幼女に転生した俺の保護者が女神な件。
119話 学園の皆
父の部屋にやってきたシンシアと姉のコリンは、真剣な表情をしていた。父も何事かと、行っていた仕事を途中で中断して2人の話を聞く事にした。
「サラとどうにかして会いたい。会えなくても会話をする方法を探している。父さん、教えてくれ」
「ず、随分と簡潔に言ったな……いやしかし、父さんでもそれは分からないんだ」
「そこをどうにか!」
シンシアは全力で頭を下げた。
「俺サラがいないとダメなんだ! それをこの数日間で思い知った! だからお願いしますっ!! なんでもしますから!!」
「ほう、何でも?」
シンシアはサラの為にならなんだってする覚悟が出来ている。
「何でもする。***を舐めてやってもいいし、思いっきり**に入れてもいい。俺をむちゃくちゃに**てもいいし、サラに会う為なら父さんの性奴隷にされたって構わない!」
「お前…………本気で言ってるのか?」
「さ、流石に本気な訳ないだろ! それだけの覚悟があるって事だ!!」
父さんと姉は完全にドン引き。どうやら俺の覚悟が伝わらなかったようだ。
「協力してくれないなら自殺してでもサラに会いに行く!」
「わ、分かった!! お前の覚悟はハッキリ伝わった!! で、具体的にどうするんだ」
まず、3人で手分けして神様と接触する方法を探さないといけない。昔俺が通っていた学校の学園長がゼウスっていう最高神だった。
ゼウスに会いに行くのが最善策だろうか。しかし……父さんは異世界に行けるのだろうか。
次の策は大悪魔サタン、サタナキアとも言う。俺を鬱に追い込んだ最低最悪の悪魔であり、ゼウスの友達。アイツには頼みたくないが、ズルい手を使ってサラに合わせてくれる可能性が高い。
他にも何らかの方法があるだろうし、まずはその方法を探す事から始めた方が良い。
「父さんってここから異世界に転移する事って出来るか? ここロシアなんだろ?」
「あ、一応この結界の中は異世界と変わらない空間なんだ。つまり俺もシンシア達が元いた世界に行けるぞ!」
親指をグッと立てる父親の顔がウザい。
「母さんを探すのはついでで、異世界の図書館とかで神に会う方法を探そう。転移は調査隊のルーさんにお願いする」
こうして3人は、以前シンシアがサラと住んでいた街に行くことになった。
◆◇◆◇◆
「2人は図書館に行って本を探してきてくれ。俺とルーさんで学園に行って学園長がいないか聞いてくる」
「ルーさん、シンシアを頼みました」
「任せるっす!!」
街の真ん中で別れて、シンシアはいつもの仮面を付けて学園に向かった。
久しぶりに帰ってきた街の様子は全然変わっておらず、この世界で生まれ育った場所としてシンシアは嬉しくなった。
アイリやイヴ達は元気にしているだろうか。というかアレからどのくらいの月日が経ったのだろう。かなり成長しているかもしれない。卒業とかしてるのかな。
そんなワクワク気分で学園の正門にやってきた。
見知らぬ生徒達も沢山いるが、懐かしい生徒達も沢山いる。皆身長が伸びていて、俺だけ小さいままで恥ずかしくなった。
「仮面外すっすか?」
「ああ。皆俺の顔覚えてるだろうし」
学校の裏側にある職員玄関から入り、すぐ横の受け付けの人に学園長がいるか聞く。
「学園長はなかなか顔を出しませんね。もし学園長を見たら伝えておきます。校内は授業の邪魔にならない程度には自由に動いていいですよ」
「ありがとうございます」
シンシアとルーは校内に入って特別クラスの教室へと真っ直ぐ向かった。ルーはこの学校の事を知らない為、シンシアが案内しながら進む形になっている。
「大きいんすね〜」
「走らないでくださいよ?」
「犬じゃないんすから、安心してほしいっす!」
いつもあの施設の中を走り回ってるの人が何を言っているんだか。
特別クラスに教師に近づいてくると、授業の声が聞こえてきた。
特別クラスは転生者や転移者がほとんどで、基本的に新しい人が入ってくる事は少ない。
「この声……クラリスさんだ……!」
シンシアは少し早歩きになって、そ〜っと教室の後ろから中の様子を見つめる。
クラリスさんがいて、アイリもイヴもアデルもいる。皆いる。皆身長が伸びているものの後ろ姿ですぐに分かった。
するとクラリスさんと目が合った。
「…………」
クラリスさんは、ここにいるのが本当にシンシアなのかと目を凝らしてはテーブルの上にある眼鏡を掛けてこちらを凝視した。
「先生どうしたんですか?」
「シンシア……さん?」
クラリスさんがシンシアの名前を呼ぶと、教室にいる生徒全員がこちらを振り向いた。
「あ、ごめん邪魔し──」
「シンシアちゃんっっ!!」
「久しぶりじゃねぇかこの野郎!!!」
「シンシアちゃん久しぶりだね〜!」
すぐにアイリとアデルとイヴがやってきて、アイリは以前のように抱きついてきた。身長も胸も大きくなっている為かなり苦しい。
イヴも前と変わらず可愛い……いや、更に可愛くなっている気がする。女装のレベルを超えた女装にドキドキする。
アデルは……うん変わってない。
皆大人と変わらないくらいの身長になってしまっていた。
「とりあえず皆さん席に座ってください。シンシアさんはこちらへ」
「は、はい」
「それとそちらの女性は……」
「あ、ウチは後ろで見てるからいいっすよ」
マズい、授業の邪魔したから怒られるか?
そう思ったが、クラリスさんは俺の顔を見て微笑んでいた。
「久しぶりですねシンシアさん」
「……お、おう。なんか……緊張して話し方忘れたな……」
皆が俺を見て興奮してるから、前までどんな風に喋っていたのか忘れてしまった。
「シンシアちゃん、サラ先生はどうしたの?」
アイリが早速その事について触れてきた。元からその話をするつもりだった為、皆に伝える為に少しだけ深呼吸をする。
「ふぅ〜……えっと、サラは女神の仕事に戻りま……戻った」
それを聞いた皆は、何故? と不思議そうな顔をしている。それもそのはず。ここにいる皆はサラと一時期は一緒に過ごしていた仲間であり、シンシアの保護者だと知っているからだ。
「その理由ってのが……俺が前世のお父さんに会ったからなんだ」
「……へ?」
アデルが間抜けな声を上げた。
やっぱり皆そういう反応するだろうと思い、シンシアは前世での死因。サラが俺の保護者になった理由。全てを詳しく説明していった。
そして、シンシアがサラにもう1度会うためにここに帰ってきた事を伝えると、アイリは今にも泣きそうになっていた。
「寂しいよね……私がシンシアちゃんの保護者になるよ……大丈夫……」
「いや、サラじゃないとダメなんだ」
しっかりと断っておいた。
「それじゃあこれからここでサラさんに会う方法を探す。という事になるのね?」
「ああ。とりあえずは学園長に会ってって感じだな」
「でも一先ずは私達から言う事は1つよ。おかえりなさい」
「あっズルイ!!」
クラリスさんは小さな俺の身体を抱きしめてきた。
サラと同じくらい暖かい心で、サラと同じくらい好きな人。クラリスさんに抱きしめられてかなり元気になった。
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