僕は異世界召喚され召喚士になりました。

海美 蒼衣

2✣サボり魔アオバと少女

ぽよよぉぉぉぉーーーーーーん
ぶるぶるぶる
ぼよっぼよっ
ぷるるーーーーーんぷる

 これはなんの音かと言うとスライムである。俺、海響青葉は真昼間から最近仲間にしたスライムレジェンドことイムレと遊んでいた。イムレは今までとても退屈していて俺と遊んだ事が刺激となり仲間になったんだとか。何か名前付けたら中級モンスターから上級モンスターに昇格した事もあり今はよきパートナーとして親睦を深めるべく遊んでいるのだ。

 誤解しないで欲しい、サボっている訳ではない。決してサボっていない。あの時スライムをいっそうしてプチお金持ちになったからって浮かれて遊んでいる訳では無い。

 決して断じてないぞ!

まぁ、そんなこんなで親睦深めていました。

「よし、そろそろ行くぞイムレ」

俺はイムレに声をかけ召喚陣にイムレを戻した。
 どうやら、この世界の召喚士というのは契約したモンスターを召喚陣に【ストック】して必要な時などに呼び出すことでストック状態を解放するのだとか。

 宿の近くまで来たところでリタに呼び止められ俺はクエストを受けに行くことになった。

「んー、今回のクエストは難しめでいいよね?」

リタの問いかけに俺は

「死なないやつなら」

と冒険者らしからぬ言葉で返す。
そんな俺にリタは笑いながらクエストをカウンターに持って行っていた。

「どれどれ、内容は......」




大洞窟の古龍討伐【中級】

人数:1名

報酬500000Rレア




「なぁ、リタ」
「ん、なに青葉?」
「これさ、一人用クエなんだけど」

俺の不安な聞き方にリタは

「わーびっくり間違えちゃったー」

とわざとらしい言葉遣いで口元だけが笑っていた。

「最近の誰かさんは仕事してないからなー」

ぎくっ

「お金があるからって浮かれてるしなー」

ぎくっぎくっ

「そろそろ怒っちゃおうかなー」

そのリタの目を俺は見れないでいる。なぜなら......口は笑っていても目が笑っていないから!!!!!

「申し訳ございません!死ぬ気でクエスト行ってきますっっっ!!!!!」

 俺は思わず土下座をしながらクエストをこなす用意を始めるため宿に向かった。
後ろではリタが

「気をつけてねー」

とお見送りのプレッシャーを浴びせてきた。
(泣きそう)

 そんなこんなで俺は王都をでて大洞窟を目指した。このクエストは期限が3日日間で片道だけで約1日かかってしまうため急がないとクエスト失敗になってしますのだ。(リタ情報)

「お、ここの森突っ切れば近道だな」

ずる賢い俺の頭脳は楽をする道を思いついた。
 しばらく森を歩いていると何かに躓き転んだ。

「な、なんだ...」

後ろを見るとそこに人が倒れていた。

「お、おい。大丈夫か?」

 よく見ると所々傷だらけで多少血が流れている。俺はバックから回復ポーションと包帯などを取り出しありもしない知識をフルに使い処置をした。

(このまま、ここにいてもクエストに間に合わないか...)

「イムレ」

 俺の呼び出しと同時に召喚陣が出現しイムレが出てきた。

「イムレ、この子乗せてくれるか?」

 イムレは「ぽよっ!」と頷きその少女をかついだ...と思いきや飲み込んだ。

「お、おいっ! 餌じゃないぞ、出せ!」

 するとイムレは身体を横にプルプルと震わせながら俺の持ってる回復ポーションを指さし次に王冠を指さした。

「これを、そこに入れろって?」

 俺が聞くと今度は縦に震えた。
イムレの指示通り入れるとなんとイムレが緑色に変化した。

「な、お前こんなこともできるのか!!」

 イムレの身体は自身が取り込んだものと同じ体質になれるらしい、今だと巨大回復ポーションのようなものだ。

「疑って悪かったな......その子頼むぞ」

 俺はイムレに一言謝り再び歩き初めた。イムレは褒められた事が嬉しかったのか照れている。可愛い奴め!

✣✣✣✣✣

「着いたー!大洞窟の入口」

 あれから夜まで休むことなく歩き俺達は何とか大洞窟の入口まで来ることが出来た。

「イムレ、ありがとな」

 そう言ってイムレを陣に戻し大洞窟入口近くでキャンプ場所を作った。少女はまだ目を覚まさない......。

「今日はもう寝るか」

その夜のことだった。何やらゴソゴソと音がしたため起きると、目を覚ましたらしい少女がなにかしていた。

「なにしてんだ」

 俺がふと声をかけるとその少女は一瞬で殺気を放ちバックの中にあったのであろうナイフを俺の首元に突き立てた。

「お前、なぜ目的を知っている」
「うっ、目的なんのか知らねーけどナイフをどけてくれ」
「答え......」

答えろと言いかけた所で少女は俺の方へ倒れてきた。

「大丈夫か?」

俺が声をかけると少女の方からぐぅーーーと可愛らしいお腹の音がなった。

「なんだ、腹減ってんのかよ」
「き、聞き間違いだっ!早く目的を言え!」
「今、ご飯用意するからな」
「く、屈辱だ......」

と威張っている間にもお腹は数回なった。
恥ずかしくなったのか少女は大人しく座っていた。

「お前、名前は?俺は青葉だ」

俺が名前聞くと少女は先程の態度はなんだったのかすっかりと丸くなり答えた。

「ルル......です。」

どうやらまだお腹の音の事を気にしているらしい。
 そして、俺がここにいる理由やルルをここに連れてきた経緯を話し理解してくれた。ルルの目的は教えてくれなかったがまぁ、こいつも冒険者なのだろう。
 そして話を聞いたあとルルは一言

「そうか、お前も冒険者か」

と口にしそこで俺の意識は途切れた。

 そして次の日の朝、キャンプ場には俺だけしかいなかった。

「くそっ、先に行かれたか」

 急いで支度をしていると薪の近くに手紙と少し大きめの長い牙が置かれていた。手紙はどうやらルルからでこの牙を数時間持っているだけで古龍を討伐したことになるのだとか色々と手紙に書いてあった。

 俺の勘違いな気もするが、その手紙は酷く寂しく思えた。




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