俺は5人の勇者の産みの親!!

王一歩

第55話 美女の足蹴


 ◆◆◆◆◆◆

 カノンは俺を暗い暗い密室に閉じ込めると、濃い緑色の結界でさらに閉じ込める。
 カノンは気分が収まらないのか、俺をベッドに叩きつける。

「リュート……。言ったよね? 女の子とエッチするのは世界のためだって。なんで手を繋いで部屋に入って来たの?」

 カノンは靴を脱ぐと、足を裸にする。
 ベッドに上がると滑らかで艶やかなカノンの足が俺の顔の前に来る。
 俺は美脚を舐めるように足の指、ふくらはぎ、太もも、そしてパンティーに食い込んではっきりと形がわかる彼女のお肉を眺める。
 俺は鼻息を荒くする!
 キュッと締まった割れ目がエロい!

 瞬間、カノンの可愛らしい生足が俺の顔に擦り付けられる!
 長時間靴を履いていたからなのか、彼女の御御足からはムンムンとした煙が上がる……!
 け、結構強い匂いが……!

「おっ、まてまてカノン! 言いたいことは分かるから落ち着けって! たしかに度が過ぎたとは思う! だけど、靴脱いで踏むこたぁねぇだろ!」

 カノンの体重が俺の顔に押し付けられる。
 鼻が折れかけてるのに、俺はどこか喜んでしまった、というのもこんな美女に足蹴にされる日が来るなんて思ってなかったからだ!

「リュート……? 可愛い可愛いアイネちゃんとイチャイチャして楽しかった? 楽しかったよね、ニヤついてるその顔を見れば分かるわ。次、腹立つ顔を見せた時はもっとご褒美をあげるから覚悟しなさいよね!」

 カノンの親指が鼻の穴に入って来る!
 カノンの艶かしい足の指が俺の頰を擽って気持ちいい!
 綺麗に塗られた透明なマニキュアが俺の性欲をさらに掻き立てる!

 俺はもう耐えきれず、カノンの臭う生足の裏をペロッと舐めてみる。

「きゃっ! 何してんのリュート!」

 カノンは卑猥な声を上げると、足の指をぴゅっと伸ばした。

「……そんなこと言って、今からご褒美あげるのは俺なんだからなっ! 覚悟しろよカノン!」

 俺はカノンの足を退けて、カノンの腰を力づくで引っ張る!
 骨抜きにされた彼女の体を俺の体にくっつけると、目の前にカノンの顔が現れた。
 いわゆるベッドインってやつだ。

 童貞だよ、俺は。
 でも、やり方はなんとなく分かってる。

 ここはカノンの強力な結界の中の密室。
 カノンは俺の顔を見ると、のぼせたような顔をする。
 ……俺は男なんだぜ?

「……リュート。私ね、本当はリュートが他の女の子に触るのも触られるのも嫌なの。でもね、私頑張ったよ? リュートが他の女の子とエッチするの、我慢したよ?」

 カノンは目を瞑って笑う。
 鼻の頭が赤くなっているのは何故なのか、そんなことはどうでもいい。
 俺はただ目の前にいる天使の頬を撫でて、顔を見つめることが何よりも大事だった。

 ポツリと俺の顔の上に水滴が落ちる。
 笑いながら泣くやつがあるかよ。

「……俺はカノンが好きだよ。彼氏を信じろって。確かに俺は男だ。アイネとエッチしたし、正直アイネの魅力にも惹かれてしまった」

 カノンは俺の話を聞きながら、一粒、一粒と雫を頰に垂らして来る。
 カノンの唇が震えだすと、俺はそれを止めるために右手の親指で撫でてやる。

「でも、カノンが一番好きなんだって心の中で証明できる機会だとも思ったんだ。もっとカノンのことが好きになれる、カノンの方がどんな女の子よりも上位の存在であることを確信できるいい機会だってね」

 カノンは俺の親指をパクッと加えると、先っぽをペロペロ舐める。
 ピンク色の舌が俺の親指に絡みつくと、唇の緊張が少しずつ緩んでいく。

「……逃げるのは得意だよね、リュート」

「ちげえって。カノンと正面から向き合いたいから心の中をそのまま言ったんだ。俺はカノンに嘘をつく気はねぇよ。だって、俺の彼女だからな。俺を信じてくれよ、お前のことはすげえ信頼してんだぜ?」

