幼女に転生した俺の保護者が女神な件。
64話 教師として
サラとシンシアは一緒に一般クラスの生徒達が待っているグラウンドにやってきた。
「今日は特別クラスの教師私と生徒のシンシアちゃんで! 皆さんに魔法を色々と教えていきますのでよろしくお願いしますっ!」
2人で頭を下げると、一般クラスからは嬉しそうな声が聞こえてきた。
それから授業が始まり、最初はサラが色んな話をした。今回はお試しとしてシンシアが副担任のような役割をする。基本的にサラに任せておいて良いようだ。
「例えばシンシアちゃんは、自分で魔法陣を作ったり改良したりして色んな魔法を作ったりしてます。これは皆さんも作り方を学べばできる事ですが、ただ強力な魔法陣を作ったからといってその魔法を誰でも使いこなせる訳ではありません」
真剣に話しているサラを見ると、普段からこんな風にしてくれると嬉しいな〜なんて願望が湧いてくる。
「シンシアちゃん最近何か新しい魔法作った?」
「……えっ? えっと〜、最近はあんまり作ってないけど設置型の魔法陣なら」
結構前に作った魔法陣を言うと、サラはニコッと笑ってシンシアの背中を押してきた。
「今からシンシアちゃんがオリジナルの魔法を見せてくれるので、いずれ自分も魔法を作りたいという人はしっかり見るんですよ〜!」
そうして授業は少しずつ進んでいった。
◆◇◆◇◆
「あっ、惜しいね。もう少し魔力を細くしても良いかも」
今は自分の周囲に火の玉を漂わせて、それらを自由に操るというテクニック系の魔法を教えている。
これが実用的であるかは別として、魔力操作の練習としては良いだろう。複数の物を同時に動かすのはかなり至難の技である。
「出来たあぁぁぁぁぁあああっっ!!」
「おぉっ! すげぇっっ!!」
やっと1人の生徒がクリアしたようだ。
シンシアはすぐにその生徒の元に向かう。
「おぉおぉ凄い凄い。じゃあ今度はもっと広い範囲まで動かしてみよう。俺の身体の周りまで届かせてみてくれ」
「そ、それは流石に……だぁっ! 無理だ……」
火の玉がシンシアに近づくと、フッと火が消えてしまった。
自分の身体の周り限定では魔力操作の難しい操作が出来たとしても、少し身体から離れれば魔力が途切れないようにしつつ操作しなければならなくなる。
「少しずつ距離を離していく練習をしていこう」
「シンシアちゃ〜ん! もうすぐ授業終わるよ〜!」
と、そこでサラに呼ばれてすぐに生徒達の前に戻る。
「時間経つの早いな。まだ色々と教えないといけないような事が沢山あるんだけど」
「それは次回の授業でって事。とりあえず先生の仕事、できたね」
「ああ。ただ意外と皆できないもんなんだな」
もうちょっと魔法が使えるのかと思ったが、どうやらそれは特別クラスだけらしい。一般的には魔法というのはかなり難しいのだな。
「それじゃ終わろっか」
サラが授業の終わりの挨拶をして、皆はこの場で解散した。
◆◇◆◇◆
「シンシアちゃんどうだった〜?」
教室に帰ってくると、アイリが興味津々に尋ねてきた。
「結構教えないといけない事とか、出来ないといけない事を伝えるのが難しかったよ。時間も足りないし」
「私だったら絶対何を話したら良いのか分からなくなっちゃうから、多分シンシアちゃんは先生の才能あるよ」
「やめてくれ」
褒められると照れて伸びなくなるタイプなんだ。
「あっ、次プールの時間だよ」
「……はぁ……プールか」
この前の1件でプールが嫌いになりそうだが、行かなければならない。
「小プール使えるようになったんだっけ?」
「うん。クラリスさんに言われてサラ先生と私だけで掃除してね」
「ご苦労さん」
クラリスさんまだ怒ってたのか。これからも地味な嫌がらせがありそうだな。
「イヴ〜、今日は水着破くなよ」
「あ、あれはちょっとしたミスだから、ごめんよ」
「よし行こう」
シンシア達はプールに行って、再び戦闘訓練の授業を受けた。
◆◇◆◇◆
「小プールだと動きやすくて良かったな〜」
「あれ、シンシアちゃん日焼けしてきた?」
「うん?」
プール終わりに着替えていると、アイリが肩を指差してきた。
「あっ、ほんとだ」
水着で隠れていた肌は白いが、他は少しだけ赤くなっている。
「今度から日焼け止め塗らないとね」
「日焼け止めか……プールで日焼け止めっていいのか?」
「塗る人はいるよ。私が塗ってあげるね」
「いや……いい……」
アイリが指をクネクネとイヤラシイ動きをしてきたから断っておいた。
さっさと着替えて教室に戻ってきたシンシアは、早速ベネディの背中に飛び乗ってバスタオル代わりにした。
ベネディはあまり嫌ではないようで、素直に受け入れてくれている。
「ベネディのフワフワ気持ち良いな〜」
「今度お腹に乗ってみるか?」
「っ!? いいのか!?」
前から思っていたのだが、ベネディのお腹は一段とフワフワしているから気持ちよさそうだと思っていたのだ。
「家に帰ったら乗せよう」
「ありがとうベネディ! 大好きだっ!!」
シンシアが背中に抱きつくと、アイリはベネディに羨ましそうな目を向けていた。
「アイリも触るか?」
「ううん。私はシンシアちゃんに抱きつかれたいの」
そっちの事かと分かったシンシアは、アイリを無視してベネディの毛を堪能した。
◆◇◆◇◆
それから毎日、シンシアとサラは一般クラス達の教師として様々な事を教えていった。魔法だけでなく、身体強化時の身体の動かし方のコツ、数学。
剣術に関しては、シンシアはさっぱりの知識なので教える事はできない。他にもゾーンなんかも教えてみたのだが、ゾーンに入れた生徒は誰1人いなかった。
そうしてシンシアの教師としての働きは学園内だけでなく、生徒の保護者の間でも噂されるようになった。
──美人で若い女性が色んな魔法を教えてくれる。
──若いのなら19か20歳の女性だろう。
──会ってお茶でもしてみたい。
あくまでも噂であり、それらが正しい情報とは限らない。
シンシアという20歳くらいの女性は、シンシア本人の知らない所で優秀な女性教師として有名になっていった。
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