女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

16話 歓迎会まであと僅か!!



 歓迎会まで残り2日に迫ってきた。
 突然「4日後に歓迎会」なんて知らされた先輩達が、何か忙しそうに走り回っている。
 もっと早く知らせてもらっていれば、こんなに焦る必要も無さそうだったのにな。


「クロアちゃ〜ん」
「どうした?」


 ティライがニコニコしながらこっちに走ってきた。


「助けて〜!」


 ティライの後ろを見ると、数人の生徒が怒った表情……でもなく、笑いながら追いかけてきている。
 そのままスルーしようと横に移動したのだが、ティライに捕まって、そのまま抱えられてしまった。


「ま、待て! この持ち方はスカートがめくれて!!」
「あ、可愛い白」
「降ろせぇぇぇえええ!!!」


 肩に担がれた俺は、進行方向に尻を向けているのでスカートがめくれてしまっている。
 目の前には追いかけてくる先輩達。俺はティライに抱えられたままパンツをモロ見せしながら学園長を疾走中。


「パンツ! やばいからっっ!!!」
「いいから逃げるよ!!」
「なんで私まで巻き込むんだよっ!!」


 必死にティライの背中を殴るが反応無し。何なんだ……。


──掃除用具入れのロッカーの中。


「はぁ……はぁ……ここなら来ないよね……」


 ティライと一緒に狭い空間の中に入っている。


「む、胸が苦しい……死ぬ……」
「我慢してっ!」


 胸に挟まれて苦しい……なんでこんな事になってるんだ。


「……も、もういいかな。ふぅ……」


 やっとロッカーから開放された俺は、すぐにティライを睨みつける。


「パンツを皆に見られて、更には窒息させようとした理由を聞かせてもらおうか。……返答次第ではビリビリの刑だ」


 そういって手から魔力を放出する。
 バチバチと音を立てる手からは大量の電流が出ている。


「ま、待って! 違うの!!」
「何が?」
「窒息させようとしてしたんじゃない!」
「……」
「やめてぇぇあばぱばばばばば!!」


 治癒魔法専用と先生だとしても、どうしてこんな人が学園の先生をしているのか不思議で不思議で仕方ない。


「あひっ…………あぁ……あへぁ……」
「ほら、早く理由を説明して」
「あたっ……もうやめてよね〜!」
「理由……」
「わ、分かったから!! やめて!


 ふむ、ビリビリの刑は脅しに使えるなぁ……。


「実は……悪ふざけで生徒達にコチョコチョしてたんだけど」
「コチョコチョ……?」
「うん。それで、生徒達が反撃してきて……それがすっごくくすぐったかったの!」
「う、うん」
「それで、私の反応を見た生徒達が一斉に襲いかかってきたから……ってやめっあ゛っがががかががが」


 それだけの理由で俺はパンツを見られて窒息しようとしたのか……というか俺巻き込まれる理由どこにも無いよな?


「なんで私を捕まえた?」
「えっと……成り行き? やめてっ!!」
「はぁ……」


 3度目のビリビリの刑を執行しようとしたところで両手を拘束された。ハグで。


「じゃあ……何も用がないなら帰るよ」
「待って!」
「何?」


 ティライはモジモジしながら下半身を抑えて。


「さっきのビリビリで漏らしちゃって……」
「……じゃあね」
「待ってぇぇぇぇぇええええ!?!?」


 ティライの絶叫を聞きながら、その場を静かに去っていった。


ーーーーー


 部屋に戻ると、ソフィが1人でゴソゴソと何かをしていた。


「何してるんだ?」
「あ、クロアちゃん。魔法の練習してるの」


 そういうソフィの片手は濡れていた。


「水魔法……?」
「う、うん水魔法! クロアちゃんはどんな魔法が使えるの?」
「光魔法かな……それにしても、パンツを下ろして魔法の練習なんて新しいね」
「あっ、ははははは……ひ、光魔法!? えっ!?」


 大きすぎるリアクションを見せつつ、パンツを履くソフィ。何をしてたかは予想が付くだろう。


「光魔法って、心が綺麗な人にしか使えないっていうアレだよね!?」
「本当に心が綺麗なのかは知らないけどね……」
「やっぱりクロアちゃんは天才なんだぁ……」


 俺の身体をイヤらしく見つめるソフィ。どうして俺の周りには変人が集まるのだろうか……いや、ソフィの場合俺が変人に育て上げてしまったのか?


「見せて!」
「あ、うん。少しだけね」


 そういって指先と指先から魔力を放出して、電気をピリピリと見える程度に使った。


「触っていい?」
「危ないから駄目」
「そっか……」


 危ない、というのはソフィがティライと同じように漏らしてしまうのでは、と考えたからだ。


「ソフィは水魔法なんだろ? 見せて」
「あ、いやっ…………その……」
「どしたの?」
「……ごめん……実は水魔法使えないの……」
「じゃあ何が使えるんだ?」
「風……」


 ほお……風か。それってかなり便利そうだな。カマイタチなんかも起こせそうで、俺の光魔法より戦闘に向いてるんじゃないか?


「歓迎会が終わってから授業が始まるし、お互いに魔法の練習頑張ろう」
「っ! うん!!」
「とりあえず、手を拭いてね」


 ソフィのバッグからタオルを取って渡す。その手で触られるのは嫌だからな。


ーーーーー


──歓迎会前日。


 新入生は部屋から出ないように言われている。廊下はかなり人が行き交っている音がする為、かなり大規模に準備を進めているのだろう。


「暇だな」
「うん」


 ベッドの上でゴロゴロしている俺と、それに抱きつくソフィ。まるで俺は枕だな。


「……ソフィはさ、自分に前世があるって思う?」
「前世……? 何それ」


 ああそっか……まだ命について何も知らないんだったな。それもそうか。


「いつか習うよ」
「難しそうな事もクロアちゃんは知ってるんだね」
「ゔっ……」


 何かあると強く抱きしめる癖を早く辞めてほしいな。

コメント

  • ノーベル

    誤字?
    学園長を疾走中

    学園中を疾走中 ではない?

    それと
    5歳から盛ってるってヤバく無いですか?
    かなり引きました❗

    0
  • ノベルバユーザー267938

    今時の五歳児は昼夜関係なくするのか...

    2
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