獣少女と共同生活!?
第四十四話 佐倉 華と蕾という少女
巫狐さんの一言の後、目の前の扉が開かれる。
部屋の中は病室の様になっており、色々な機材が並んであった。
その部屋の中心にベットがあり、そこに例の少女が横たわっていた。
俺は覚悟を決め、そのベットに近付く。ベットまでの距離は短いが、そこまでの一歩一歩がとても重く、長く感じた。
そして、とうとう少女の元にたどり着いた俺は、深呼吸をした後に顔を覗いた。
すると、そこに居たのは佐倉 華で間違いなかった。
──いや。正確には、佐倉 華であって佐倉 華ではなかった。
見た目は完全に、俺の知っている華さんで間違いない。けれど、何かが違う。何とははっきりは言えないが、何か違和感を感じたのだ。
そして、その違和感の正体はすぐに判明した。
『朝倉さん、聞こえていますか!?』
「この声……もしかして華さん?」
しかし、目の前の華さんらしき少女に変化はない。巫狐さんは声が聞こえていなかったのか、首をかじけてこちらを見ていた。
『はい、佐倉 華です!』
「巫狐さんが首を傾げてるって事は、この声は巫狐さんには聞こえてなさそうか……」
『朝倉さんにだけ聞こえる様です……。それより、大変なんです!』
……なんか、俺が会って喋った事のある華さんとは雰囲気が違くないか?喋り方もそうだが、幼さがあるというか……。
この念話も気になるが、それよりも華さんが焦っているのに疑問を感じたので、聞いてみることにした。
……念話がこちらからも出来るわけじゃなさそうなので、小声で話そうか。
「落ち着いて、ゆっくり事情を説明して。焦っていたら、伝える事が伝わらなくなっちゃうから」
『そ、そうですね……。すいません……』
すぅー、はぁー。と深呼吸の音まで聞こえてくるのだが、コレって本当に念話なのか……?でも、目の前の華さんはピクリとも動いていない。念話って凄いな……。
少し時間が経った後、華さんは落ち着いた様子で話を続けた。
『実は、朝倉さんの目の前の私は今まで会っていた私と別の私なんです』
「それは……どうゆう事だ?」
『今、その目の前にいるのは本来の私。つまり佐倉 華なんです。でも、今まで会っていたのは私ではなく、動物の世界から来た蕾ちゃんなんです』
「蕾ちゃん……か」
つまり、今まで話していたのは佐倉 華と名乗った蕾という少女。そして、今俺と念話で話しているのが本物の佐倉 華……という訳か。
なんか……ややこしい感じはするが、落ち着いて考えれば大丈夫。うん。
そういえば、俺は今まで蕾って子の事を華さんって呼んでたけど、本来の佐倉 華は幼さがあって……はっきり言って、さん付け変だな。変えるか。
そうして少しだけ考え、無難な呼び方にする事にした。
「それで、なんで今はその蕾って子じゃなくて華ちゃんなんだ?」
『それなんですが、今私と蕾ちゃんは身体が別にあるんです』
「……なんだって?」
『見た目は私なんですが、中身は蕾ちゃんなんです。私の姿はここにもあるんですが……』
「つまり、華ちゃんの見た目の少女が2人居るって事でいいのか?」
『はい。そうゆう事になります』
頭がこんがらがってきたが、その事実に安心と不安が生まれた。
佐倉 華が生きていたという安心感。蕾という少女が、まだ何処かで何かをしようとしているかもしれない不安。
……そうと決まれば、ここに長居してちゃダメか。
「大体の事情は分かった。俺は蕾を止めてくる」
『……お願いします。蕾ちゃんを救ってあげて下さい』
「おう、任された!」
俺は両手で自分の頬を叩き、巫狐さんの方を向いた。
巫狐さんはその行為に驚いていたが、何かを悟った様に真剣な目に変わった。
「……巫狐さん、力を貸してください」
「何があったんじゃ?」
俺は1度大きく呼吸をした後、巫狐さんに伝えた。
「詳しくは後で話しますが、華さん──いや、蕾を助けに行きます」
