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ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

「私は無実だ!」

 クソ~。アイギスの都合良いように進んでる気がする。まあ、別にアイギスは敵じゃ無いから良いけどさ。


「それでハクア。ここを拠点にどうする積もりなの?私としては・・・貴女が味方なら心強いのだけど」


「取り敢えずは心の修行メインかな?そこから冒険者業で実践経験。後はこの国で情報収集や色々と試す積もり」


「色々試すって何をですかご主人様?」


「魔道具作ってみたり、魔方陣やシステム調べたりかな?」


「またお前は・・・専門分野の人間でも苦労しそうな事を・・・」


「取り敢えず遠距離通信の方法は確立したいよね。情報の鮮度もあるし」


「確かにそうね。国や領と言った所で、大まかな情報しか伝わって来ないもの。正確に知る為にはそれこそ人を送り込んで報告させる位だものね。でも何か宛は在るの?」


「いや、特には無いよ。でも例えば、自分がAを使ってアクションするとBが反応する様な物が在れば、簡単なトンツー位なら出来るじゃん」


「確かにそうだが。その場合距離が問題じゃ無いか?」


「それこそ中継地点作るとか方法は在るよ。距離の問題が出る様な所なら、それでも今までに比べれば遥かに早いと思う」


「なるほど。まあ、それは素材が見つかってからだな。それよりも・・・・お前は王都はどう動くと思う?」


「・・・・あくまで予測だよ。取り敢えずこれから暫くの間はここまでは来ないと思う」


「どうしてですかハクア様?」


「簡単にやり過ぎだからだよ。「協力しない国は敵」そんな暴論言えば従うけど反発が出る。分かってるだけでもそれに呼応した国がかなり在るでしょ?だからこそ足元はグズクズだ。暫くは内乱を防ぎながら勇者の喧伝をしつつ、足元以外を取り組むのに手一杯じゃないかな?とは言え、どこかしらで逆らった国がどうなるのかって事が証明されるだろうけどね。それも今度は勇者の力を使ったデモンストレーションって最悪の形で。ねえアイギス?この国の貴族共は何れくらい王都に靡いて来てる」


「そうね。ハッキリと言えば王都に近い領からだんだんと向こうに付いてるわ。最後まで私に付こうとするのは居ないかも知れない」


 確かにこの国は位置が悪い。


 魔族やモンスターの脅威を一身に受け、自分の所の貴族や民を守るために一番魔族領に近い所にこの国は在る。


 それは裏を返せば、人間達が守るべきトップの王都が敵になった場合一番遠くなると言う事でもあるからね。


「でも、勇者は普通の子供でしょ?いくら力を持ったからって人を害する様な事するかしら?」


「う~ん。多分それなりには出来るよ。人はある種の潔癖だし、集団心理、プロパガンダで簡単に変わるから、例えばだけど脅しや印象操作による誘導とかね。今まで箱庭で不自由無く訓練していた所にいきなり放り出されたり、メイドやら執事やらを宛がって、大事な人間になった所で人質にするとか、反対する国の軍を装って対して重要じゃない自領を襲わせる。そして「卑怯にも無辜の民を」とか「こちらの願いを聞かず一方的に攻めてきた」とか「そこの人間を奴隷にする為に」とか言って、正義感や義憤に訴えるとかね?それでそれを他の国にも喧伝した後、若い人間は奴隷として裏から売り飛ばせば金にもなるし。一石二鳥みたいな?」


 私が少し考えて起きそうな事を話すと何故か皆が引いて居た。


「貴女、良くそんな人で無しな考えがすぐに浮かぶわね?ちょっと引いたわ」


 いや、引くなよ。君らが振ったんやん!


「まあ、お前らしいが・・・だが、そうなった場合勇者を相手取るにはどうすれば良いと思う?」


「えっ?う~ん。勇者を惨たらしく殺る?そうすれば自分は力を持った超人な訳じゃ無く、現実に殺されてしまう側の人間だって事で、半数位は死に囚われて動けなくなると思うよ?あ~、それよりも腕とか足とか落とした方が効果的か?見た目分かりやすい上に、生き証人として目の前にずっと居るわけだし?」


 わお!また引かれたよ。


「こう、ナチュラルにエグい手を発案されると意外に困るわね。でも、それも手として考えておくべき何でしょうね。はあ、こんな世の中じゃ民の生活向上もまだまだ先になりそうね」


「例えば何か案があったの?」


「そうね。学校や医療制度を充実させようとしてたわ。でも、色々と難しいのよね」


「う~ん。なら、一番最初に戸籍何かを作った方が全部の事に役立つんじゃ無い?」


「戸籍、戸籍ね。確かにそれをちゃんと作ればこれからの改革が楽になるわね。じゃあ先ずはそこからかしら?」


「学校に関して言えば何処の層に重点を置くかだね。初等科みたいな文字の読み書き、基本的な挨拶、計算何かを教える様にするか、高等科みたいな専門分野や商業、研究何かを機転にするかだね?そう言やこの世界に学校って無いの?」


「どっちも作りたい所よね。それに学校も在るわよ。場所としては中央の少し騎士国寄りね。貴族や王族が社交や領地経営を学ぶ所と、騎士学校、魔術学校ね」


「うへ~、貴族の巣窟とか行きたくね~」


「ふふ、まあ、大体貴女の予想通りの場所よ。騎士学校は平民も居るけど、やっぱり・・・ね?その代わり魔術学校は研究大好きな人間ばかりだから、平民だろうが何だろうが才能かお金が在れば歓迎されるわ」


 金って所が生々しいな魔術学校。まあ、研究にはどんな物でも金が掛かるからね。


「しかし、そんな感じの学校あって魔法の日常転用化は全く無いのな?」


「魔術学校で学ぶのはあくまで魔法戦や魔術具の作成ですからね。それに・・言いにくいですが土魔法は侮られています。ハクア様の様にあんな自在に使おうとは誰も思わ無いでしょうし」


「ちっ!貴族ごときの無駄なプライドよりも、土魔法さんの方が万能なのに。・・・・・土魔法を普及させる為に新興宗教でも作るか?うん。良いんじゃね?」


「止めろ馬鹿!お前が言うと本当に作るから駄目だ!」


「え~。作ろうよ土魔法教」


「どんな宗教だよ!たく」


 それはほら?土魔法の素晴らしさを伝えつつ、世の人間に土木関係の充実化を図る崇高な感じに?


