俺の青春イチャラブ高校生活を返せ

真木 輝

第一話 青春とは?

「・・・んっ」

スマホのアラームでは目を覚ました

時刻は7時半、空は快晴、風は少しだけ

「完璧だ」

ヒャッホーっと窓から離れて風呂に向かう

シャワーを浴び、髪を乾かし

キッチンに向かう

目玉焼き、ご飯、そして昨日お隣さんにもらった煮物

ごく普通の食事を済ませて、制服に着替える

そう、ごく普通、ごく普通なのだ

これがこの桐山晴人にはえらく開放的に思えた

それもそのはず

中学の時は、朝から彼女に起こされて

なぜか一緒に風呂に入り

上がったらなぜか一緒にご飯を食べ

そしてなぜか一緒に俺の部屋に来て

さらになぜか俺の着替えを手伝い

さらにさらになぜかというか、まぁこれは普通だが、一緒に学校まで行くのだ

「あぁ、これが俺の高校生活かぁ」

朝のゴミを出し

鼻歌を歌いながら学校へ向かう

学校までは自転車で通学だ

マンションからは5分程度

「あぁ、素晴らしい、束縛がないとは素晴らしい」

ヒャッホーっとまた叫びながら自転車を漕いで行く

「・・・なにあいつ」

それをキモがって見ているやつがいた

その女の子の名は、山城楓

セミロングの栗色の髪で、肌は白い

「あんなやつと一緒な高校なんて・・・」

「関わらないでおこ」

楓はそう言って歩いて行った

まぁ、晴人は陰で言われていることを知らず呑気に登校していた

風で桜が舞っている

「あぁ、俺にとって完璧だ」

カッコをつけながら角を曲がろうとしたその時

「・・・え?」

そう晴人は黒い車とぶつかってはねられたのだ

気付いた時には桜とともに宙を舞っていた

「あぁ、俺の高校生活・・・」




「はっ!」

目が覚めた時、晴人は病院のベッドの上にいた

「あ、よかった、目を覚ました」

「ん?君は誰だ?」

いまいちピントがあわない

「すいません自己紹介が遅れました」

「さっきあなたを引いた車に乗っていたものです」

いやあっさり言うな!

「そうか、名前は?」

「東条真莉です」

いや知らんな

「もうちょっと詳しく自己紹介しますね」

「私立金山高校付属中学校の3年です」

「身長は153センチ、体重は秘密です、そしてスリーサイズはー」

「いやん、晴人様ったらそんなこと聞いたらダメですよ」

「いや誰も聞いてないわ!」

なんなんだいったいこの子は

いやまてよ、見た感じこの子は胸が・・・

「B、いやCカップだな」

はっ、俺はなにを

真莉は顔を赤らめている

「もう一回、病院に送られたいんですかぁ?」

怒りのオーラ・・・

「いやまぁこれはなんといいますか・・」

「素晴らしいバディです!」

「さよなら」

バチん、病室中に痛々しい音が響いた

「いってーー」

「あはは、晴人様は面白いですね」

「いや人変わりすぎ」

「あと、その様ってのも」

「そうですか、なら晴人さんでよろしいのですか?」

いきなりそれか

「ああ、それでいいよ」

「では私のことも真莉で」

「あぁ、わかったよ真莉」

「はい!」

真莉は嬉しそうに笑っている

「あ、学校は?」

完全に忘れていた、俺の青春

「それなら、晴人さんは2日くらい入院です」

「へっ?まじで?」

「まじですまじです、偶然にも軽い怪我で済んだから2日で済んでよかったです」

「真莉は学校に行かなくていいのか?」

「いえ、今から向かいますよ」

「ちょうどもう行かなくてはなりません」

「あ、ああ、行ってらっしゃい」

「はい!また来ますね」

そう言って真莉は出ていった

何もない病室

そして俺は今叫びたい

「俺の青春を返せ!」

バタバタバタ、廊下から音を立てて誰かが来た

「東条さんお静かにしてください!」

看護婦さんが走って来たのだ

「は、はい、すいません」

いったいこの先どうなんだよ、俺の高校生活・・・




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