部屋の中は病室の様になっており、色々な機材が並んであった。
その部屋の中心にベットがあり、そこに例の少女が横たわっていた。
俺は覚悟を決め、そのベットに近付く。ベットまでの距離は短いが、そこまでの一歩一歩がとても重く、長く感じた。
そして、とうとう少女の元にたどり着いた俺は、深呼吸をした後に顔を覗いた。
すると、そこに居たのは佐倉 華で間違いなかった。
──いや。正確には、佐倉 華であって佐倉 華ではなかった。
見た目は完全に、俺の知っている華さんで間違いない。けれど、何かが違う。何とははっきりは言えないが、何か違和感を感じたのだ。
そして、その違和感の正体はすぐに判明した。
『朝倉さん、聞こえていますか!?』
「この声……もしかして華さん?」
しかし、目の前の華さんらしき少女に変化はない。巫狐さんは声が聞こえていなかったのか、首をかじけてこちらを見ていた。
『はい、佐倉 華です!』
「巫狐さんが首を傾げてるって事は、この声は巫狐さんには聞こえてなさそうか……」
『朝倉さんにだけ聞こえる様です……。それより、大変なんです!』
……なんか、俺が会って喋った事のある華さんとは雰囲気が違くないか?喋り方もそうだが、幼さがあるというか……。
この念話も気になるが、それよりも華さんが焦っているのに疑問を感じたので、聞いてみることにした。
……念話がこちらからも出来るわけじゃなさそうなので、小声で話そうか。
「落ち着いて、ゆっくり事情を説明して。焦っていたら、伝える事が伝わらなくなっちゃうから」
『そ、そうですね……。すいません……』
すぅー、はぁー。と深呼吸の音まで聞こえてくるのだが、コレって本当に念話なのか……?でも、目の前の華さんはピクリとも動いていない。念話って凄いな……。
少し時間が経った後、華さんは落ち着いた様子で話を続けた。
『実は、朝倉さんの目の前の私は今まで会っていた私と別の私なんです』
「それは……どうゆう事だ?」
『今、その目の前にいるのは本来の私。つまり佐倉 華なんです。でも、今まで会っていたのは私ではなく、動物の世界から来た蕾ちゃんなんです』
「蕾ちゃん……か」
つまり、今まで話していたのは佐倉 華と名乗った蕾という少女。そして、今俺と念話で話しているのが本物の佐倉 華……という訳か。
なんか……ややこしい感じはするが、落ち着いて考えれば大丈夫。うん。
そういえば、俺は今まで蕾って子の事を華さんって呼んでたけど、本来の佐倉 華は幼さがあって……はっきり言って、さん付け変だな。変えるか。
そうして少しだけ考え、無難な呼び方にする事にした。
「それで、なんで今はその蕾って子じゃなくて華ちゃんなんだ?」
『それなんですが、今私と蕾ちゃんは身体が別にあるんです』
「……なんだって?」
『見た目は私なんですが、中身は蕾ちゃんなんです。私の姿はここにもあるんですが……』
「つまり、華ちゃんの見た目の少女が2人居るって事でいいのか?」
『はい。そうゆう事になります』
頭がこんがらがってきたが、その事実に安心と不安が生まれた。
佐倉 華が生きていたという安心感。蕾という少女が、まだ何処かで何かをしようとしているかもしれない不安。
……そうと決まれば、ここに長居してちゃダメか。
「大体の事情は分かった。俺は蕾を止めてくる」
『……お願いします。蕾ちゃんを救ってあげて下さい』
「おう、任された!」
俺は両手で自分の頬を叩き、巫狐さんの方を向いた。
巫狐さんはその行為に驚いていたが、何かを悟った様に真剣な目に変わった。
「……巫狐さん、力を貸してください」
「何があったんじゃ?」
俺は1度大きく呼吸をした後、巫狐さんに伝えた。
「詳しくは後で話しますが、華さん──いや、蕾を助けに行きます」
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