獣少女と共同生活!?

【夕立】

第三十八話 恩返し

「市販の麦茶ですが……」
「ありがとうございます」

とりあえず、テーブルのある席に座らせてお茶を出す。
俺とみぞれは隣に座り、その反対側にお客さんである二人を座らせた。
風華はどうやら、新たに来た女性には逆らえないらしい。文句を言う事はあっても、結果的には指示に従っている。上下関係の様なものが二人にはあるようだ。
とりあえず、話を聞くために俺も席に座ると、早速新たに来た女性が口を開いた。

「お騒がせしてすいませんでした。私はルナと申します。こっちの子が、風華です」
「どうも……。朝倉 誠です」
「えっと……みぞれです」

取り敢えず、全員の自己紹介が終了。ルナっていう名前的に、海外の人だろうか?日本人で金髪は少ないだろうし、海外の方の可能性が高い。
風華って子の方は、赤い髪。髪が短い事もあるのか、元気っ子という印象はすぐに伝わった。
その間も、ずっと風華は俺の方を睨んでいた。こんな子と昔に会っていれば、印象的だからすぐに浮かぶと思っていたが、やはり思い出せそうになかった。
そんな感じで悩んでいると、ルナさんが今の状況を説明してくれた。

「朝倉さんは覚えていらっしゃらないとは思いますが、私達は以前あなたに助けてもらっているのです」
「俺が……君達を?」

そう言われ、赤髪と金髪の女の子を記憶の中から探してみるが、残念ながら覚えていない。そもそも、俺じゃなくて似た人物だったりしないか?とも疑ってしまう。
しかし、俺が覚えていないのは分かっていたと言わんばかりに話を続けた。

「私達は、その助けてもらった恩を忘れられず、いつかその恩を返せないかと機を伺っていました。私達もようやくそれなりに実力が身につきました。ですので、ご迷惑でなければ何かお手伝いさせて頂けませんか?」

そう言われ、俺は黙ってしまった。
正直、手伝われるのはありがたい。だが、悲しい事に俺は彼女達を覚えていない。つまり、見知らぬ人に家の事を手伝ってもらう事になるのだ。
しかし、彼女達は恩返しをする為に色々身につけてきたらしい。それを無下にするのも……。
そんな葛藤をしていると、隣に座っていたみぞれが肩をつんつんと触ってきた。なにその仕草、可愛いんだけど。
そして、みぞれは俺にだけ聞こえる声で話しかけてきた。

「提案なんですが、この家で過ごしてもらって、お仕事を分担するのはどうでしょうか?彼女達の恩返しにもなりますし、一緒に過ごす上での分担でしたら、あまりこちらも気になりにくいと思うのですが……」

ふむ、そういう考え方もあるのか。確かに、それならあまり遠慮せずに過ごせるかもしれない。
しかし、彼女達にも家庭もあるし、家だってある。そんな簡単に上手くいくとは思えないけど……。
とりあえず、今はこの手段しか思いつかないし、提案してみるだけしてみよう。

「提案なんだが、ここの家で暮らしながら家の手伝いをしてもらうのはどうだろうか?勿論、家賃は要らない。食費だけ少し貰うとは思うが、それ以外は基本自由にしてくれて構わない。……どうだろうか?」

その話を聞いて、ルナさんと風華は顔を見合わせて、小声で話し合っていた。
まぁ、そりゃそうだよな……。そんな簡単に家庭を手放せる訳──。

「分かりました。それでは、今晩からお世話になってもよろしいでしょうか?」

うんうん──うん?
それはつまり、今晩からうちに来ますって事?俺は構わないんだが、思っていたより思い切りのいい2人だな……。
俺は頷くと、早速支度をするという事で2人はひとまず帰っていった。
……また、この家が賑やかになりそうです。

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