は・み・る・な日常

リーズン

~~白亜の日常1~~

 ジリリリリリリリリッ!バンッ!


 月曜日午前7時30分


 そろそろ起きなければ遅刻が決定する中、私は目覚ましを力任せに叩き付け、ベルの音を止める。


 う~。全く目覚ましの癖に私の睡眠を妨げようとするなんて、何様だ!・・・・目覚まし様か・・・・・。


 私は起き上がる事を早々に諦め、馬鹿みたいに明るく、いい天気の空に歯向かう様に布団を被り、外の光をシャットダウンする。


 こんないい天気に学校行くなんて馬鹿のする事だよね?私は正しいのだ!


 無理矢理自分を正当化して再び眠りに付く私。


 ピンポーン!


 無視。


 ピンポーン!ピンポーン!


 無視。無視。


 ピンポーン!ピンポーン!ピピピピピンポーン!


 我慢。我慢。おやすみなさい。ク~。


 ガチャガチャ!バンッ!


「いい加減起きんか馬鹿者!」


「ハーちゃーん朝ですよ~」


 そんな事を言いながら、堂々と不法浸入してくる二人組。


「ク~」


 寝たふり、寝たふり。


「あれ?みーちゃん、ハーちゃん本当に寝てますよ?」


「ちっ!」


 私のイビキに盛大に舌打ちして一人は何処かへ去って行く。


 台所の方?飲み物でも取りに行ったか?


「ハーちゃん起きて下さい。学校行くお時間ですよ~。おっきしましょ~」


 私は子供か!


「ク~」


「起きてくれないとチュ~しますよ?」


 冗談ですよね?


 それでも起きずにいると、台所に行ったもう一人が帰って来る。


「瑠璃、そこ退どけ」


「みーちゃん?」


 何だろうこの匂い?この独特の臭みはーー。


「これでも食って目を覚ませ!」ガボッ!


「うげっ!がふっ!んっぐっ!はっ!何しやがる!」


「ふん。漸く起きたか」


「ハーちゃんおはようございます」


「おはよう瑠璃。じゃなくて!寝てる人間の口の中にいきなり納豆詰め込むとか!何なんだお前!人としてどうかと思うぞ!そんな人の道から外れた行為!」


「五月蠅い。人生のレールから外れかけている奴に言われる筋合いは無い!」


 ガーン。そんな音が私の頭の中に響き。私は今度は違う理由で頭から布団を被り直した。


「しくしくしくしく」


「もう、みーちゃん」


「私は悪くないぞ」


「ホラホラ、ハーちゃん大丈夫ですよ~。出て来て下さい」


「ううう~~」


「余り甘やかすなよ瑠璃」


「良いんです。ハーちゃんはタップリ甘えてくれて良いんですよ~。ちゃんと面倒みます!」


 今、私の事をその豊満な物で受け入れてくれて居るのは、私の幼馴染みにして親友の一人で名前は彼方 瑠璃かなた るり
 長く淡い栗色のフワッとした髪に、幼い顔立ちながらも、見るものを虜にするような顔立ち。危なっかしく放って置けない様な、雰囲気を纏った美少女だ。
 だけど時々する発言に、このままでは何故か引き返せなくなるものを感じるのは何故だろう?


 そして、朝っぱらから寝ている私の口に、納豆を詰め込んだ人でなしが、私のもう一人の幼馴染みにして親友兼悪友の一人安形 澪あがた みおだ。
 黒髪のポニーテールに、キリッとした切れ長の目、十人中十人が美女と言うような、見た目大和撫子を体現した様な、才色兼備な生徒会長様。
 しかしそれは表の顔、裏では色々やらかしたり、好き勝手にやっているので、一部の教師はこいつにはけして逆らえない。


 最後に私事、士道 白亜しどう はくあ取り柄も無く、顔や頭が良い訳でも無い、何処にでも居る様なモブ子。
 ゲームや機械には自信有るけどそれだけの人間。


 未だにこの二人が、何故昔の様に今も私と居るのかは謎だが、私としてもこの二人は特別で居心地が良いから、こうやって一緒に居る。


 そしてこれが私達の日常の一コマだ。


 私はそう思いながら、瑠璃を押し倒し抱き枕にしてもう一度寝直すのだった。


「だから起きろ!この馬鹿者が!!」


「・・・痛い」


「大丈夫ですかハーちゃん?」


 現在私は、朝食をモシャリながら後頭部の痛みに耐えていた。


「お前があの状況下で二度寝を敢行しようとするからだろう」


「逆に永眠するかと思った」


「させてやろうか?」


「そんな駄目ですよみーちゃん!」


「そう怒るな常だーーー」


「私まだ防腐処理の仕方とか知らないですよ!」


「お、おう?」


「いや、おう?じゃねぇよ!突っ込めよ!お前は何を防腐処理する気だよ!」


「そんな。ハーちゃんったら、恥ずかしいです」


 と、そんな事をのたまわりながらクネクネする親友その1。


「いやいや、何が恥ずかしいんだよ!言えよ!今の流れで何を加工処理すんだよ!」


「騒がしいぞ白亜」


「おいー!流さないで!お願い本気で止めて!ここは追及しようよ親友その2!」


「誰が親友その2だ。・・・それに答え聞くの流石に怖いだろ?」


「聞かないのも怖いよ!!」


「大丈夫ですよハーちゃん。安心してください。いざという時はプロの方にお願いしますから」


 ヤバイ目がマジだ。嘘だよね?嘘だと言おうよ!


「全く、早く食ってしまえよ。遅刻するだろ」


「流しやがったこの女!クソッ!流石にそろそろ突っ込むの怖い(泣)」


 そう、時刻は既に7時45分そろそろ着替えをしなければ遅刻する。だがーーー。


「ふっ、誰が何時このまま学校に行くと言った?!」


 私は一言も学校に行くとは言っていないのだ!


「って、アブね!包丁は止めろ!」


「良いから剥かれたく無ければさっさと着替えろ」


 この女マジか!


「も~、みーちゃん!ハーちゃんの着替えは私の仕事です!」


「いや、違うよ?」


「私の仕事です!」


「二回言った?!いや、違うからね!
おい待て、何でボタン外し始める!澪も何とかーーーって、お前は何でスマホ構えてんだ!」


「いやまあ、何と無く?成長の記録的な?」


「的な?じゃねぇよ!動画を撮るな!そして何で瑠璃はこの騒動の中、黙々と私の服を脱がしてんだ!」


「ハーちゃんはメイド服とナース服どっちが良いですか?」


「メイド服も捨てがたいがナースで!」


「ナース服で、じゃねえ!どっちもねぇよ!」


「在りますよ?」


「あんのかよ!何であんだよぉ!」


「サイズもバッチリです!」


「良かったな」


「突っ込み追い付かねぇよ!もう良いちゃんと着替える!学校行きます!」


 こうして私は、泣く泣く着替えを始めるのだった。


「そういや制服何処だっけ?」


「おい!」

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