幼女に転生した俺の保護者が女神な件。
15話 俺が可愛すぎて二人がやばい
「シンシアちゃん起きて〜!」
「ん、おはよう」
最近は起こされても起きれるようになってきた。
「今日はちょっと大人っぽい服着て学校に行こっか」
あぁ〜……そういえば昨日服買ったんだっけ。なんでこっちの学校には制服が無いのだろうか。
「せめて自分で選ばせて。サラが選ぶとろくなもんにならない」
「酷いなぁ〜、でもシンシアちゃんが選んだ服も見てみたいかも。服持ってくるね!」
サラはドタドタと部屋から出ていった。
サラの私服は白いショートパンツと白いTシャツというなんともラフな姿だが、学園に行く時はしっかりとしたスーツを着ることになっている。
制服制度導入を頼んでみるか。
「持ってきたよ〜!」
一先ず派手過ぎす、女の子が着るには違和感のない服を選んで着た。そもそもこの大量の服はサラが俺の為に買った服であり、ほとんどが俺に似合うようになっている。
「カッコイイよ〜!」
「本音は?」
「少し背伸びしてるシンシアちゃん凄く可愛い!」
俺はいくら努力しても可愛いと言われることに変わりはないのだ。もう諦めるしかない。
「じゃあ朝ご飯食べて行こっか」
「うん」
◆◇◆◇◆
「おはようシンシアちゃん。今日は大人っぽい服だね」
「おはようアイリ。もう元気なんだな」
昨日は大変だったというのに、いつもと変わらない様子のアイリだ。
「あんまりあの組織の事については喋らない方が良いかもと思ってね。下手したら狙われるから」
「なるほど。流石アイリ」
やはりアイリは俺の好みの理性的な女性だ。
「なぁアイリ」
「どうしたの?」
「アイリって前世は何してたんだ?」
ふと気になった俺は、なんとな〜く聞いてみた風に装って話しかけた。
「気になる?」
「ま、まあ……アイリって頭良さそうだしさ」
そういうと嬉しそうに笑みを浮かべた。可愛いな。
「私はFBIにいたの」
「えふっ……FBI!? FBIって言ったら、あのアメリカの!?」
あまりの衝撃に椅子から落ちそうになった。まさかアイリ……いや、アイリーンさんが元FBIだったとは……。
「驚いた?」
「そ、そりゃ勿論」
じゃあ年齢は……30? いや25前後? FBIって相当勉強しないと入れなさそうだし、若くはないのか? いや……年齢は聞かないでおこう。
「といっても映画とかでよく見る銃撃戦をしたりとかは無いの。射撃訓練は受けたけどね」
「へ、へぇ……」
話が別次元過ぎて付いていけない。本物の鉄砲とか……すげぇな。
「同期がむさ苦しい男ばっかりだったからシンシアちゃんみたいな可愛い子に目がないの」
「そ、そうなのか……可愛い……」
なんだろう。アイリにそう言われると"可愛い"という言葉も不思議と嬉しく聞こえる。
「シンシアちゃんはどんな人だったの? 性格からして男だけれど」
「うっ……まあ男だけど、18歳の普通の学生だったよ」
「可愛い年頃じゃない。それがこんなに可愛い女の子にね」
自分の名前、俺がこっちの世界に来る原因となった時の記憶がないが、学生生活がどんなだったかは覚えている。お父さんやお母さんは元気にしてるだろうか。
「家族が恋しい?」
「そりゃね。お世話になったんだし」
ふとアイリの方を見ると、まるで母親のような暖かい目でこちらを見ていた。
「な、なんだよ」
「私シンシアちゃんの事好き」
「すっ……!」
その一言で俺、そして経った今教室に入ってきたアデルの時が止まった。アイリはアデルに気づいていないようだ。
「昨日お姫様姿のシンシアちゃんが拘束されてる姿を見て決めたの。もう全部伝えようって」
な、何を言ってるんだこの人は……。
「前に言ったよね。百合が好きで、私達相性が良いって」
「百合……っ」
百合ってそういう事だったのか! 
あの時普通に花の話をしたのかと思っていたが、俺はとんだ勘違いをしていたようだ。
「本格的に付き合わない?」
「えっ……」
回答に困ってアデルの方を見ると、ゆっくり教室の扉を閉めようとしていた。
あの野郎……。
「シンシアちゃんは元男の子なんだから、抵抗はないでしょう? 素直に答えてほしい」
「素直に……」
俺は……アイリが好きだ。けど、なんだろうこの気持ちは。こんな急に好きだったアイリと付き合える事になって、何故か心にモヤモヤした物が現れた。
もしアイリと付き合ったとしてどうなる? 俺が男だったら子作りなんて出来たはずだ。しかし今は女。それも不老という能力を持った俺だ。いずれアイリは寿命で死ぬし、二人の間に本当の愛が生まれるのか分からない。
「どうしたい? 付き合ったら私の身体はシンシアちゃんの物だし、シンシアちゃんの身体を私が好きにしてもいいんだよ。そういうの嫌い?」
目の前で、中学生くらいの女の子がそんな事を喋っていて余計にモヤモヤが生まれる。
自分の中では付き合いたい。でも……どうしたら……。
「話は聞いたよ二人共っ!!」
「「っ!?」」
そこへ雰囲気を壊すように、サラが入ってきた。
「いっ、いつも足音がするのにっ!」
「アデル君が物凄い顔で教室の前に座ってたから足音消して聞かせてもらったよ!」
アイリは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに顔を隠していた。
あのクールで元FBIのアイリでも、こんな表情するんだな。
「私のシンシアちゃんと付き合いたいだって?」
「は……はいぃ……」
どうやら他の人がいるとアイリは羞恥心を感じるらしい。
「シンシアちゃんは私の物。アイリちゃんだけの物にするなんて出来ないよ」
「……だ、だけの物というのはどういう事ですか?」
「よく気づいたね……」
サラはどこからか眼鏡を取り出し、それを装着してカッコよく外した。まるで自分が天才だと思っているように。
「皆でシンシアちゃんを愛そう。そう、百合の花園……」
「百合の……花園……もしかして、サラ先生も……」
「シンシアちゃん限定だけど、女の子を好きになったの」
まずいまずいまずいまずい。このままじゃ俺はこの2人の獣に襲われかねない。襲われたら確実に逃げれない。ここは早めにバッサリ切り落とさねば!
「俺はそういうの無理だから! そういうのするつもりなら2人とも嫌いになるからなっ!!」
なんとも子供っぽい脅し文句だが、それを聞いた二人の表情はこの世の終わりかのように絶望を顕にしていた。
「じゃあシンシア! 女が無理なら俺と付き合わないかっ!!?」
「はぁっ!? アデルも無理!!」
こうして危機から逃れた訳だが、今後もサラとアイリには警戒しないといけない。この2人は危険だ。俺が可愛すぎるあまりに二人の女を獣へと変えてしまったのだ。
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