獣少女と共同生活!?

【夕立】

第四十一話 焦る巫狐

とある金曜日。仕事帰りの俺は、明日から休日だという事で少し軽い足取りで家に帰った。
今日の夕飯は……確かオムライスだっけ?コンソメスープも少し凝っていて、色々工夫しているらしい。作り方は教えてくれなかったけど。
そんな調子で家に着くと同時に、家の前に巫狐さんが立っていた。
巫狐さんって、いつも家の中に置いてある扉を使っている筈なのに、何故外に居るのだろうか?
そんな事を考えていると、巫狐さんもこちらに気付いた様で、慌てる様にこちらに来た。

「朝倉、大変じゃ!!」
「そんな慌ててどうしたんですか?取り敢えず、一回落ち着きましょう?」

いつも落ち着いている巫狐さんだが、今日の巫狐さんは顔色もあまり良くないし、何か焦っているのが分かった。
俺は巫狐さんを落ち着かせるため、深呼吸を勧めた後、家の中で話す事にした。巫狐さん、この世界じゃ目立つからな……。
俺と巫狐さんは、リビングではなく和室に入り、何故か2人きりで話す事に。巫狐さんが俺に何かを話すって事は、少なからずみぞれ達の世界が関係しているだろうし、みぞれと秋風さんは呼んでおいた方がいいのでは?と思ったが、巫狐さんにも何か理由があっての事なのだろう。
みぞれは俺達にお茶を出した後、そそくさと部屋を退室した。しかも、何故かそわそわしていたのが気になる……。
しかし、2人きりになった途端に重い空気が変わる。そんな空気に耐えられず、すぐに乾く喉をお茶で潤そうとするが、あまり効果がないように感じた。
巫狐さんは大きな呼吸を1回した後、頭を下げながらこう言った。

「すまぬな、取り乱しておったようじゃ」
「いえ。それより、何かあったんですか?」
「そうじゃな……、何処から話そうか……」

そう言いながら、頭の中を整理する様に考え事をする巫狐さん。その姿に、俺まで緊張してしまい、ついつい背筋をピンっと伸ばしてしまう。
何秒……いや、何十秒経っただろうか。たった10秒でも、今の状況だと数分にも感じてしまう。
そして、とうとう巫狐さんが話し始めた。

「以前、お主に指名手配の女子おなごの話をしたじゃろう?」
「えぇ。見つけたら教えてほしい、とも言っていましたね」
「うむ。その女子だが、見つかった」

華さんが見つかったのか……。巫狐さん達がどの様な対処をするか分からないが、俺も早く説得して辞めさせなければ……。
しかし、それだけなら何故慌てる必要があるのだろうか?
そして、巫狐さんが言った事実に、俺も驚きを隠せなかった。

「──その女子、亡くなっていたんじゃよ」

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