ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~
でも汚水って言おうとしたよね?
「それで、説明ってなんの説明?」
「そんなあからさまに不貞腐れないでよハクちゃん」
「白亜さん」
「なんでい」
「ここから先は一気に最後まで駆け抜ける事になります。白亜さんなら大丈夫だと思いますが、もしもの時は私達が全力で中断します」
今までとは打って変わった雰囲気に、私も軽口を挟まず静かに頷く。
それほどここから先は危険が伴うという事なのだろう。
「まずこの汚す──飲み物は」
「ちょっと待てやコノヤロウ!!」
雰囲気変わったから真剣に聞いてやってたのに、今コイツ汚水とか言おうとしたぞ!
「なんでしょう? 大事な話なので真剣に聞いてください」
「聞いてたよ!? 聞いてたけどどうしても聞き流せない言葉ってあるよね!? 澄ました顔すれば大丈夫だと思うなよ」
「いいですか。この飲み物はとても凄いモノなんです」
「でも汚水って言おうとしたよね?」
「これを飲もうとしても白金貨を幾ら積んでも無理なんですよ」
「でも汚水って言おうとしたよね!?」
ズイっと顔の前にケミカル色の液体をテアの顔の前に突き出す。
避けるテア。
構わず突き出す私。
更に避けるテア。
更に追い掛ける私。
「白亜さん」
「なんでい」
「汚水で神聖なメイド服が汚れたらどうするんです」
「遂に認めやがったなこの野郎!」
「こんなケミカル色のえげつない匂いの飲み物を、汚水と言わずなんと言うんですか」
「やっといてなんだけど、そこまでぶっちゃけるのはどうなん!? これから私に飲ませようとしてんだよね!?」
「白亜さんなら大丈夫ですよ……きっと」
「きっとって言った。今小さい声できっとって言った」
「しつこいですよ白亜さん」
「なんかちょっとイラッとしてらっしゃる!? 理不尽過ぎません!?」
えぇ……酷い。
「とにかくこれは霊薬の一種です」
「霊薬……なのは、良いとして一種って?」
「これには霊薬と霊水を混ぜ合わせ、私の力を込めて濃縮してあるのよ」
ふむ。霊薬は魔力や霊気を多く内包した物だったか。霊水はそれの液体版だったっけ?
「でも確か、私の知ってるフィクションの物でも、高価な物ってそれだけで力を多く宿してるんじゃなかったっけ? しかもあんまり強すぎる物は、相応の器が無いと本人にも毒になる的な? そんな物を複数、それも龍の力で濃縮って危ないんじゃないの?」
「安心して下さい白亜さん。大丈夫です」
「あー、そこはフィクションだったのか」
「いえ、こんな物を白亜さんレベルが飲めば、確実に副作用で力が暴走します」
「大丈夫な要素が何一つとしてねぇ!?」
副作用とか力の暴走とか想像以上にダメじゃね?
「まあ、聞いて下さい」
「実はねハクちゃん。その副作用の暴走っていうのが重要なんだよ」
「暴走が?」
「そうです。無理矢理身体を強化するこの方法は、確立された方法とはいえ実際にこなすにはかなりの時間を要します」
「そうそう。分かりやすく言えば、器に一定値力を満たせばその力を消費して身体を強化出来るんだよ」
「ほう。つまりその身体を強化する膨大な量の力を、暴走させて普段以上に溢れる力で一気に満たそうとしてるって事か?」
「ええ、その通りです」
理屈はまあわかった。しかし、危なそうだなぁー。
「因みに普通にやったらどれくらいでそこまで行けそう?」
「そうですね。白亜さんなら半年……いえ、三ヶ月程でしょうか。これでも頭がおかしいくらい早いですが、まあ白亜さんですから」
「やってもいないことでそんな風に呆れないで貰えませんかねぇ!」
「でもハクちゃんなら多分そうなるんだろうなぁ」
「いや、わかんないじゃんそんなん」
「予想ですら前倒しで考えていますが、いざ事が始まれば、恐らく私達ですら予想だにしない事が起こり、当初とは違う力も得たりするんでしょうね……」
「そんな疲れ切った顔で言わないで貰えません!?」
まるでそれが確定事項な言い方ではないか。誠に遺憾である。
「さて、冗談はここまでにして……」
手に持ったケミカル色の飲み物、霊薬を見る。
これを飲めば確実に力が暴走する。
今までも十分暴走に近い力を綱渡りで扱ってきた。だから自信が全くないのかと言えばNOである。
