獣少女と共同生活!?

【夕立】

第八話 みぞれ、会社に行く(後編)

その後、私は秋風さんと共に誠さんの会社に向かいました。
向かう途中は、こっちの世界に来た理由やどんな暮らしをしていたかなど、色々な事を話しました。
秋風さんは、人間の世界についての研究をしており、人間と動物の生活の違いや、擬人化する際の注意などを他の人に知らせるお仕事をしているようでした。
今はその仕事がひと段落し、長期休暇をもらっていて、どうせなのでという事でこちらで過ごしているそうです。
私も人間世界についての記録でこちらに来ましたが、秋風さんはどうやら擬人化した状態でこちらで過ごしていたそうです。
そうする事で、人間との共存が出来るのか。この世界は危害がないのか。そんな事を調べているそうです。
動物の姿で世界を行き来したりは良くある事ですが、擬人化した状態でのお仕事は各動物の中でも一握りしかいないので、そんなお仕事をされている秋風さんはとても凄い人なんだと思いました。
そうこうしている内に、目的の誠さんの会社まで着きました。
緊張しながら入ると、エントランスホールみたいな様な場所に出て、受付窓口が中央にありました。
私と秋風さんはその受付窓口に向かうと、受付の人が話しかけて来ました。

「お客様、お名前とご用件をお願いします」
「えっと、みぞれと言います。朝倉 誠さんにお届け物を届けに来ました」

あまり会社の様な場所は慣れていない為、少し緊張気味でしたが、受付の人はそう一言聞くと何処かに電話をかけ、十数秒で電話を切った。

「みぞれ様、4階で誠様がお待ちです。向かって右側のエレベーターから上にお上り下さい」
「は、はい。ありがとうございます」

受付の人が丁寧に場所を教えてくれたので、ぺこりと頭を下げ、エレベーターに向かった。
秋風さんも受付の人に頭を下げ、小走りで私に追いついた。
エレベーターの中では緊張しているせいか、私達は喋る事がなく、いつの間にか4階に着いていました。
エレベーターが開き、辺りを見渡そうとすると右側の通路から小走りで誠さんが来ました。

「みぞれ、大丈夫だったか!?」
「は、はい。何事もなくここまで来れましたから」
「そうか、良かった……」

私の一言を聞くと、安心したのか少し脱力する誠さん。ずっと心配していたようだった。
そう安心していた誠さんは、秋風さんが一緒に来ていたのに気付き、私に聞いてきました。

「ところでみぞれ、そちらの方は……?」
「あ、申し遅れました!私、すずめの秋風と申します。貴方様が朝倉 誠様で?」

秋風さんは丁寧に誠さんに挨拶をする。誠さんはちょっと驚きながら同じく頭を下げて挨拶をしました。
誠さんは、秋風さんの質問に対し頷きました。
すると、秋風さんは私の顔を見て、今言うと言う合図を出しました。

「えっと、誠さん。お願いがあるんですけど……」
「……予想はある程度つくけど、どんなお願い?」

誠さんは私がお願いがあると言うと、秋風さんの顔をチラッと見た後、私に聞いてきました。
恐らく、もうどんなお願いかは分かっていて、返事も決まっている。けれど、本人の口から聞きたい。そんな感じだと感じました。

「秋風さんを、うちに住まわせるというのは大丈夫ですか?」
「勿論、食事や掃除、洗濯など家事は一通り出来ますので、全て任せて頂いても結構ですので!」

私がお願いを言うと、秋風さんは付け足しをしてきました。
秋風さんはそれほど本気だと、これで誠さんに伝わったはずです。後は誠さん次第ですね……。

「……みぞれ、秋風さんと居る時間は楽しいかい?」
「は、はい!まだ少ない時間ですけれど、楽しいです!」
「そうか。秋風さんは?みぞれと一緒に居るのは楽しい?」
「はい!新たに学ばさせて頂く事もありますし、初めてこちらの世界で同じ動物の友達が出来て……嬉しかったです!」

私も秋風さんも、誠さんに同じ質問をされ、2人とも「楽しい」と答えた。
それを聞いた誠さんは、安心した顔で私達に話しかけた。

「ならいいでしょう。秋風さん、これから宜しくね」
「──っ!はいっ!」

秋風さんは少し涙を浮かべ、笑顔で返事をしました。
誠さんも何処か嬉しそうで、私も嬉しくなりました。

その後、私達はお弁当を誠さんに渡し、家へ帰ることにしました。
誠さんは、「20時までには帰る」と言って、私に夕飯を頼んできました。
私と秋風さんは、お互い顔を見た後、2人で夕飯を作ることにしました。
こうして、私と誠さんの家に新たな住人が増えました。

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