幼女に転生した俺の保護者が女神な件。
123話 男装というより変身
「おぉ〜可愛いな。問題ないだろう」
現在、問題だらけの状況に直面していた。
まず俺はゼウスに男装と言われ男物の服を着せられた。しかしこの服は神界にある服らしく、白い布を身体に巻いただけで露出が多い。
神聖な力によっていくら頑張っても見えない部分が出来ているのだが、腰やヘソ、太ももなんかモロ見えである。
「神界ってこういう変態専用の服しかないのか?」
「私も最初はそう思っていたんだが、これでも昔と比べてかなり良くなった方らしいんだ」
これで良くなった方って……昔はどれほど酷かったのだろうか。
「昔は皆生まれた時の姿。つまりは裸で過ごすのが当たり前とされていたんだ」
「神界って意外と原始的だったんですね……」
「それから少しずつ裸は恥ずかしいという意識が生まれてきてな。女神達からの要望があり少しずつ布の面積が増えていっている」
それなのにまだこんなに露出しているのか。しかもこれが男用なんて言われてしまえば、神界の男天使は皆プラプラと露出しながら過ごしているとしか思えない。
「これが深海では当たり前なんだ。そこは我慢してくれ」
「んん……分かりましたけど、これでもまだ可愛い女の子ですよ。俺」
髪も肩まで伸びててまつ毛も長くて、身体も少し痩せた幼女体型。正直世のキモヲタ共がこの姿を見ればブヒブヒと興奮する事だろう。
「神界には可愛い男の子が沢山いるのだが……そうだな。確かにこのままじゃ女に間違われるかもしれない。少し魔法をかけよう」
「魔法?」
ゼウスがシンシアの身体に触れると明るく光り始めた。
「お、おぉ、なんか変な感じがする」
光が収まっていくと、何やら違和感を感じる。
「…………待て、この感覚……生えてる……」
「どうだ。一時的に身体を男にしてみた」
これじゃ男装ではなくタダの変身じゃないか!
心無しか体付きも少しガッチリして、髪の毛の質も少し固く短くなっている。しかし久しぶりに下半身にブツが生えている感覚を体験して、なんとも言えない羞恥心に襲われた。
「男の……モノ……」
「あんまり触らない方が良い」
「そ、そうだな。見たくもない」
なんとなく男の性器に対し嫌悪感を抱いていた。
男に戻れた、だなんて喜ぶことは無く。早く女の身体に戻りたいと思い始めるまで以前の身体に慣れてしまっている。
「な、なぁ……でもこれ、生えたのは良いけど顔付きとか女じゃないか?」
「大丈夫だ。もし女だとバレても下半身で男だと分かってくれる」
これじゃただの男の娘じゃないか。……まあ俺は男だから良いけど!
シンシアは近くにあったソファに座って、少し不機嫌そうに溜息を吐いた。
「気に入らないか?」
「いや……ちゃんと元の身体に戻れるんだよな?」
「勿論だ。安心してくれ」
それなら大丈夫なんだが、下半身にスースーと触れる空気が心地好くて変な扉が開きそうだ。
「本当に……ギリギリ見えないんですね」
「クラリスさんはなんでそんなに姿勢を低くしてるのかな?」
「勿論その服がどれだけ凄いのか確認する為です」
その言葉の裏に俺の下半身のブツを見たいという静かな思いが込められている事を知っている。
「さて、少し男の娘の動作を身につけたら早速神界に行くとしよう」
「いま男の娘って言った?」
「……いや? 性別が雄の子供という意味だ」
なんとなくゼウスに頼るのも少し危険な気がしてきた。
完全に男の娘の動きを身につけたシンシアは、ゼウスに連れられて神界の街にやってきた。
「おぉ〜……本当に神聖な空気を感じるな」
主に白と黄色の2色で統一された街並みは実に綺麗だ。地面が雲のように白くてフワフワしているのも非日常的でまさに『神聖』って感じがする。
「こら、天使の見習いらしく行動するんだ」
「うっ……それ結局男の娘みたいになれって事じゃん……」
ゼウスに教わった通り、恥ずかしい服を着せられて肌が見えないか心配そうに服を抑えて、恥ずかしそうに下を向いている見習い天使のふりをする。
「よし。サラが女神の仕事をしている会社まで案内する。それからは1人でサラに会いに行くんだ。もしも会社員の神に何か言われたら女神サラティーナの新しい天使です、と言えば問題ない」
神界で会社とか会社員とかいう単語が出てくる時点で色々な問題があると思うのだが、もうすぐサラに会えると考えればそんな事はどうでもよく思えてきた。
街中で同じ服装の人達にジロジロと見られたりして緊張しながら、やっとサラがいるらしき建物の前にやってきた。
他の建物と同じく、白と黄色の2色で作られたビルのような建物。入り口は自動ドアになっており、ゼウス曰く神聖な力で電力を使わずに開くようになっている。だそうだ。
"神聖な力で" これを言葉の最初に付けるだけで何でも誤魔化しが聞くんだな。
「ここまで来たら後は簡単だ。あそこに受け付けの天使がいるだろ?」
「あぁ〜いますね」
白い翼をパタパタさせながら眠そうに目を擦っている。
「あの人にこう言うんだ。女神サラティーナ様の元に新しく付いた天使です、合わせてください。ってな」
「男装する意味あった?」
「ここの会社の人に、サラがしばらく休んでいた原因はシンシアという女の子だとバレているんだ」
「あぁ〜……」
じゃあもしもの時の為に男装しないと危ないな。
「……よしっ! ありがとうございますゼウス様。頑張ってサラを説得してきます」
「ああ。頑張れよ!」
ゼウス様に親指をグッと立てられて、やる気が出たシンシアは元気よく受け付けの人の前まで歩いていった。
そして、慣れない男の身体のせいで盛大にズッコケてしまい周りの天使達に心配されてしまった。膝を擦りむいたがすぐに治癒してくれて、それからは話が早かった。
自分がサラの天使だと伝えると、サラがいる場所まで連れていってくれるそうだ。
しかもこの人はかなりの美人な天使。眼鏡が物凄く似合っており、綺麗な脚がバッチリ見えて必然的に下半身が反応してしまった。
久しぶりに勃起したシンシアは、ブツに血が集まっていく感覚と大きくなっていく感覚が恥ずかしくて必死に手で抑えたのだが、反応してしまった事がバレてしまい泣きそうになる。
それなのにこの天使は、ニコニコと俺の頭を撫でてから気にせずに会社の中を案内してくれた。
天使っていうのは本当に優しいんだな〜、と心の底から感謝した。
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