 カノンは俺の指をわざと音を立てて舐めだす。
 雨はいつの間にか止んで、陽の光が薄っすらと顔を出す。

「……信じるよ、リュート。バカだよね、リュートにエッチしなさいって言ったの私なのに嫉妬して。束縛されるの嫌だよね? ごめんね?」

「……バカ言えよ、最初っから束縛してただろ。会った時からなんも変わってねぇよ」

「ほ、ほんとごめん。リュートの理想の彼女になれるか心配だなぁ」

 俺はカノンの唇から指を抜いて、両手でカノンの首を頭の方に持っていく。
 いつの間にか俺の体に乗っかった裸足の女の子。
 彼女の体重を全身で感じながら、ゆっくりとカノンの額と俺の額をくっつけた。

「……束縛なんてよせよ。『寄り添ってくれる女の子』だって俺は思ってるからよ。俺はそう言う一面全てが大好きなんだぜ?」

「……!」

 カノンは四つん這いだったのに、急に俺に全ての体重を預けた。
 俺の頰に手を当てるためである。
 胸の柔らかさを服越しで感じたから、堪らなくなって熱くなるカノンの体をさらに強く抱き寄せた。

「私も、全部大好き、リュート!」

 カノンの熱いものが俺の舌先に当たる。
 ぐちゃぐちゃになった俺たちの間の体液が、ぴゅっと唇から飛び出す。
 そうなってしまうほど、カノンの舌の運動は激しかったのだ。
 初めてキスした時はただ中を探るくらいだったのに、今回のカノンは俺の全てを奪ってしまうほどに激しくなっている。
 それほどカノンの中の欲が溜まっていたのだろうか。

「もっとぉ……もっと奥まで入れてよリュート!」

「は、激しすぎる!」

「これくらいじゃないと私の魔力は全快しないのっ! お願い、お願いっ! もっと気持ちよくしてよっ!」

 カノンは再び俺の唇に空気を送り込むと、力強く中身をかき回す。
 唾液をびゅるびゅると吸い込んでカノンは喉を潤していく。
 その喉の動きがえっちすぎて、俺はもう我慢ができなくなって来た……!

「カノン……指……挿れるぞ?」

「いいよ……? 優しく……してね?」

 俺は優しく笑うカノンの了承を得たので、尻に右手を滑らせながらカノンの茂みの中に手を入れていく。

「……もうちょい太った方がいいんじゃないか? 筋肉質すぎるだろ」

「……やっぱり? ムチムチの方が好きなんじゃないかって思ってたよ」

「ほら、こんだけしか肉が掴めないじゃん。俺はもっと摘み心地のあるお腹がいいなぁ」

「……摘まないでよぉ……もう、リュートの変態」

「カノンの方が変態だろ? ほら、こんなにびちょびちょにしちゃって」

「し、仕方ないでしょ、リュートに触られると量が多くなるの」

 カノンはニヤケながら俺の頰を舐める。
 俺は焦らすように股の間のぷるぷるお肉をなぞってやると、カノンは痺れたかのように体を揺らす。
 吐息が顔にかかると、それだけで俺は気持ち良くなってしまいそうになる。

「……焦らすの好きだね。殴るわよ」

「ご褒美をすぐにあげるのは味気ないだろ? これは前戯の前戯。カノンだって楽しんでるくせに」

「す、す……好きだけど……。リュートの意地悪、バカ、変態」

「あ、そう言うこと言うんだ、やめよっかな」

「……もうっ! わかったわよ! 好きにしなさいよ! 私はリュートの彼女なんだから! 好きなように触ればいいじゃない! ぷんっ!」

 カノンは頰を膨らませると、キュッと股を締める。
 ま、そんなことしたって俺の指をねじ込む運命は変わらないけどな。

 俺はそっと指で歪なお肉をなぞる。
 ピクピクと震えながら早く犯してくれ、掻き乱してくれと俺の指を誘う。

 俺はゆっくりとカノンの口の中に指を入れていく。
 すると、カノンは大きな声で喘ぐのだ。
 これからが本番だ。
 カノンを絶頂の彼方へと飛び立たせるために、筋肉を激しく動かした。

 ◆◆◆◆◆◆

 ガラガラガラ。

 みんなのいる部屋に入ると、アリアがすぐ目の前に立っていた。
 待ちきれなかったのか、ウロウロしていたようだ。

「りゅ、リュート様! 遅いじゃありませんの! カノンとそんなに長くエッチする必要があったんですの?!」

 アリアは俺にずいっとよると、カノンが顔の前に腕を出す。

「まぁね。リュートったら、私が好きすぎて興奮してハッスルしちゃったのよねー。時間長くてごめんねぇ? 『俺はまだカノンと一緒にいたい』って抱きついて来た時は笑いそうになったわよ」

 は、はぁぁ?!
 何言ってんだよカノン!