ましてや今なら、鬼の力と竜の力はテアとおばあちゃんが抑え込んでくれている。
それならばなんとかなるはずだ。むしろ抑え込んでくれている今を逃せば出来る気がしない。
「暴走したらどうすればいい?」
「先程も言った通り方法は単純。力を丹田に集め圧縮するだけです」
「言葉ですればそれまでだけど、仙力とマナこの二つの力を溜めるのも圧縮するのも生半可ではないわ。二つを同時に扱う事もそうだけど、何よりもこの二つは互いに反発する性質を持ってるの」
「なるほどコントロールが必要って言ったのは、その反発を止めるって事か」
「そうそう。まあ、要は反発する二つの力を無理矢理纏め、それを更に圧縮する事で生まれるエネルギー。それに耐える為に魂が身体を強化させるんだよ」
「マナサークル、境地、呼び方は様々ですがこの世界ではステージと呼ばれていますね」
その後続いた説明で、1~3までのステージで体力が上がり、その後徐々に内側から強化されていくらしく。
4で血管と骨。
5で内臓。
6で筋肉。
7で皮膚が強くなる。
そこから先のステージはその全てが更に強化ってされ、ステージは全部で10まであるそうだ。
因みにレベルアップや、スキルで強化される時と同じように普段は普通の人と変わらない硬さだが、ひとたび戦闘に意識が切り替われば、金属と変わらない硬度を得る事が出来るらしい。
そこにスキルやレベルアップが重なれば……。そう考えれば少しワクワクすると言うものだ。
そして鬼や竜の力を扱うには、最低でもステージ7までは上げないと力に身体がついて行かず、どんなに上手く扱っても力を使う度少しづつ死期が近付くと言われた。
端的に言えば身体と魂が崩壊するのだそうだ。やだ怖い。
「鬼と竜の力はこっちで抑え込んでいるから安心してね」
「もしも暴走を制御しきれなかった時は私が止めるよ。なんとしてもね」
「そりゃ頼もしいこって。……それじゃ始めますか」
「では白亜さん。この陣の上で霊薬を飲んでください」
そう言ってテアは地面に魔法陣を浮かび上がらせる。
複雑なそれは曼荼羅や神聖幾何学に似てなくもない。そして何故か私にはカバラのようにも見えた。
うーむ。解析してみたい。
そんな事を思いながら魔法陣の上へと移動する。そして意を決してケミカル色の霊薬に口を付けた。
「そんなあからさまに不貞腐れないでよハクちゃん」
「白亜さん」
「なんでい」
「ここから先は一気に最後まで駆け抜ける事になります。白亜さんなら大丈夫だと思いますが、もしもの時は私達が全力で中断します」
今までとは打って変わった雰囲気に、私も軽口を挟まず静かに頷く。
それほどここから先は危険が伴うという事なのだろう。
「まずこの汚す──飲み物は」
「ちょっと待てやコノヤロウ!!」
雰囲気変わったから真剣に聞いてやってたのに、今コイツ汚水とか言おうとしたぞ!
「なんでしょう? 大事な話なので真剣に聞いてください」
「聞いてたよ!? 聞いてたけどどうしても聞き流せない言葉ってあるよね!? 澄ました顔すれば大丈夫だと思うなよ」
「いいですか。この飲み物はとても凄いモノなんです」
「でも汚水って言おうとしたよね?」
「これを飲もうとしても白金貨を幾ら積んでも無理なんですよ」
「でも汚水って言おうとしたよね!?」
ズイっと顔の前にケミカル色の液体をテアの顔の前に突き出す。
避けるテア。
構わず突き出す私。
更に避けるテア。
更に追い掛ける私。
「白亜さん」
「なんでい」
「汚水で神聖なメイド服が汚れたらどうするんです」
「遂に認めやがったなこの野郎!」
「こんなケミカル色のえげつない匂いの飲み物を、汚水と言わずなんと言うんですか」
「やっといてなんだけど、そこまでぶっちゃけるのはどうなん!? これから私に飲ませようとしてんだよね!?」
「白亜さんなら大丈夫ですよ……きっと」
「きっとって言った。今小さい声できっとって言った」
「しつこいですよ白亜さん」
「なんかちょっとイラッとしてらっしゃる!? 理不尽過ぎません!?」
えぇ……酷い。
「とにかくこれは霊薬の一種です」
「霊薬……なのは、良いとして一種って?」
「これには霊薬と霊水を混ぜ合わせ、私の力を込めて濃縮してあるのよ」
ふむ。霊薬は魔力や霊気を多く内包した物だったか。霊水はそれの液体版だったっけ?
