俺は5人の勇者の産みの親!!

王一歩

第26話 パンティーお返しします

 
 唇の周りがぐちゅぐちゅする。

 俺とカノンは、急いで教室から出る。
 あれからというもの、結局30分も教室の中でイチャついてしまっていた。
 ギャラリーも諦めたのか、全員次の授業に行ってしまい、カメラを構える人間は誰もいなかった。

「……あのね、リュート」

「なんだ?」

 カノンはまだプルプルと震えていた。
 唇についたソースが、カノンの頰についている。
 あれだけ激しくキスをすれば、そりゃ変な場所までソースがつくだろう。
 そのせいなのか、なんだかあたりが臭い。

「あの、リュート」

「どうしたよ?」

 カノンはもじもじしながら、顔を掻く。
 目がウロウロと迷子になり、俺を探しきれない。

「……カノン? 言ってみろよ?」

「……。はずかしぃ……けど、うん……」

 カノンは決心ついたのか、横目で俺の瞳をちらりと見る。

 俺は優しい表情でカノンを見ると、カノンはビリッと体が跳ねる。

 ムズムズ。
 ムズムズッ。

 カノンはなんだか股を掻きながらソワソワとする。

「……あのね、わ……私、実は、魔法が当分使えなくなったのよね」

「うん」

「……でね、私、エッチな気分になった時ってすごく濡れちゃうんだけど……」

「お、おう」

「でね、私、いっつも多いから魔法で制御してたのよね……」

「お、おう」

「だから、魔法が使えなくて……その……」

 カノンは着ていた服をビッと股間まで下げる。
 プルプルと震えながら、俺から目を逸らす。
 さっきからカノンはチマチマと歩いてなかなか前に行こうとしない。

 幻聴だろうか、なんだかピチャピチャと何か粘液が音を立てている気がする。

 そして、カノンは唇をぷるぷるとしながら開く。

「……愛液で……びちょびちょ……だと思う」

「おう……え?」

 カノンは、真っ赤になって、両手で顔を抑える。

「パンツ……変えがない……!!」

 なっ、なんですとぉぉぉぉ!!

 なぜだかわからないが、俺の俺がピクンと反応する。
 しかし、それは行く場を失い、ズボンの中で混乱する。

 何が言いたいのかは、すぐにわかった。

 今日、俺はカノンのパンティーを履いている。
 カノンの小さな小さなパンティーは、俺の体に吸い付いて膨らむ。

「……リュートの履いてるパンツ……ください……」

 カノンは口がへの字になって、今にも泣き出しそうになる。
 ヌルヌルするのか、内股になって俺に懇願する。

 やばい、さっきの戦いでチビってんのに、そのパンティーを履こうと言うのか?!

「……いいけど、俺はどうすりゃいいんだ?」

「……ナプキン……買ってきて欲しい。それで魔法の代用になるから。でね、あそこの多目的トイレで一緒に着替えよ?」

 なっなんですとぉぉぉぉ!!

 俺はその意味を理解しきれない。
 いや、理解すれば、確実にマグナムがカノンのパンティーを貫きかねない。
 なんて、幸福なことか。

「わかったよ、買ってくる。多目的トイレの前で待ってろ」

「うん……」

 ヌルヌルとする股を出来るだけ抑えながら、カノンはゆっくりと歩き出す。

 なんてこった……!
 エッチなお汁って魔法で止められんのか!
 知らんかった!
 てか俺もオシッコでヌルヌルするんだが、股が!

 俺は急いで売店に入り、ナプキンを鷲掴みして売店のお姉さんに出す。

「これください!!」

 ポスッと音を立てて目の前にナプキンを繰り出しされたお姉さん。
 彼女は俺の顔を見るとギョッとする。

「あ、はい……」

 ぴっ。

「350円です」

 俺は急いで財布を取り出して中身を確認する。
 ジャラジャラと悲鳴をあげる財布の中身。

「……彼女さん……のですよね?」

「そうですよ!」

「ですよね、よかったー」

「はい! もうやばいんです!」

「彼女さん、もしかして漏らしちゃった……とかですか?」

 俺は100を3枚と10円玉5枚を机の上にバンッと出す。

「これから交換するんです、パンティー!!」

「……え、交換? え! えぇ?!」

 そして俺は、ナプキンをまたも鷲掴みして走っていった。

 俺は急に恥ずかしくなった。
 売店のお姉さんの顔……!
 ドン引きしてたぞ、なんでだ?!
 くっそぉ!
 あの子結構可愛いのに、ドン引きされた!
 チクショぉぉぉ!

 ◆◆◆◆◆◆

「お待たせ! カノン!」

 カノンは、多目的トイレの前で内股の状態で立っていた。

「うん……。ありがとう」

 情けない姿の王女は、もはやプライドなどという言葉を考えることができない。

「じゃ、入るか」

「うん」

 目の前に立ちはだかる、壁。

 その壁には、取っ手が付いており、スライドすれば、そこにはかなり広い部屋がある。
 トイレが付いていて、大きな鏡まである。

 なんか、ラブホテルに初めて入るカップルみたいだな。

 そんなことカノンに言えば、泣いて辞めると言い始める気がする。
 言うの、やーめよ。

「……取り替えてやるよ」

「うん」

 そして俺たちは、多目的トイレに入るとゆっくりと扉を閉めて鍵をかけた。

 その中に広がる空間は誰も干渉することができない、結界の空間。

 エッチな匂いがカノンから漂う中、俺はそれに興奮を抑えることができない。

「……ねぇ、リュート。二人きりだね」

 カノンはにこりと笑うと、ゆっくりと俺のズボンのベルトに手をかけた。

 つづく。

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