「う、嘘ですの! そんな子供みたいなこと言うわけありませんわ! そうでしょう! リュート様!」

 アリアは俺の方を見ると、『違いますわよね?』って顔をする。
 しかし、後ろから何やら威圧を感じる。
 俺は心の中で長い溜息を吐きながら、カノンの体を抱き寄せる。

「いやぁ、やっぱり彼女エネルギーチャージしないとなぁって思ってな! うん! そう言うことサっ!」

 俺は半ば強引に展開を持っていこうとする。
 このままでは、またカノンがどんな嘘を言い出すかわからないからだ。

 ……。

『リュートっ! あと一回だけっ! あと一回だけお願いっ!』

『ダメだって! もう30分もここにいるんだぞ?!』

『やだっ! こんだけじゃ満足な魔法撃てないもんっ!』

『嘘こけよ! 駐輪場のアレだけで充分魔法使えてただろ!』

『やだやだ! 早く指入れてよぉ!』

 ……なんてやり取りをしてたのをこの場で言えば確実に恥辱でカノンはここから身を投げ出すだろう。
 彼女は他の王女に対してものすごく高貴でありたいと思ってるからなぁ。
 ここは、カノンを立ててやるか。

「カノンが好きすぎて困っちまうぜ! やっぱりカノンが最高だな! 全く、カノンとの体の相性バッチリだ★」

 俺はカノンの胸を揉んでアリアにウインクした。
 これで、『俺はカノンにベタ惚れなんだぜ』アピールはできただろう。
 満足したか、カノン?

 ……すると、アイネがポロポロと涙を流し始める。

「……リュート様、私よりもよっぽどカノンの方がいいんだ。そんなに断定しなくてもいいのに……。悲しい。最低だよ」

 アイネは両手で顔を抑えると、体の奥深くから青黒いオーラを放ち始める。

 テルはアイネから離れると鼻をつまむ。

「ちょ、待ちなさいよアイネ! こんなところでそんな魔法使わないでよ! みんな、早くこの部屋から出て!」

 テルは窓を開けると、スッと姿を消す。

「ちょ、テルさん! 何が起きて……臭っ! なんだこの臭い!」

 エータはアイネの魔法から逃げ遅れると、パタンとその場で倒れこむ。

 メロとフーガもその魔法から逃れるためにドアの方に走ってくる。

「ま、まずいですよ季本さん! あなたがアイネさんを刺激したせいで魔法を発動させましたよっ!」

「な、まてまて! 俺のせいなのかよ!」

「あ、当たり前でしょリュート! とりあえず、私の胸から手を離しなさいっ!」

 赤面したカノンは、思いっきり俺の頰を引っ叩く!
 その勢いで俺はアイネのいる方へ飛び出してしまう!

「き、季本っ!」

 メロが俺に叫びかけた時には、俺の体はもうアイネの餌食となっていた。

 アイネの黒霧に首を絞められると、ゆっくりとアイネの方へ引きつけられていく……!

「……アナタ、ワタシヲウラギッタ。……ユルサレナイヨ、ワタシノオシリヲナメナサイ……!」

 そう言うと、アイネはパンティーを脱ぎ始める!
 俺はこの臭いを嗅いだことがあった!
 この雌の匂いと掃除されてない公衆便所の臭い……!

 俺はその臭いを間近で鼻の穴に押し込んだことがある!

 真っ黒になったアイネは純白のパンティーを脱ぎながらお尻を突き出した...その時だった!

「……ったく、何してんだリュートぉ!」

 俺の胸の中から急に黒い塊が飛び出した!
 それがアイネの体に食らいつくと、一瞬で魔法陣を作り出す!

