世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

森の民

最近冬に近づいてきた。


 ルークとカレンがお風呂に入ることに成功してから、二週間が過ぎ、目的地の近くまで来ていた。

「あと少しで、着くはずだぞ」
「いや〜。長かったですね。流石にお尻が痛くなったよ」
「そんなもん、カレンなら一瞬で治るだろ」
「そうだけど、気持ちの問題ですよ!」

 そんな感じで、馬車を走らせていると、目の前から弓矢が飛んできた。それをガシッとルークが掴む。

「あいつらは、変わらないな」
「どうかした?」

 ルークは昔に来ていたことがあり、同じような事をされた覚えがあるのだ。

「隠れてないで出てきてくれないか? 怪しいもんじゃないから」
「いやいや、それが一番怪しいよ」

 カレンの言う通りである。

「まぁ、出てきてくれないか。だったら、進むか」
「このまま進んで大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。それに、すぐ出てくる羽目になるさ」

 それから、小一時間ほど進む間にも、七、八回同じような弓矢が飛んできた。
 ある時は毒矢で、ある時は七、八本同時に、ある時はどでかい弓矢が飛んできた。
 そして、弓矢を放ったであろう張本人が出てきた。

「おい貴様ら! 我らの村に何の用か!?」

 髪の長い金髪で、耳が尖っていて、とてもイケメンが出てきた。そう、エルフである。

「エルフの村に用があって入りたいのだがいいだろうか?」
「無理だな。何か、招待状が無ければ通すことはできない。無ければここからされ!」

 ルークとカレンが門前払いされるかと思ったが、ルークがアイテムボックスからあるものを取り出した。
 それを見たエルフはとても驚いている。

「な、なぜ貴様がそんなものを持っている!? それは、先代の族長がたった一人にお造りになられた品だぞ!! まさか、それが貴方だとでも言うのか?」
「そうだぞ。確か、その時の族長はアガパンだったよな」
「そうだ。アガパン様だ。まさか……」 

 その後、そのエルフは同じように弓矢を放ってきていたエルフにこの事を現族長に話してくれと、命令していた。

「すまないが、ここで少しの間待っててくれないか? いま、族長を呼んできているのでな」
「あぁ、わかった」

 それから、待つ事二十分ほど。

「お待たせしました。私はエルフ族族長のアザミと言います。これから宜しくお願いします」
「俺は、ルークだ。そしてこっちが」
「カレンと言います。こちらこそ、宜しくお願いします」
「それでは、中にご案内します。付いてきてください」

 そして、中に入ると、木をくり抜いて作られたであろう家と、それを繋ぐ吊り橋。そして、それを照らす太陽の光がとても、幻想的な雰囲気を醸し出していた。


エルフは用心深いです。

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