世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

side〜カナハルム〜意外な報酬

 カナハルムが教会に呼ばれて、教会に向かうと、ユリーカさんがお出迎えをしてくれた。

「お待ちしておりました!! カルさん!!」
「もう大丈夫ですか?」
「はい! この通り、ピンピンしてますよ!」

 ユリーカさんは、とても素敵な笑顔を向けてきた。

「さ、助けてくれたお礼をしたいので、こっちに来てください!」
「うわぁっと」

 ユリーカさんは、カナハルムの手を掴んで、教会の中に入っていく。

(ユリーカさんって、こんなに積極的な人だっけ?)

 カナハルムがそんな疑問を心に浮かべていた。

「ささ、ここで待っててください」

 連れてこられたのは、待合室的な何かだ。
 そこで、五分ほど待っていると、ユリーカさんが麻の袋を持ってきた。
 ドサッっと机に置く。結構な質量を誇っている。

「これが一つ目のお礼です」

 中を見てみると、金貨が数百枚入っていた。

「こんなに、貰えませんよ! これは返します!」

 カナハルムはそれをユリーカさんの方に押し返す。

「それは、ダメです! 聖女を救ったんです。それくらい出さないと、聖女の名が地に落ちます! なので、貰ってください!」

 結構な気迫で言いくるめられてしまった。

「う、分かりました。貰います」
「はい! そして、二つ目のお礼ですが」

 ユリーカさんがもじもじして、顔を赤くして、こっちをチラチラと見てくる。

「二つ目のお礼って何ですか?」
「えっと、それは、その……。わ、私をカルさんの旅に。ど、同行させて下さい!!!」
「え!?」

 なんと、二つ目のお礼が、ユリーカさん本人とは全く思ってなかった。

「それは、流石にダメなんじゃ……。聖女でしょう」
「だめ、ですか?」

 上目遣いでそんなことを言ってくる。こっちが悪い気がしてくるからやめてほしい。

「だめ、じゃないですけど。聖女が旅に出るって良いんですか?」

 聖女の後ろに立っている人に聞いてみた。

「本当はダメです。しかし、聖女様も決意が固いみたいで、説得できませんでした」
「そ、そうですか」

 ユリーカさんは、こっちをじっと見つめて、答えを待っている。

「わ、分かりました。一緒に旅をしましょう」
「ほ、本当ですか!? カルさんと旅に……。楽しみ」

 ユリーカさんは本当に嬉しそうな顔をしている。

「それでは、これからよろしくお願いします。ユリーカさん」
「むっ。敬語はダメです。ユリーカって呼んでください」
「えっ? いや、流石にそれは」
「ユリーカです。それ以外は許しません」

 ユリーカさんは、とても頑固な性格らしい。意外だ。

「ユ、ユリーカ。よ、よろしく」

 ダメだ! 恥ずかしい!!

「うふふ、かわいい反応してくれますね。ますます、好きになってしまいます」

 最後の方はよく聞き取れなかったが、ユリーカの意外な一面を見れた気がする。もしかしたら、こっちが素なのかもしれない。

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