「でも確か、私の知ってるフィクションの物でも、高価な物ってそれだけで力を多く宿してるんじゃなかったっけ? しかもあんまり強すぎる物は、相応の器が無いと本人にも毒になる的な? そんな物を複数、それも龍の力で濃縮って危ないんじゃないの?」
「安心して下さい白亜さん。大丈夫です」
「あー、そこはフィクションだったのか」
「いえ、こんな物を白亜さんレベルが飲めば、確実に副作用で力が暴走します」
「大丈夫な要素が何一つとしてねぇ!?」
副作用とか力の暴走とか想像以上にダメじゃね?
「まあ、聞いて下さい」
「実はねハクちゃん。その副作用の暴走っていうのが重要なんだよ」
「暴走が?」
「そうです。無理矢理身体を強化するこの方法は、確立された方法とはいえ実際にこなすにはかなりの時間を要します」
「そうそう。分かりやすく言えば、器に一定値力を満たせばその力を消費して身体を強化出来るんだよ」
「ほう。つまりその身体を強化する膨大な量の力を、暴走させて普段以上に溢れる力で一気に満たそうとしてるって事か?」
「ええ、その通りです」
理屈はまあわかった。しかし、危なそうだなぁー。
「因みに普通にやったらどれくらいでそこまで行けそう?」
「そうですね。白亜さんなら半年……いえ、三ヶ月程でしょうか。これでも頭がおかしいくらい早いですが、まあ白亜さんですから」
「やってもいないことでそんな風に呆れないで貰えませんかねぇ!」
「でもハクちゃんなら多分そうなるんだろうなぁ」
「いや、わかんないじゃんそんなん」
「予想ですら前倒しで考えていますが、いざ事が始まれば、恐らく私達ですら予想だにしない事が起こり、当初とは違う力も得たりするんでしょうね……」
「そんな疲れ切った顔で言わないで貰えません!?」
まるでそれが確定事項な言い方ではないか。誠に遺憾である。
「さて、冗談はここまでにして……」
手に持ったケミカル色の飲み物、霊薬を見る。
これを飲めば確実に力が暴走する。
今までも十分暴走に近い力を綱渡りで扱ってきた。だから自信が全くないのかと言えばNOである。
ましてや今なら、鬼の力と竜の力はテアとおばあちゃんが抑え込んでくれている。
それならばなんとかなるはずだ。むしろ抑え込んでくれている今を逃せば出来る気がしない。
「暴走したらどうすればいい?」
「先程も言った通り方法は単純。力を丹田に集め圧縮するだけです」
「言葉ですればそれまでだけど、仙力とマナこの二つの力を溜めるのも圧縮するのも生半可ではないわ。二つを同時に扱う事もそうだけど、何よりもこの二つは互いに反発する性質を持ってるの」
「なるほどコントロールが必要って言ったのは、その反発を止めるって事か」
「そうそう。まあ、要は反発する二つの力を無理矢理纏め、それを更に圧縮する事で生まれるエネルギー。それに耐える為に魂が身体を強化させるんだよ」
「マナサークル、境地、呼び方は様々ですがこの世界ではステージと呼ばれていますね」
その後続いた説明で、1~3までのステージで体力が上がり、その後徐々に内側から強化されていくらしく。
4で血管と骨。
5で内臓。
6で筋肉。
7で皮膚が強くなる。
そこから先のステージはその全てが更に強化ってされ、ステージは全部で10まであるそうだ。
因みにレベルアップや、スキルで強化される時と同じように普段は普通の人と変わらない硬さだが、ひとたび戦闘に意識が切り替われば、金属と変わらない硬度を得る事が出来るらしい。
そこにスキルやレベルアップが重なれば……。そう考えれば少しワクワクすると言うものだ。
そして鬼や竜の力を扱うには、最低でもステージ7までは上げないと力に身体がついて行かず、どんなに上手く扱っても力を使う度少しづつ死期が近付くと言われた。
端的に言えば身体と魂が崩壊するのだそうだ。やだ怖い。
「鬼と竜の力はこっちで抑え込んでいるから安心してね」
「もしも暴走を制御しきれなかった時は私が止めるよ。なんとしてもね」
「そりゃ頼もしいこって。……それじゃ始めますか」
「では白亜さん。この陣の上で霊薬を飲んでください」
そう言ってテアは地面に魔法陣を浮かび上がらせる。
複雑なそれは曼荼羅や神聖幾何学に似てなくもない。そして何故か私にはカバラのようにも見えた。
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