幼女に転生した俺の保護者が女神な件。

フーミン

125話 愛



「どうだった?」
 1階に降りると、ずっと待っていたゼウスがすぐにシンシアの元にやってきた。


「ここでの仕事辞めるみたいです……なんか……申し訳ですけど」
「良かったじゃないか! アイツ結構真面目なのに仕事辞めるとか凄いな」
 1番褒めてはいけない事を褒めてはいけない人が褒めてる。不思議だな。


「ぐすんっ……ふぅぅぅぅ」
 サラが号泣しながらやってきた。


「って……んぇ? クロア様どうしてっ……ここに?」
「2人の様子が気になってな」
「サラ、なんで泣いてるんだ? やっぱり仕事辞めない方が──」
「違うの。社長に凄く怒鳴られて……」
 怒鳴られて泣くなんて……可愛いな。やっぱり俺はサラの事が好きだ。


 その後、しばらくゼウスとサラが色々と2人きりで話していて、暇だった俺は椅子に座って自動販売機のジュースを飲んでいた。
 この自動販売機も神聖な力で作られた神聖な物らしい。自販機の横の張り紙に書いてあったからそうだろう。


「2人とも話長いなぁ……」
 俺の我が儘でここに来たのだから今後について色々と話さなければならない事があるのだろう。






 それから2人が戻ってきたのは大体10分くらい経った頃だろうか。サラは色々吹っ切れたような笑顔を見せていて、ゼウスも満足そうに笑っている。
 何を話していたのかは分からないが、ゼウスが 「問題ない」 と言ってくれたから大丈夫だろう。


 その後、ゼウスも一緒にサラと施設に向かった。
 施設に行くと、セシリータさんやセシリャさん、ルーさんに他にも色んな人がサラの帰りを喜んでくれて、父さんと姉ちゃんにも会いに行くと2人とも安心したような顔で俺を褒めてくれた。
 しかし、その後お母さん探しをどうするか話していたのだが、ゼウスに神妙な顔をされてこう言われた。


「多分諦めた方が良い。理由は……聞かない方がいい」


 それがただ事ではない理由だと、ゼウスの雰囲気で悟った俺達はそれ以上を聞くわけでもなく、ただもう母親には会えないという悲しみでしばらく話していた。






 その日。今日は同じ部屋で一緒に寝たい、とサラにお願いするとシンシアの部屋で寝てくれる事になり、今日は今までの分沢山甘えることにした。


「シンシアちゃん擽ったいよ〜」
「サラからは絶対に離れないっ」
 手足を使ってサラをギュッと抱きしめる。


 サラの匂い、温もり、身体、優しさ。全てを自分の物にしたい。誰にも渡したくない。シンシアはそれだけの思いを素直にサラに見せつけた。


「ごめんね。寂しかった?」
「寂しかった。でももう絶対離さないからな」
「えへへっ、プロポーズみたいだね」
 プロポーズみたいだと言われて、自分が言っている事がどれだけ恥ずかしい事か冷静になって分かってしまった。


「うっ……うるさいっ……」
 サラの腕に熱くなった顔を埋めて照れ隠しをする。


「でもシンシアちゃん凄いよね。天使の真似したんでしょ?」
「あ、あれは昔サラに少し貰った神様の魔力のお陰だよ」
 今では自分の身体に馴染んできているが、それでも神の魔力というのは物凄い。少しの量でも濃度の濃さがはっきり分かるのだ。


「……俺、サラの為ならなんでもするから……」
「えぇ〜本当に?」
「本当に。だって好きだもん」
「ふぅ〜ん……じゃあ明日は可愛い服着てもらおうかな!」
「っ……分かったっ」
 本当になんでもしてくれると知ったサラは、恥ずかしそうな顔をするシンシアを見て嬉しそうに笑った。


「…………じゃあシンシアちゃん」
「な、なんだ?」
「大人の姿になってよ」
「いいけど……何するんだ?」
 シンシアは何をするのかとサラの顔を見ると、何故か色気のある表情をしていた。


「服脱いでから大人になってね……」
「……分かったっ……」
 シンシアは素直に言うことをきいて、大人に変身してから布団の中に身体を隠した。


「シンシアちゃんは私の事好きなんだよね?」
「……うん、大好きだよ」
「私はそれよりももっと大好きだよ」
「っ!」
 サラまで布団の中で服を脱ぎ始めた。


「おっ、俺の方がもっと好きだ……」
「どっちがどれだけ愛してるか……競おっか」


 2人はお互いの身体を合わせて、互いに愛をぶつけ合った。
 その日、シンシアとサラの愛は完全に結ばれた。


◆◇◆◇◆


「なんじゃこりゃぁあああ!?!?」
 翌朝、シンシアは魔力を消費していないのに大人の姿を保っている事。そしてシンシアのサラの身体中にキスの後が残っている事にサスペンスドラマのような叫び声をあげた。


「えへへ、私とシンシアちゃんは今日から恋人なんだからね!」
「サラの仕業なのか!?」
「うん! 付き合うなら同じくらいの年齢が良いでしょ?」


 シンシアは夜の間に大人になってしまった。

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