獣少女と共同生活!?

【夕立】

第三十四話 再会

「ふわぁーっ」

数日ぶりに帰ってきて、しみじみ実感した。
やはり、自分の家が一番落ち着くな……。寝つきが、自分でも驚く位によかった。そして、目覚めもいい。やっぱり、慣れた場所が一番落ち着くんだな……。
ベッドで軽く体を伸ばし、時間を確認。会社がない日に6時起きか……。予定が無いのを考えると、もう少し寝てたかったと思う。
しかし、そんな考えとは裏腹に、目はすっかりと覚めてしまった。
いつまでも布団で座っていても暇なだけだ。取り敢えず、着替えてリビングに行こう。
服を適当に取り出し、着替えて洗面所に。顔と歯を磨いた後、鏡で寝癖を確認し、リビングへと向かった。
リビングには誰もおらず、どうやらまだ2人は寝ている様だった。
リビングには来たものの、特にやる事はない。かと言って、帰ってきたばかりで特に予定も入れてない。一日フリーな事に、まさかこうも寂しく感じるとは……。
少し考えていると、1つだけ案が浮かんだ。
そうとなれば、早めに支度をして出かけるか……。


出かける支度を済ませ、向かった先は駅前の公園。華さんが居れば、思いついた計画を実行出来る。居なければ、散歩やウォーキングにはちょうど良い場所だ。
しかし、もし華さんが来ていたとしても、この広い公園で早々会えるとは思えない。あまり期待せずに探すとするか……。
すると、公園を散歩がてら探し始めて数分。少し離れた所に知っている人影を見つけた。
少し話しかけるのを躊躇ったが、見て見ぬフリはあまりしたくない。話しかけようか。
そう考えた俺は、その人物に近づき、話しかけた。

「文姉、朝早くから散歩?」
「その声……!」

俺が話しかけた途端、目の色を変えてこちらに振り向いた。
そして、俺の姿を確認するやいなや、ぱぁっと顔が明るくなり、俺に飛びついてきた。

「まぁぁぁくぅぅぅん!!」
「おっと……。いきなり抱きつくのはやめてくれよ。ここ、公園なんだからさ」

そんな発言は文姉の耳には届いていない様だった。
喜びと安堵の表情を浮かべ、泣き始めてしまった。それだけ、俺が文姉に心配をかけてしまっていたのだろう。
そして、俺は文姉の頭を撫でながらこう言った。

「ただいま。そしてごめんな」
「うん……。おかえりなさいっ!」

泣きながらだが、文姉はそう言って笑ってくれた。
そんな文姉の姿を見ていると、俺はどれだけ幸せ者なのかがすぐに分かった。
その後は、華さんを見つけることは出来なかったが、文姉と小1時間くらい話しながら散歩をしたのだった──。

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