獣少女と共同生活!?

【夕立】

第三十六話 怪奇現象?

「……えぇ、目標《ターゲット》は現在自宅で休息を取っている様です。……はい、直ちに次の作戦行動に移ります」

通信機を切り、改めて双眼鏡でとある家を覗く。
そこには、報告にあった通りに人間1人と獣人が2人住んでいた。
ようやくここまで来たんだ。作戦もあるけれど、私自身のケジメをつけるチャンスでもある。なんとしてでも、この作戦は成功させなければ……!
そうして、私は双眼鏡をしまい、目的の家へと向かった。


「ふわぁぁっ。今日は天気も良くて気持ちがいいな」
「ですねー」

テレビを見ながら、横になってぐうたらしている俺。みぞれも俺ほどではないが、ソファーに座ってくつろいでいる。
秋風さんは相変わらずビシッと座っていたが、前よりはいい感じに馴染んできている。敬語とかは中々抜けそうにないけれど……。
買い物などの予定がない休日だと、どうしても気が抜けてぐうたらしてしまう。家くらい気を抜いてもいいのだが、だからと言ってぐうたらし過ぎるのも良くない。
けど、コレといって趣味がある訳でもないからな……。こうゆう時は、勇が羨ましく感じてしまうな。
すると、みぞれがいきなりすぅっ……と立ち上がった。そして、周りをキョロキョロと見回し始めたのだ。
流石にその不可解な行動が気になり、俺はみぞれに話しかけてみた。

「どうした?みぞれ」
「いえ……。嫌な予感と、何かいつもとは違う音がした気がしたのですが……」

そう言った後、俺とみぞれで窓の外などを確認するが、特に変わった様子はなかった。みぞれの気のせいだったのだろうか……?
みぞれも気のせいだったのかと思ったのか、俺に苦笑いをしながらソファーに座り直した。
しかし、そこで突如異変が起こった。
さっきまで見ていたテレビが、突如砂嵐に変わってしまったのだ。
テレビは古いものではないし、なんならさっきまで観れていたのだ。
試しにチャンネルを変えたりしてみるが、その砂嵐は変わる気配がない。コンセントを抜いたりしてみても、砂嵐は治らなかった。

「なんなんだ……?」
「いきなりテレビが観れなくなっちゃいましたね……」

流石にこの現象に、みぞれは僅かに震えていた。……俺も、実は足が震えてしまっている。
そんな俺達に追い打ちをかけるかの様に、窓の外からガタンッ!と大きな音が鳴った。
俺とみぞれはその音に過剰に反応し、無意識のうちに2人で近付いていた。
そして、窓の外には明らかに怪しげな黒い影。こんな昼間に、幽霊なんてある訳ないよな……?
そして、勢いよく窓を開けたその影は、こちらに向かってこう叫んだ。

「──朝倉 誠!いざ尋常に勝負だッ!」

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