幼女に転生した俺の保護者が女神な件。

フーミン

5話 シンシアの目標



「シンシアちゃんってお家どこ? 一緒に帰らない?」


 帰宅時間になり、アイリに一緒に帰ろうと誘われた。
 なんとも嬉しいお誘いだが、残念な事に自分の家の場所は分からない。そもそもこの学園がどこにあるのかさえ分からない。何故ならサラに転移でここに連れてこられたからだ。
 転移をした時の感覚は今までと同じく、光に包まれて気づいたらその場所にいたという感じ。


「ごめん。今日は一緒に帰れない」
「そう……」


 断るしかなかったのだが、アイリはとても悲しそうな顔をした。そんなに俺と帰りたかったのか。


「シンシア〜! 一緒に帰るよ〜!」


 と、そこに空気をぶち壊すように教室に入ってきたのは俺の保護者であり女神のサラ。


「えっ?」


 当然、それを見たアイリは困惑している。


「帰る準備できた?」


 しかしサラは気にすることなく笑顔で頭にハテナマークを浮かべている。


「あ、あのっサラ先生」
「うん?」
「サラ先生とシンシアちゃんって……どういう関係なんですか?」


 アイリがついに質問をした。


「私はシンシアの保護者だよ? あ、言ってなかったっけ?」


 さも当然かのように答えるサラに、アイリは思考が停止したのかビクともせずに動きを止めた。


「じゃ、じゃあアイリ。今度一緒に帰ろう、また!」


 そう言い残してサラを教室の外に連れ出した。


「はぁ……」
「どうしたの? 機嫌損ねちゃった……?」
「いや、そういうんじゃないけど……あんまり2人の関係は明かさない方が良いかな〜なんて」


 そういうとサラは暫く考え始めた。そして何か分かったのか、手の平に拳を乗せてニッコリ笑った。


「私とシンシアちゃん2人だけの秘密が欲しいんだね!」
「いやいや」
「じゃあ帰ったら2人で秘密のことしよっ♪」
「あっ待っ──」


 歩いて帰ろうと言おうとしたのだが、言い切る前に2人は光に包まれてしまった。
 秘密のこととやらも気になるが、今は学園から家までの道を知りたい……。


◆◇◆◇◆


「目には入らないから開けていいよ〜? 怖くないから」
「そういう事じゃ……ない……」


 今俺は目の前の光景を見ない為に必死に目を瞑っている。


「気持ちいい?」
「う、うん」


 確かに気持ちいいさ。でもさ、なんで2人とも裸になってお風呂に入るんだ? 何故俺は今サラに頭を洗われている? 今度は身体を洗われるのか?


「自分で洗えるって!」
「だ〜めっ! 手の届かないとこだってあるんだから」


 今目を開けてしまえば、目の前の鏡に写る2人の女体が目に入ってしまう。
 小さな女の子と綺麗な女性の裸……想像しただけで意識が……耐えるんだ俺!


「今度は身体を洗いますよ〜♪」


◆◇◆◇◆


 なんとか意識は保っていたのだろうが、体を洗われはじめてからの記憶がない。
 現在、俺はサラにバスタオルで頭を拭かれている最中である。


「気持ちよかった?」
「……うん」


 覚えてないからなんとも言えない。


「シンシアちゃんの髪の毛綺麗だね〜……私と同じくらいかも」


 鼻歌を歌いながら俺の髪を撫でるサラを、鏡を通して見ていて気になったことがあった。


「ちょっとサラに聞きたいことがあるんだけど」
「何でも聞いていいよ」
「サラはずっと俺と行動を共にするの?」


 今までサラと離れ離れになったのは学園くらいだろうか。それもほとんどはクラスメイトがいる時のみで、俺が一人ぼっちになる事は今までで一度もない。


「うん、私は保護者だからね!」


 保護者の意味が少し違うと思うのだが……。


「じゃあさ、もし俺から一人になりたいって言ってもそれはダメなの?」
「ん〜それは場合によるかな。シンシアちゃんが一人でいても安心できるような場所なら良いけど、危ない所には行かせられないから」


 正直な話、俺は一人でいた方が落ち着ける性格だ。誰かと一緒にいると常に気を使ってしまって、無駄に体力を消費してしまったりする事がある。


「よし、リビングに行こ」


 バスタオルで髪をグルッと巻かれたまま、俺はサラに抱き抱えられてリビングで話すことになった。


「俺さ、こう見えても中身は高校生なんだ」
「うん」


 サラは真剣に話を聞いてくれているようだし、ここは1つお願いしてみるか。


「1人で外を散歩したりとか、1人になれる時間が欲しい」
「家の中は大丈夫だけど……」
「外がいいんだ。サラがいなくても外はあるけるし、危険な場所は自分で判断できる」


 そういうと、サラは初めて出会った時のような真剣な表情で固まった。


「……ごめん。無理だよね」
「いいよ」
「え、いいの?」


 怒られると思って先に謝ったのだが、何故かOKが出た。シンシアならダメと言いそうなのだが、お願いしてみるもんだなぁ。


「でも条件があるけど、いいかな?」
「条件?」


 条件さえ満たせば外に出れるのなら、俺はやるぞ。


「自衛手段。自分の身を守れる為に少しは戦闘を経験する事。明日から私がシンシアちゃんを鍛えてあげるから、それで十分に成長したら1人で外に出てもいいよ」


 戦闘経験か。まあ異世界なんだからいずれ戦わなければならないのは覚悟していた。良い機会だし、サラに鍛えてもらった方が良いだろう。


「ありがとう! でも学校は?」
「私の力にかかれば予定なんて調整し放題だからね! 家で鍛えるも良し! 学校で鍛えるも良しだよ!」


 ふむ、家で鍛えるよりは学校で鍛えた方がアイリとも話せるから良さそうだ。


「じゃあ明日学校で鍛えてくれ」
「分かった! じゃあ今日の夜ご飯は沢山食べようね!」


 そうして巨大な鍋料理を出されたのだが、俺の小さな胃袋には多すぎてあっという間にギブアップした。


◆◇◆◇◆


 そしてサラとの生活が始まってから、初めての夜がやってきた。
 パジャマに着替えた2人は同じベッドで横になる。


「どうしても同じベッドに寝ないとダメなの……」
「だってシンシア可愛いんだもんっ」


 サラがパジャマ姿で俺を抱き枕のように抱きしめてくる為、サラの柔らかい太ももや腕の感触がはっきり伝わってくる。
 それにサラはノーブラだから胸の感触までもが俺の身体に植え付けられていく。そのせいでドキドキしてしまい、ゆっくりと休めそうにない。


 しあわせだけどつらい……休ませてくれぇ〜……。

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