「まあ、暫くは進行が無いのは私も同感だし。私の方も足元を固めつつ、近隣の小国に同盟申請する位かしらね」


「だろうね。後は・・・同盟の時期かな?事が起こってからだと遅いし、手が伸びて無いと危機感が煽れない。それに表だって世界の希望と呼ばれる勇者を敵に回すのは民の反発も招きかねない。後は王都以外の大国がどう動くのか」


「まあ、その辺は協議しつつ様子を見るわ。さしあたってハクアの言う通り戸籍を作る準備から始めないと」


「同時に学校建設の布告もしとくべきだね。そうすればいきなり始めるよりも衝突は少ないだろうし。それと作るのは高等科からの方が良いね。高等科で・・・そうだな。例えば環境に強い作物の研究、魔法の日常転用化とかを研究して、実績を出しながら商業ギルドに売り込んで、そこから初等科と高等科の有用性を商人に解いて金を出させた方が良いと思う。国だけで全部やれば金は足らないし、出た成果を全て一人で抱え込めば問題が出てくるからね?次いでに高等科では商人達の興味を引けるように複式簿記とかも教えれば?そこから有用な奴を城に登用とかも出来るよ?」


 私が思った事をツラツラと並べていくと、澪とテア以外の皆が何故か驚きながら私の事を見ていた。


「何故に驚く?」


「いや、ナチュラルにエグい発案してた人間からマトモな発案が出たから少し驚いて」


「だから言ったろ。無軌道な質問はとんでもない方向に行くが、ある程度ゴールの在る質問になら有能だと」


 それだとまるで普段の私の言動がおかしいみたいじゃないかな?


「確かにそうみたいね」


 納得されたよ?!


 〈日頃の行いです〉


 ・・・・今日だけで何回目だろうこのセリフ。


「ハクア。最後の仕上げをしたいんだけど、今良いかな~!」


 コロの張り上げた声に「今行く」と答え奥の鍛冶場の方に行くと、皆も興味が在るのか私に着いてきた。


 モワァッとした暑さ漂う部屋の中、真っ赤になった刀が炉に入れられて今もコロの手により熱されている。丁度焼き入れ段階の様だ。


 しかし、剣だけで無く刀まで打てるコロってマジですごいよね?確か、刀って他の武器とはかなり作り方違うんじゃ無かったっけ?折り返しとかが剣には無いんだっけ?しかし、この短時間でここまで来るとか、凄いのはコロの実力?異世界だから?素伸べから火造り、荒仕上げ、土置きとかどうしたんだろ?


「ちょっと待ってね。・・・・・・・っと、よし」


 炉から出した刀ジュワッと水に付けると、両側で温度の違う刀身は刃の部分は急冷され鉄が固い組織へと変化して、棟側はゆっくりと冷やされる事で刀に反りが生まれる。


 おお~。私も今度コロに習ってみようかな。面白そう。


「ふう。じゃあハクア刀に触れてハクアの魔力を刀に流してくれるかな?そうするとハクアの魔力との親和性が高くなってよりハクアの使い易い感じになるかな」


「OK」


 私はコロに促されるまま、普段は柄の包まれている中心に手を添え持ち上げると、ゆっくりと魔力を流して行く。


 未だ鍛冶押しに入る前の刀は刀の形をした鉄の塊だったが、それでも微かに浮かぶ刃紋にテンションがぐんぐん上がって行く、更に私が魔力を籠めると次第に私の手元から刀身に向かって光が伸びていく。


 お、おお~。ファンタジーだぁ~。テ、テンションが上がるよ!私の中の中2心が「呼んだ?」って顔を出してきているよ!


 私がその光景に感動していると、手元から伸びた光は遂に切っ先に辿り着き光が一層強く輝き出す。


 って、あ、あれ?何これ!?


 光が強くなり輝きをました刀。だが、それと同時に流していた以上の魔力が、何故か勝手に私から刀へと流れ込む。


 止まらないよ?!ってか、手も離せないんだけど!?


 刀を持った手から刀へと無理矢理魔力を奪い取られながら、何故かこの時私は、負けるかこんにゃろー!どうせなら全部もってけやコリャー!的なテンションで、無理矢理奪われる魔力に加え更に魔力を流し込む。


 ウリャァァァー!


 すると、今までよりも更に目映い光を放った刀に、私は思わず目を瞑って仕舞う。それと同時に今まで手の中に有った筈の刀の感触がスルッと抜けていく。


 えっ?無くなった!?私またなんかやらかした!?


 漸く光が収まり目を開けるとそこには刀が無くなり、水晶玉位の大きさの銀の光沢を放つ球体がデンッと、置かれていた。


「・・・・私は無実だ!」


「第一声がそれですかご主人様」


「いや、犯人はお前だろ」


「ボ、ボクの打った刀が・・・」


 ヒィ~!遂に使う前に壊してコロの目が死んでる!えっ?私!私が悪いのか!?あっ、でも確かに魔力滅茶苦茶流したね?ギャース犯人私だぁ~!


 こうして私はまたもや何かをやらかした様だった。


 どうなる私の武器!

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