「ベルティマ・アストコーゲ・エマデルフェリア!」

 男はそう叫ぶと、アイネの魔法が打ち消された!
 彼女が黒い霧から解き放たれると、パンティーを下ろした状態のまま、お尻を出した状態のまま倒れこむ。

「アイネっ!」

 俺はアイネに駆け寄ろうとすると、シルクハットを被った男が俺の前に腕を出す。

「女性に恥をかかせる男は半人前だ馬鹿野郎! 1人の女だけを愛するなんざ人間失格だぞ、リュート!」

「……お、おう。てか、お前誰だよ」

「サリエリだっ! 二度は説明せんからな!」

 俺はそのサリエリなる男にシルクハットを渡される。
 そして、サリエリは脱ぎかけのパンツを掴むとアイネにゆっくりと履かせてやる。

「怪我はないか、東の王女」

 青髪の女の子を抱き寄せると、まもなく彼女は目を覚ます。

「だ、大丈夫……です……」

「そうか、ならばよかった」

 そう言うと、サリエリはアイネの胸に手を当てた。
 ピクンと彼女は体を揺らして、顔を赤くしながらサリエリを見つめる。

「……心の怪我は癒そうか? 癒なければ俺が看病してやるぞ?」

 サリエリはアイネの目を見つめながらキザなセリフを飛ばす。
 対するアイネはボフっと湯気を出しながら下を向く。

「……少し、胸が痛むかも」

「そうか。それでは、完治するまで俺があなたのかかりつけの医師になろう」

 ぼふふっ!

 アイネは顔を真っ赤にしながら縦に首を振り続けるだけだった。

 その男は彼女をお姫様抱っこしてベッドの上に寝かせると、俺の方を振り返ってシルクハットを要求した。

「……リュート。クールになれ。お前が愛したい人間は一人だけじゃないだろ? みんなを幸せにすることを考えろ。さぁ、次の王女の元へ行け。俺が東の王女に責任持って謝罪しておく」

 サリエリはシルクハットを被ると、アイネの頭を撫でる。

 自分の浅ましさに情けなさを感じて、俺はアイネに頭を下げる。

「……アイネ、悪かったよ。あんなデリカシーないこと言ったらダメだよな。本当にすまなかった」

「……私こそごめん、リュート様。あなたには本当に大切な人がいるのに、それを横取りしようとしてた私が何処かにいるんだわ。これは、世界を救うための試練なの。辛いけど、これを乗り越えないとダメなのよね」

 アイネは俺の方を見るとゆっくりと笑った。
 俺は、記憶が無くなる前のアイネのことをよく知っている。
 無邪気な笑顔の裏には、きっと深い深い闇が潜んでいるのだ。
 ……これ以上アイネ、女の子を傷つけるわけにはいかない。

「さぁ行こう、アリア。世界崩壊までもう時間がない」

「え、えぇ! 分かりましたわ!」

 俺はアリアと手を繋いで歩き出した。
 そう、もう時間は残されていない。
 約束の時間まで時を刻む秒針。
 その針が心臓に突き刺さる前までに王女全員と満足するようなエッチをしなければならない。

 この世界を壊させるわけにはいかない。
 そして、彼女たちを傷つかせるわけにもいかない!
 ……カノンを失うわけにはいかない!!

 だから、俺は王女たちとエッチをする。
 全てを守るため、カノンを守るために。

 ★★★★★★

 私は人狼の力で姿を消しながら、病院の外壁の上を歩いていた。
 久しぶりに垂直立ちしたから、少しだけ足がすくみそう。
 赤い髪のツインテールがゆらゆらと揺れてすごく鬱陶しく感じてしまう。
 風が……今日は騒がしいわ。

 そっか、アリアの次は私の番か。

 夢にまで見たリュート君とのエッチ。
 ここに来た最大の理由、そしてチャンス。
 私はリュート君の精液をたっぷり出してもらって妊娠するんだっ!

 って意気込んでた私のきゅんきゅんハートはどうやら心臓の血液とともに体の内側に流れて言ったみたい。

 きっと血管のどこかでその想いが引っかかってるんだと思う。
 指先が、お股がリュート君に触れて欲しいって言ってるのが分かる!
 ……でも、死んでしまう前に私は大切なものを手に入れてしまったことを思い出してしまう。

『テル。俺、君のことが会った時から好きだったんだ』

 その言葉が脳から離れないよ。
 この次元にいるエータはエータだけどエータじゃない。
 あの時、私が庇ったエータじゃない。
 あの時、キスをしたエータじゃない。
 あの時……命と引き換えに守ったエータじゃない。

 なのに、なんで忘れられないの?

 私は壁に張り付いたまま、体操座りをする。

 どうせ人狼だ、誰にも見られていることはない。
 そう、誰も私を見てくれない。
 零れ出る涙は春風に乗って遠くへ遠くへ落ちて行く。

「……今のエータは誰が好きなのかな?」

 そう呟いても、どうせ彼には聞こえない。
 そう、救ったあの命にも。

『だから、俺はここからずっと離れないよ?』

 ……私を抱きしめてよ、だったらさ。

 つづく。

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