女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

1話 プロローグ

この場を借りて言わせてもらおう。俺は女という生き物が大嫌いだ。


失礼だとは思うだろうが、仕方の無いことだ。誰にでも好き嫌いはある。……ホモじゃないぞ?
女の何が嫌いなのか。身体は嫌いじゃない、二次元の美少女は大好きだ。でもな……三次元の女ほど汚い性格の者はいない。


例えばの話をしよう。男女が付き合う時、誰が金を払うと思う? ……今これを読んでいる人の数名は、『男』という文字が頭に浮かんだだろう。
その思想も嫌いだ。男が奢って当然だと考えている女。いや、貪欲な雌豚。そいつらは金の使い方を知らない。
化粧品? アクセサリー? ファッション? 醜い容姿を誤魔化す為に金をつぎ込んで何が楽しい。


それに、女というのは本当に厄介だ、
1人の時はすぐに泣いて、周りに同情してもらうという事が当たり前だと思っている。
しかし、集団になるとどうだ? まるで人が変わったかのように、威勢よくギャーギャー喚き散らす。


まあ……上手く説明は出来ないが、俺は女が嫌いなんだ。勿論、全ての女に当てはまる訳では無い。理性的で頭のいい女性は好きだ。


「おい安曇あづみ。さっきからカッコつけたポーズして何やってんだ?」
「何もしてねぇよ……」


俺の部屋でテレビゲームをしてるコイツは『御船颯太みふねそうた』。そして俺は『不知火安曇しらぬいあづみ』。珍しい名前だろう?
颯太とは小学1年の時からの付き合いだ。19歳になった今でも、一緒にゲームをして遊んでいる。
よく『ホモだ』なんて言われるが、男と恋愛するつもりは無い。女ともな。


「待って詰んだ……勝てねぇってこれ」


死にゲーで遊んでる颯太が、頭を抱えてスマホを弄りだした。ボスの攻略法でも検索してるのだろう。


「簡単だろ。基本攻撃の縦一撃から、横薙ぎ払いに派生する予備動作と、突進してくる予備動作とか慣れれば避けれるぞ」
「んなこと言われて……ちょっとマラソンしてレベル上げるわ」
「はぁ……レベル1でクリアできるゲームだぞ?」
「化け物が……」


どちらかというと俺の方がゲームは得意だ。単純だからな。


「もういいわ……無理無理……」
「泣くなって……」
「泣いてねぇよ」


泣きそうな声でテレビゲームの電源を切った。


「……息抜きに運動すっか?」
「あ、じゃあ近くの公園にいるガキンチョ達とサッカーしようぜ。ボコボコにしてやる」


颯太はスポーツが得意だ。
うん、俺引きこもりだから運動無理なんだわ。それでも死にゲーで萎えて泣きそうになってる颯太の為にも、気分転換に付き合ってやらないとな。


スマホを持って、ジャージのまま外に出る。


「暑っちぃな……」
「ガキンチョはこんな暑さの中走り回ってるのかよ……信じられねぇ」


冷房の効いた部屋の中にいた為、暑い季節に外に出ると一気に気分が悪くなる。


「近くに自動販売機あるし、コーラ買ってきて。ほい、俺の分の金」
「俺はパシリかよ……」


それでも自分で金を払ってくれるのは有難い。
なるべく急いで自動販売機に向かうと、丁度飲み物の補充をしていたようだ。


「あ、今終わったので待ってくださいね」
「どうも……」


今開いてるんだから無料で一本くれよ……。無理なのは知ってるけど。
鍵を締められて、男の人は車に乗って去っていった。


「はぁ……コーラコーラ……」
ゴトンッ
「冷たっ!!」


補充したばかりだから温いのかと思ったらかなり冷たかった。あのトラックの中涼しそうだったな。


「はぁ……暑い暑い……」


コーラ片手に、颯太が待つ公園まで駆け足で向かった。


グラッ
「おっと……夏バテか……?」


一瞬視界が歪んだ。それに気持ち悪いな。目の前がグルグルと回って……。


「お〜い安曇! 早く持ってこい!」


遠くで俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。


「やべ……倒れるわ」


平衡感覚が失われ、そのまま道路へと倒れてしまった。


バンッ!!
(あ……)


運悪く後ろから走ってきた車に撥ねられ、意識を失った。


これが俺の人生の最後だった。


ーーーーー


ーーーーー


「ジャジャジャジャーーンッ! こんにちはっ!」
「……」


なんだここ……?


気がつくと、俺は真っ白な空間に1人の女と立っていた。


「お〜いっ! 意識はあるかなっ? へいへ〜いっ!」
「うるせぇ」
「あいたっ!」


白いワンピースを着た、俺より少し低いくらいの女の子がさっきから騒がしいので頭にチョップした。


「いきなり女の子にチョップするって酷くない!?」
「男にもするんだし良いだろ」
「あぁ〜……君もしかして男女平等主義者って奴?」
「そうだな」


まあ性格が悪い女の方は嫌いなんだけどな。


「むぅ……変な人だね」
「で、ここは?」
「中立世界だよ」
「知らね。元の場所に帰してくれ」
「残念だけど帰る事は出来ないよ」
「は?」
「君は交通事故で死んだんだ。あ、でも君を轢いた車は逃げたから事件かな?」


あ……確かに俺は車に轢かれたな。ハッキリとは覚えてないけど。


「つまり……ここは死後の世界?」
「まあそんな感じかな。で、私は神様! 偉いんだぞ!」
「……あっそ」
「酷くない!?」


いちいち煩いな……高い声で叫ばれると耳が痛いんだが。


「も、もう話進めるよっ! あのね、君は死んじゃったから、これから生まれ変わるの」
「うん。それでどうした」
「物件が少なくてさぁ……本来なら今まで通りの世界に転生させてあげれたんだけど、ちょっち厳しいから別の世界にお引越しする事になった」


不動産屋かよ。


「まあ……そういう説明はいいから。前世の事思い出して悲しみたくないから、早く終わらせてくれ」
「意外と寂しがり屋さん?」
「……」
「わわ、分かったから! 今にも振り下ろしそうな手刀を下ろしてください! あいたっ!」


下ろせと言われたから下ろしただけだ。


「あんまり酷い事すると地獄行きだよ?」
「だから……いちいち無駄な話が多いんだよ。手っ取り早く頼む」
「はいはい……。君はこれから見知らぬ世界に転生する事になった、とある貴族の元に生まれます、それは可愛い女の子でしょう。それでは頑張って」
「はっ!? ちょっと待て!」
「やだね〜!」


そこで俺の意識はプツンと途切れた。


ーーーーー


ん……ここは……。ん? 俺何を口にして……。


違和感を覚えて目を開くと、大きなオパイが目の前にあった。それを俺は加えてチューチューと……。


「あら? どうしたのかしら」


オパイの主の声が聞こえて顔を上に向けると、茶髪の綺麗な女性が俺を見て微笑んでいた。


「クロアったら、もうお腹いっぱいなのね……はい、ゲップしましょうね〜」


オパイと一緒に身体を揺さぶられ、背中をポンポンと叩かれる。


「ケプッ……」
「よく出来ましたね〜。さ、おねんねしましょう」


もしかして……俺、前世の記憶持ったまま生まれ変わった?? それに……マジで女になったのか。
今日から俺は、安曇ではなくクロアという女の子になったようだ。

コメント

  • ノベルバー姉です

    前世の記憶があるまま、生まれ変わったとことか面白いですね。

    0
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