女嫌いの俺が女に転生した件。
69話 エロガキ共のジャングルと化した部屋
「え〜遊ぼうよ〜」
「今日はもう無理……」
昼食を食べ終わった後も、生徒達は俺に付きまとってくる。まだ遊べない事もないんだけど、少し汗の匂いが気になる。
それに俺は元々本を読むのが目的だったんだ。
「うぇ〜い! スカートめくり〜!!」
「かんちょ〜!!」
「ちょっ! やめっ」
「怒るの〜?」
くっ……コイツらは俺を怒らせてでも構ってほしいみたいだ。
コイツらの手の平の上で転がされてたまるか。
「じゃあ明日からの授業、私が先生してるからその教室に来たら遊んであげる」
「どこの教室?」
「自分で探さないと意味無いよ」
「分かった〜」
「だから先生って呼ばれてるの?」
「そうだよ」
チョロいぜ。
俺はそれだけを言うと、さっさと自分の部屋に帰っていく。
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「おかえりクロアちゃん。その子達は?」
「勝手に着いてきた……」
沢山の子供達が俺の部屋にまで着いてきてしまった。ほとんど新入生だ。
「ここがクロア先生の部屋だ〜!」
「宝探し〜!」
「……はぁ……」
子供のこと余計に嫌いになったかもしれない。
「ソフィ助けて」
「楽しそうじゃん。あっそれ私のパンツ〜」
「くっさ!」
「まだ使ってないから臭いはないよ〜だ!」
やっぱり子供同士遊ばせてる方が無難かもな。
「ソフィアお姉ちゃんに迷惑かけないようにね〜」
「「は〜い!」」
俺はなるべく部屋の隅っこで本を読もう。これ以上子供に構ってられない。
「クロアお姉ちゃん、私も一緒に座っていい?」
「座るだけならいいよ」
「やった」
小さな女の子は手が掛からないから良いな。ガキンチョより可愛げがあるし、頭もいい。
子供のジャングルと化したA-975号室。騒がしい室内で、俺は小さな女の子と一緒に本を読んだ。
ベッドの上では子供達が布団を使ってじゃれあっている。
「苦しいよ〜!」
「パンツ脱がせろ〜!」
「いや〜〜!!!」
うん……問題なさそうだ。
「君は遊ばなくていいの?」
「私、ああいうの苦手」
「分かる……私も昔は沢山の人がいると苦手だったなぁ」
昔っていうのは前世の話なんだけどな。
「今は?」
「今は自分のしたい事をしてると周りがついてきてくれるから、困ることはないよ」
「いいなぁ……着いてきてくれるなんて」
「良い友達を数人持つだけで十分だよ。きっと君にもそんな友達ができる」
前世はしたくない事までしなきゃならなかったからなぁ……将来必要の無い勉強、必要の無い歴史の勉強、大人はなんでもかんでも勉強勉強って。
学歴でなんでも決めるあの社会は狂ってる。
「友達できるかなぁ」
「自分の好きな事をしてると、自然と大事な友達が出来るよ」
「好きな事……?」
「君は読書が好きでしょ?」
「うん」
「じゃあ今日から私は君の友達だよ」
ちょっと無理矢理っぽいけど、同じ趣味を持つ友達というのは大事だ。前世はスマホで簡単に探せたからいいよな。
「私、クロアお姉ちゃんと友達?」
「そう。友達」
「えへへ、初めての友達だ」
可愛いなぁ……小さい女の子。笑顔が素敵。
ロリコンとかそういうのじゃないけど、小さい女の子は本当に可愛い。
もう少し成長して、我儘になってしまったら可愛くないけど……この年齢が1番良いのかもな。
「騒がしいな。なんだこの猿山」
「あっ! くろすけ!!」
「くろすけって呼ぶな!」
「リグおかえり〜」
「おうただいま。何でこんなにいるんだ」
やっぱり気になるよな。
「懐いたみたい。どうにかして」
「お前ら〜! これ以上この部屋にいるなら喰うぞ!」
「わぁ〜逃げろ!!」
「くろすけが来る〜!!」
やっと部屋が静かになった。
「あ、私も帰るね。クロアお姉ちゃん、またね!」
「またね」
ずっと横に座っていた子も帰っていった。
「ん? 誰に話しかけてるんだ?」
「え? いま帰っていった女の子だよ」
「もう誰もいないぞ?」
「もう帰ったよ」
何言ってるんだリグは。
「で、なんでリグは『くろすけ』って呼ばれてるんだ?」
「昼のオーガごっこの時にな、ガキ共が俺をくろすけって呼んでからかってきたんだ」
「いいじゃん、くろすけ」
「良くない……俺はリグリフだ」
「くろすけ、お手」
「犬かよ……はいはい」
そういいつつもするのか。……とりあえず部屋も静かになった事だし、ゆっくりするか。
俺は立ち上がって、散らかった部屋を見つめる。
「なんで下着が1番散らかってるんだろうねぇ……」
「皆素直だもんね〜」
「はぁ……」
エロガキ共に今度会った時は注意した方が良さそうだ。
ーーーーー
部屋を片付けた後、3人で横になった。
「クロアもソフィアも、もうすぐで能力が目覚めるな」
「そうだな」
「能力?」
「18歳に近づくと能力っていう個性が生まれるんだよ」
「へぇ〜」
俺にはどんな能力が手に入るのだろうか。
「リグは?」
「俺は足音を消すだけだ」
「地味……」
まあ狩りを行う狼にとっては大事なのかもしれないけど、学園長と比べると地味だな。いや学園長が凄いのか。
「ソフィ、明日から授業始まるけど大丈夫か?」
「大丈夫だよ。そろそろ魔力コントロールもできると思う」
最近はソフィも俺の授業を受けに来ているからな。良い感じだ。
「ふわぁ〜……疲れたし眠くなったかも……」
「俺を抱き枕にして寝ていいぞ」
「うん」
暖かいリグの体温を感じながら、目を閉じた。
「冗談のつもりで言ったんだが……まあいいや。ソフィアはどうする?」
「私はクロアちゃんを抱き枕にして寝る!」
「俺は自分の尻尾でいいや」
明日の為にも体力回復しないとな。
「おやすみ」
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「神様だよ〜!!」
久しぶりに神様に会った。今度はどんな話だろうな。
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