うのね」
「封魔の剣?」


 そんな剣があるのか。


「悪魔を封印する為だけに神が作り出した剣よ。身体に突き刺せば相手は100年の眠りにつく」
「身体に突き刺す……」
「そう。ほぼ不可能な事だけれど、クラウディアなららやってくれるわ」


 そうか……かなり大変そうだけど、クラウディアなら出来るか。


「私は何をしたら……」
「離れた場所に行きなさい」
「え……」
「貴女が一緒に居ても何も出来ないわ。この前のように仲間を死なせたくなかったら、皆と一緒に逃げなさい」
『そうだよクロア、ただでさえ君の身体能力は半減しているんだ。僕が身体を操ったとしても勝てない』
『そう……だよな……』
「リグリフ君と逃げるのよ」
「リグと……」


 そうだ、今度はリグも一緒に逃げれる。確かに俺なんかがその場にいても何も出来ない。それなら、リグと一緒に逃げた方が良い。


「分かった……」
「しばらくベリアストロとクロアは僕と一緒に過ごしてもらうよ。もうアーガスがここに来るのは確定している」
「確定……」
「家族じゃないと思った人達には厳しいんだ。あいつ」
「あっ……できればリグと一緒に……」
「分かった。君の彼氏も俺の部屋に泊めよう」
「彼っ…………はい」


 そうだ。リグは俺の彼氏なんだし、動揺する必要は無い。
 今度は俺は逃げるだけでいい。きっとベリアストロとクラウディアがなんとかしてくれる。俺なんかが手を出したところで足を引っ張るだけ、それなら逃げるのが得策だ。


「リグリフが来たら俺の部屋に転移しよう」
「私とクロアさんのベッドは用意してあるんでしょうね?」
「一応2つ用意してる。俺と一緒に寝るか? ベリアストロ」
「馬鹿言わないで」
「冗談じゃないぞ?」
「……私はクロアさん以外に興味なんてないわ」


 ベリアストロは根っから俺の事を好いてるからな。残念だなクラウディア。


「でも、どうしても怖くて眠れないなら一緒に寝てあげてもいいわ」


 あれ?


「あっはっはっ。いいよ、クロアと寝な」
「じゃあ最初から言わないでくれる?」


 ベリアストロが他の人にデレるなんて珍しいな。まあ冗談なんだろうけど、ちょっと意外に思ってしまった。

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